なにやってんの!
クロエとうたはの相性は良く、意気投合する。
その様子にジェラシーなんか湧いているわけもなく。
王都に行ったら美味しい肉食べれるのかなーとそんな竜の子ちっくなことを考えている。
見え始める城壁、辺境のランドルと比べてうーん微妙だ。
比べてしまうのが間違いなのかもしれない。
まぁそれでも都会と言うだけのことはあるのか城門では行列ができていた。
その列に並ばずに前へ進む馬車。
城門を素通りして行く。
タルタロスの手際がいいのだろう。
そのまま辺境伯家の御屋敷まで行くことになる。
辺境伯家にしてはこじんまりとした屋敷だった。
なんでも元々の先祖にここを大事にするように言われているのだとか・・・昇爵してもこの屋敷は手放せないとここに住み続けるランドル一家、まぁ変に公爵達が固まっている屋敷の方に移るわけにもいかないだろう。近所付き合いが大変になるだけだ。こっちのが気楽だろうしな。
この辺はまぁ法衣の貴族たちが集まる法衣貴族街と言ったところかもしれない。
長年この国からお金をチュウチュウするだけの簡単なお仕事だそうだ。
そんな法衣貴族の所だけど、ランドルには多少同情的だったりする。
ここを通る法衣の貴族達が何を思ったか、祈りを捧げて行く。
一体何を言っているのかと言うと。
「ランドル殿のように領地などもらわぬように。」と祈っているのだとか、領地持ちになるとこうやって法衣貴族から拝まれる風習があるらしい。なんとも変な風習だな。
「カチコミでござるか?」とかうたはがすぐに刀に手を伸ばすのをやめて欲しい。
この国の現状は王が死んでから5年、未だ王位は空席のままだった。
始めこそ王の弟のクオン・フォン・アケロ二アがその位に就くかと思われたが、辞退をしてさらに宰相までやめて一線から退いている。まぁ政治的な理由もあっただろうが。
そのことで逆にバランスが取られてしまった。
公爵が持ち回りで宰相職を兼任。
第一王子が喪主になっての葬儀、ただし第二、第三王子がこれに抗議。
特に第三王子は正妻の子であり、ましてや第一王子は側室でもなく妾の子であった。
神輿として担ぐにはちょうどいいのだろう。
そして第二王子も独自に動きながら、一方を貶めれば一方に味方をしてうまい具合に立ちまわって、己も玉座を諦めていない。
おかげで貴族達も三者三様に組してこの国は空中分解寸前だった。
ギリギリなんとか持っているのが不思議なくらい。
きっと何かきっかけでもあれば簡単にこの国は崩壊するのではないだろうか?
「がお。」まぁ巻き込まれないようにしようと、パタパタと王都観光に旅立つ竜の子テトだった。
だんだんだんと無遠慮に貴族の屋敷に入ってくる男達。
「うん?」とタルタロスがそちらに向かう。
「何があったのですか?」
「第一王子からの呼び出しですぞ。」と手紙を無礼に渡す。
「それはどうも。」と適当に受け取っておく。
「はっ?もっと畏まって受けろ!それだけか、この国の王がお前たち下賤な辺境貴族を呼び出しているのだ。もっとありがたがり、早く準備をして王城に来い。ひゃひゃひゃー。」と顔が歪んで薄気味が悪い。
「わかりました。」眉が上がって怒りそうになるが堪えるタルタロス。
「ふん。」と言ってこの屋敷から出て行った。
「あれはなんだ?」とラドルガ。
「さぁ、あんな態度をされるなんて許せませんね。」大分切れている。
ランドルが手紙を開くとこう書いてある。
「家族を連れてさっさと来い。BY第一王子。」
「はぁー。」正直行きたくない。
「行かないとダメだよなぁー。」とこの紙をひらひらさせて遊んでいた。
案の定、王都にいるランドル家の皆は嫌な顔をしていた。
ランドル、クロエ、そして王都に滞在していたライズ。
タルタロスに馬車を引かせながら、王城へと向かう馬車の中にいる。
「なんで行かないといけないの?」とクロエがドレス姿の正装で言う。
「クロエちゃん、今日も似合っているよ。」と相変わらずシスコンの兄。
「むぅー。」と顔を膨らませる。
「クロエちゃんのためなら僕は王様だって殺すよ。」とマジな顔で言うライズ。
