天使??
「誰だ。お前。」そこにいたのはミコミの皮を被った何者か?
警戒を強める。
最悪この三人を逃がさないといけない。
「僕の名前はゼア、君には見えるはずだよ。僕の本当の姿が・・・。」とミコミの後ろから憑りついている何かが出てくる。
「幽霊!」と思わず言ってしまった。
まぁ異世界だからそうゆうこともあるか、それにミコミだしと納得する。
「幽霊じゃない!ほらこれ輪っか、羽があるでしょ!」とアピールする。
「でも、足ないじゃん!」
「足はそう、ここは下界だから、顕現することが出来なくて、憑りつくことしか出来ないんだ。だから足はない!」と腕を組んで断言する。
それにしても小さい。
これが天使?もっとこう美人とかイケメンとかじゃないのか、本当か?怪しい!
「そんな怪しい目で見んな!」どうやら自覚があるようだ。
「どうして思っていることが!」
「それは僕が天使だから!」となんかポーズを取っている。
もう突っ込むのは止そう。
「それで天使がなんの用だ?」とムカついたので、もうため口だ。
「だから君、なんで進化しないの!」
「いや子竜の方がのんびりできるし、俺生まれたばかりだし・・・。」
「はぁ魔物はすぐに進化するものなのよ?進化に興味があるでしょう。」と人差し指を立てながら近づいてくる。まるで人を催眠に掛けようとしてくる。
「ないと言えば嘘になるが、俺はスローライフがいいからこのまま子竜で寝て過ごす。」
言ってやったら、進化コマンドがここぞとばかりに強調してくるが、知らん。
「もうさっさと進化しろ。」とミコミを動かして俺の頭を掴んでくる。
ミシミシ言っている俺の頭。
これはヤバいのではないか、流石に頭をつぶされたら死ぬ。
まぁ全然痛さとか伝わってこないが・・・
「はっはっはっ、頭を粉々にされたくなかったら進化するんだ!」と天使の目が恐い。
コイツ本当に天使なのだろうか?疑いしかない。
どうする?どうする?
「お座り。」と命令してみた。
お座りしているミコミと天使。
「はっ?」という間の抜けた顔をしている。
「なんでどうして?」と戸惑う天使。
「ミコミは俺の眷属なんだ。」
「は?えっ?そんな事でこの天使様の僕を支配できるとでも。」とお座りの状態から抗おうとするができない。
まずいまずいまずいと汗がだらだら出てくるゼア。
「あっじゃあ、僕はここでさよならしまーす。」とこのまま消えていなくなろうとする。
「まぁ、もうちょっとゆっくりしていけよ。」とさっきのことを問いただそうと悪い顔をする。
「なんでどうして、天界に戻れないの?くっ命令を取り消せ!」と詰め寄ってこようとするがお座りの状態から動くことができない。
「さて、洗いざらい吐いてもらおうか。」
「ひゃい。」と命令に逆らうことができなくなった天使だった。
「なるほど、魔物として転生したものは進化をすることで前世の記憶を少しずつ失っていくのか。」確かに自然環境で強くなろうと思ったら進化しかないだろう。
そうやって対価を得ながらモンスターを進化させている。
進化の先の死んだ魂を再び輪廻に返すのだとか、それを魂のサイクルと言っていた。
時々強い個体ができるのは転生者の名残と言うことか、そう思うとなんだかごめんって気になってくるから不思議だ。ゴブリンキングとかな。
そしてフルフはもしかしたら、転生者だったのかもしれない。
こんなに頭がいいモンスターはいないだろう。
進化、まぁこの場合成長したことで、記憶が薄れたのかもしれない。
「はい。ぐすん。そうやって魂の進化を促すのが天界の秘密なんですー。」と悔し涙を流しながらぺらぺら大事な情報を話す。
「こんなこと言っちゃいけないのにー。許して下さい神様ぁー。」と懇願している。
まるで残念天使のように見えてくるから不思議だ。
「えっ何、どうして!」とゼアの天使の翼が白から黒に変わっていく。
「ヤダァー僕は堕天したくない!不可抗力!不可抗力!まさか憑りついた相手が眷属だって知らなかったんだぁー!喋ったのは、僕の意志じゃない!聞いてくれ神様ー!天使長ー!」と言い訳をしている。
必死だ。あまりにも必死過ぎて退くレベルだ。
「だから違う、誤解、誤解だからぁー。羽の色元に戻してぇーと。」神に祈っていた。
俺を精神的な意味で殺そうとしていたのに見苦しいなコイツ。
まぁだからミコミに憑いてしまったのかもしれない。残念同士お似合いだ。
いやミコミに失礼かもしれない。
案外、天界はコイツを左遷したかったのでは?と勘ぐってしまうレベルだった。
「僕はぁー僕はぁー。いずれ大天使になるはずなのにー。なんでこんなことに・・・。」と慟哭している。
俺はゼアの肩を叩く。グッとした。
「元はてめぇーのせいだろう!」本性を現したなゼアー。
どうやら俺は天使、いや堕天使に恨みを買ってしまったようだ。
「ファックユー!」とゼスチャーを交えながら言うコイツ(ゼア)はきっと元から堕天使だったのではないか、きっとそうだろう。
「お似合いじゃないか似合ってるぞ、その黒の翼。くくく。」と笑ってやる。
「くぅー。くぅー。」と悔しがっているのか顔が真っ赤だった。
「これじゃあ天界に戻れない。うー、うー、えーん。」堕天使が泣いているのはなんかこうシュールだなぁー。用は終わったみたいなので再び眠りに付いた。
「なんか変な声がする。ミコミ幽霊に憑りつかれたの?」
それから時々、ミコミが震えあがっている光景を屋敷の人間が目撃することになった。
それが堕天使のせいだと知るのは俺くらいのものだ。
うん、教えないでおこう。
今度こそ宰相達は帰って行った。
ちゃんと抱き合ってさよならしているクロエとルイネ。
「また会おう。」
「また会おうねー。」とそれを微笑ましく見ていた。
ラミーナの部屋に俺は報告に来た。
「依頼が終わった。」
「そう、よくやってくれたわね。それで、彼等の装備、安く売ってくれない、どうせ買取出来ない品でしょう。」とにっこり顔で交渉してくる。
「いや寝かせて、いずれ高値で・・・。」
「売ってくれるわよね!」とニコニコ顔のラミーナ。
「嫌だ!」
「なんでよ!」と再び立ち上がるラミーナ。
恐くはない。
そう俺はここでNOと言える人間なのだ。
あっと何かを閃く。
「じゃないと、貴方が男の鎧フェチだって言いふらす。」
俺のハートにクリーンヒットした。
それはさすがに痛い。
俺は泣く泣く老後の資金を安値、いやさらに買い叩かれて売りに出すのだった。
そして今回の件で俺は、C級冒険者に昇格した。
きっとトキとかノエノスが宰相にでも掛け合ったのだろう。
それから幾年が過ぎて、クロエが学園に入学する日が来たのだった。
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