愛なんて千差万別さ
俺はさっきまでトキのことを忘れていたりする。
どうしよう?いやそろそろ介抱しないといけないのだが・・・
あんな悲しみにくれていたルイネを見ている手前、今更生きて帰って来たとしたら彼女のためになるだろうか?
そう考えながら今は外のベンチの上、アリアに抱きかかえられていたりするこの状態をなんとか脱して、トキを解放しないといけない。
「私達はどうしたらいいのかな?」
さっきは早い展開について行けずに喋ることが出来なかったアリア。
そのことか?別にマイペースでもいいだろうに。
ちなみにスミンはフレイザの手伝いに行くということで泣く泣く俺を手放していった。
「ほだされたらダメですよ。」なんて脅していたが、なんの事やら。
「私のお父さんがこの国の宰相だったんだ。しかも王族だよ。」
ああ、そう言えば俺は3発殴ろうと決めていたが、マリーナにこっぴどく殴られていた。
俺もボコボコの宰相の顔を見て、うんこれ以上は殴らないと決めたね。
それにこの国の宰相だし無礼はいけない。この首が飛ぶかもしれないからね。
しかし王族の子供とは、将来アリアがこの国の女王にでもなるのかね?
ないな、うん、ないな。と彼女の性格を思い出す。
きっと国の経営なんて出来ずに破綻させるだけだろう。
いや、傀儡としてなら優秀か?なんて話しを飛躍させていたりした。
「ぎょおおー。」まぁ元気出せよみたいなニュアンスで声を出す。
「そうだね。」と俺の頭に顎を乗っけて、すぅーすぅー寝始める。
美少女の顎枕になりながらこの状況をどうしようか考える。
そんなアリアに近づいてくる足音がする。
そちらを見ればメイド服を着たマリーナだった。
アリアの横に座り、肩を抱いて引き寄せる。
ちゃんと母親やってんだなと少し感心した。
「アリアちゃん、好き好き、ぶちゅー。」とキスをしようとする母親を俺は。
「やめい。」と思わずツッコミを入れてしまう。
「あっ、やっぱりキミはそうなんだ。」と何かを察するようにこっちを見ている。
顔が恐い、こういう時は何かを企んでいる。
「ひゅーひゅー。」と竜でも口笛が吹けるのか挑戦していた。そうして誤魔化そう。うんそうしよう。俺は無邪気な子供の竜だ。
「別に今更怒ったりしないよ。決闘騒ぎも誤解だったみたいだしね。あーなんかあったことあるなぁーとは思ってたんだけど、酒に呑まれちまった。私の責任だよ。」
「・・・」墓穴を掘らないように声を出さない。爪とぎでもしていよう。
「私は王都に行く。」アリアの頭を撫でながらそんなことを言う。
「王都はきな臭い、その内爆発するだろうさ。そんな時何もせずに好きな男を死なせるなんて私には出来ない。」女の目だな。
アリアの髪を弄って遊んでいる。三つ編みにでもしようとしているのかもしれない。
「子供より男を取る私を愚かだと思う?」と聞いてくる。
「さぁな。」
「ふふ、だけどアリアちゃんは連れてけない。面倒お願いしていいかな。呪いの鎧さん。」
ああ、あんたはちゃんとお母さんやっているさ。
「いいお母さんだ。」
「この子にもそう思われたかった。」と優しく見ている。
「きっと心では思っているさ。」
「そうかな。」
料理をしようとして焦がしたこと、それをなんとか食べようと挑戦したけど、無理で私が伸びたのを、アリアは介抱してくれた。
一緒に海に出た時はアリアがずっと吐いていて、それを見てずっと笑っていた。
エルフの領に行ったときにもやしなる野菜を見つけてアリアが目を輝かせ、私は酒を飲んでいたが、それがエルフの秘宝、不老の薬だとは知らなかった。
無断で飲んだことでエルフの連中に追いかけまわされ、二人で逃げ延び船を出した。
エルフから指名手配は受けていないはずだ。たぶんと目をそらした。
まぁそんなこんなあったが、私はアリアを愛していたと思う。
私とあの人との子供だから・・・な。
私なりに愛していた。
それが正しい愛なのかはわからない。
「愛なんて千差万別さ。」
「そうかぁーそうだね。」
「じゃあ、アリアちゃんにチュチュウフフしよう。」と迫ろうとするマリーナ。
どうしたそんな発想になるのかわからない。
これも一つの愛なのか?と疑問に思う。まぁ親子の問題だしなと目を閉じる俺。
いや半目開けてるのはバレてないよな?別に気になってるからじゃないよ。
もう少しでチューをする直前、アリアの拳が無意識に動いてマリーナを殴っていた。
見事にクリーンヒットしていた。
「ぐはー。」と言う声を出して頬を擦る。
いやなんでそうなるんだよ。
「ああ、やっぱり出来ないのね。」と悲しむマリーナ。
「これは一体?」と思わず聞いてしまう。見せないのが異世界の意思とういうのか?
「船に乗る上で恐いものは男。寝ている反射で攻撃するように仕込んでいたの。そのせいで寝ているアリアとチュッ、チュッ、ウフフの親子のスキンシップが出来なくなったんだからぁ!そう言う面で冒険に連れてったのは失敗だったわー。」と嘆いた。
未だヒリヒリするほっぺを擦りながら、立ち上がる。
「行くわ。ここに心残りはない。弟はいい領地経営をしているようだし、アリアちゃんも、もう大人だから自分の足で歩いて行けるでしょう。」と決意を固めたようだ。
「そうか。」
「頼んだわよ。」と笑顔だ。
「任せておけ。」親指を立てた。
その言葉を聞いて歩き出すマリーナ。
途中で立ち止まり何かを思い出したように振り向いて一言。
「それとたぶん君、ラミーナには正体バレてるからぁ。」
「はっ?マジっすか!」と思わず素が出て聞き返してしまった。
「マジ、マジ、大マジ、あんまりやらかすと氷漬けにされるから気を付けるんだぞ!」と身振り手振りでブルブルしてそんな言葉を残しながら、後ろバイバイをして戻って行った。
未だアリアの顎枕にされている俺は・・・
「マジっすか。」とまた呟いて呆然としていた。
ブックマーク、評価お願いします。