「それはやめろ。」と注意する。
「じゃあ王城探検していいー?」と歯を見せながら聞いてくる。
「はぁーダメに決まっているだろう。」
「父上のケチ!」
「ああ、ケチでいいさ。」
「むぅー。」と再びハブてて何を思ったのか明るい顔になる。
「クロエちゃんダメだよー。勝手に抜け出したら迷子になるんだよー。」と流石に注意するライズ。
「もう兄上キモ!」
「・・・。」ライズは震えているが触れないでおこうと決めているランドル。
「城では大人しくしていなさい。」
「はい。」と観念して渋々頷くクロエだった。
スミンもまたミコミに言われた手紙の場所へと向かって歩き出していた。
流石にメイド服は目立つので普通の格好をしている。
まぁ目立っているのは変わらないのか、何度か襲われたが男達が現れた一瞬で倒して恐い目で足蹴にして歩いて行くのだった。
スラム街をなぜかぐるぐる回って中々たどり着かないでいる。
「なんでだろう。」
「何やってんだスミン。」
そんな様子を上から見ていて降りてくるテト。
ちゃんと二本足で立っている。身長はずっと変わらないまま。
「ストーカーですか・・・はっ、デート行きましょう!」と手紙のことを忘れてそんなことを言ってくる。
「スミン、ちゃんと手紙を届けてやるべきだろう。」
「ああそうでしたね。ここら辺のアオノリさんって言う人を探しているんですけど・・・」
「いや、ここじゃないのか?」
「?」
先程からぐるりと回っていたが出入り口の一切がない家、窓だけが空いていて・・・
「まさか、ここから入れと言うことでしょうか?」
「たぶんな。」
スラムは物騒だからだろうか出入り口をつけていないのかもしれない。
俺達は窓枠を超えて中に入る。
そこの部屋には何もない。
「隠し床か、隠し扉があるパターンだ。」
スミンが壁を探しながら、俺は床面を探す。
「ないな。」
「ないですね。」
「もしかしたら上じゃないですか?」
「・・・それもあるだろう。」自信満々に床か扉って行ってしまった恥ずいなぁー。
よく見れば上の一部にそれっぽい所がある。
ジャンプをして取っ手を持てば梯子が降りてきた。
「わぉー。」と驚くスミン。
その梯子を登り、こじんまりとした部屋の前に扉がある。
俺はその扉を開けた。
そこには挑発の眼鏡が席に座っていた。
「こんにちは、どうされました。」
「あのー手紙を持ってきたのですが。」
「拝見いたします。」とミコミからもらった手紙に驚き、傍らにいた女性にその手紙を渡す。
あまり読んでいないようだが?と疑問に思う。もしかしてミコミ嫌われているんじゃやにのだろうか。
「くしゅん。」とミコミが遠くでくしゃみをしている。
「はっ、これはミコミが偉大な人間だって皆で噂している。そんな感じのくしゃみ!」と前向きに捉えていた。
「なわけあるか!」といつものように後ろの天使はツッコミを入れていた。
「手紙の解読が済みました。」
「か、解読?」と思わず聞いてしまう。
「なるほど、そうですか。」
まだ回答が得られてはいない。
なにかこう嫌な予感がするんだけどと俺とスミンは思う。
「君たち王子を暗殺してくれるって本当かい。」
「はぁー?」と思わずスミンと二人して聞き返した。
そんな危ないことを笑顔で言ってきているんだけど・・・こいつら大丈夫か?
「この手紙にそう書いてある。」
ミコミの手紙を奪い取り読み出す。まぁ普通だった?
二枚目を見ると?なんか物騒なことが書いてある。
二人の刺客を送った。王子暗殺に使え。
「内の解読のスズオトは有能でね。これまでのミコミ様の暗号をすべて解いて、我々の道しるべになってくれている。おかげでレジスタンスのメンバーは急増。この王都の実に8割以上の民衆が賛同してくれている。どうだ一緒にこの国を変えよう。」
握手を求めてきたんだけど・・・ミコミ何やってんの!俺とスミンの心の中の声が一致した。
ぎこちなくその手を握り返す。
ミコミがまたなにかをやらかしているのだと頭を抱えるのだった。
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