国王、暗殺の疑い
宰相達はランドル山の麓を進んでいる。
ルイネはクロエに最後に会って話したがったのが名残惜しい。
「ふふ。」と隣に座るマリーナが笑っている。
「?」その視線が窓の外を見ている。
「会いに来たようだぞ?」
「えっ?」と馬車の窓から銀白狼のフルフとそれに乗っている。
「クロエ。」
「わぁわぁわぁ。」と乗りながら慌てている。なんとかしがみついているような感じだ。
「ふふふ、ははははは。」と笑ってしまった。
そんな愛らしい姿がここで見れたのは収穫だ。
今度会う時にでもからかってやろう。
ダメだ。腹が痛い。最後に笑いを持ってくるなんて。
「おいおい、可哀そうだろう、ちゃんと手を振ってやれ。」と隣のマリーナが席を変わる。
「くすっ。」と笑っていたを確認した。
「バイバーイ。」と言っているクロエに手を振り返すルイネ。
「ああバイバイだ。」とその様子をじっくり見ている。
「って言うかいつまで追ってくるんだクロエ。」
「いや、クロエじゃなくてたぶん狼の方だと思うぞ。」マリーナ。
クロエは現在戸惑っていた。
分身を作って自分の部屋で寝かせている。
「これでバレないぞ。」とにやける。
そそくさと朝の早い時間に城を抜けてここまでやって来たのだが。
「うわー止まってぇー。」とか言っていたりする。
「あちゃー。」と頭を抱える。
「フルフ、今度美味しい肉あげるから戻ろう。」なんか説得しているけど全然止まろうとしない。皆が皆、馬車や馬に乗っている分スピードも速い。クロエ大丈夫かと心配になった。
ライズがフルフを止めようと近づいている。
「うん?」とマリーナが気付く。
目的地がある?
フルフが向かっているのは先、この先に何があるのか?
「気を付けて何かある。」
窓を開けて、ライズに注意を促す。
前方から王国の旗が掲げられている騎士団。
「騎士団がなぜ?」
それが私達を取り囲むように布陣する。
「宰相閣下に告げる。貴方には国王暗殺の罪がある。ここで死んでいただく。抜刀!」
騎士たち皆が剣を抜刀した。
それはあっという間の出来事だった。
剣を抜いて襲い来る正規兵。
それを防ごうと応戦する護衛の人達。
震えるしかできないルイネ。
特に周りを囲まれているこの状況。
マリーナは召喚札を出しているが、間に合いそうもない。
「これは詰んだ。」終わったと宰相は悟っている。
「おおおおおおおーん。」と叫び声を出すフルフ。
耳を抑えるクロエ。
それに注目して一瞬の時間が空くその瞬間を逃がすマリーナではない。
召喚符からサメを出して応戦する。
しかし数がいかんせん多い。
「くっ切りがないぞ。」リヴァイアサンはまだ療養中だ。出せない。
父が馬車から出て剣を持って戦い始めている。
クロエが短剣の二刀流で馬車を守るように寄ってくる。
まるで人を小馬鹿にしたように頭を足蹴に飛んだ戦い方だった。
フルフも応戦するように戦っていた。
その様子を震えながら見ていたが、段々とクロエが戦っているのを見て私も戦う意志が出てきたような気がする。
馬車を出て戦うようにレイピアを抜いた。
「えいやぁー。」と突き刺して牽制する。
「足場が悪い気を付けろ。」と敵から奪った剣を持って戦うクオン。
「はい。」と返事をするルイネ。
「へぇー。」と二人の連携に感心する。
魔法銃を撃って倒し出すマリーネ。
死体の山でバリケードを作っている。
それを集めるサメは優秀だ。
「うぁあああ。」とクロエが転がった所に槍がバッバッと来てそれを転がって躱している。
「ふぅー。」とバッと起き上がって息をはいて安心する。
「セーフ。」とポーズを決めている。
「クロエ危ないからぁー。」と心配して隙を作ってしまうライズ。
「くっ!」とタルタロスがライズを槍から庇って怪我を追う。
「タル!」とライズが言う。
「くっそたれ。」と落ちていた槍を拾って応戦する。
「ばか突出し過ぎだ。」と注意する。
「くっ!」と取り囲まれる。
「フルフ。」と命令して一人剥がしているが、クロエが投擲で二人を倒している。
「やったー。」と喜んで兄に背を預けて攻撃を加える。
「しゃがめ。」とクロエの上半身に剣が迫りそれをがしゃがんで躱しながら逆立ちキックで顎を打つクロエ。
「しかし切りないな、クロエ大丈夫か?」
「余裕、余裕!」とめっちゃ笑顔なんですが、血か?これが血か?いや俺にも同じ血が流れてるんだが、女の方が強い血なのか?こんな時にくだらないことを考える。
「クロエがクロエじゃなくなってきてる。」と号泣する俺に敵も引いている。
「こなくっそ、本当のクロエを返せ。」と逆に怒りで奮起するのだった。
タルタロスもまた、怪我を気にしない戦いぶりを見せていた。
特に、皆を驚かせているのはトキだった。
その細腕で拾った槍を振るいながら、騎乗している男たちを突き刺して投げていた。
「お前いつからそんなに強くなったんだよ。」と疑問をぶつけるクルーガ。
「たぶん、3日前くらいからかな?」と惚けている。
皆も善戦しているが・・・少しずつ数の暴力に押されている。
「このままではまずいな。」
段々と馬車を中心に円陣を組むように追い込まれて行く。
「どうする?」と心の中で皆が思っている。
増援がまた来た。これは流石にと汗が伝う。
「眷属召喚。」そんな声が聞こえてきた気がする。
太陽がその姿を隠すように上から女の子達が降ってきた。
ノエノス、フレイザ、スミンにミコミ、と知らない女の子が着地する。
なんかトキまで降ってきたけど。
「ドン。」と一人だけ顔面から逝ったが大丈夫だろうか。
「ミコミコミモミミコミコココミココミココミッコーミココ。」と喋りながら起き上がる。意識のない。
何人かが状況がわからず混乱していた。彼女たちもスミンだけは状況を把握しているようだ。
空から落ちてきた女の子?達に驚く騎士たちは様子を見ている。
一体何が起こっているのかと。
「おーい。」と手を上に振っているクロエがいるが、ヤバ、バレないようにちょっと離れようとパタパタと飛んでいく。
「ノエノスとスミンがいるから大丈夫だろう。一部不安なのがいるけど、まぁなんとかなるだろう、たぶん。」
意外に全身洗濯洗いが気に入ってしまったテトだったりする。そのまま寝てしまって遅れを取るとは・・・不覚だ!
クロエがこちらを見てハブてていたのを俺は知らない振りをして、増援の方を追い剥ぎしようと決めてパタパタしたのだった。ここでは目立ちすぎる。
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