子供との交渉
さっきまで普通に兄と妹のスキンシップを楽しんでいたのに・・・
それを邪魔するように現れる邪魔ものたち。
「お兄ちゃんがクロエを守ってやるから安心するんだ。」とライズはレイピアを構えた。
向かい合う相手と切り結びライズは一人を倒す。
「良し、次。」とそこを見れば、もうそこには敵が気絶している。
クロエが凄いスピードで相手を切り伏せていた。
死屍累々の上に立つクロエ。その姿が姉や母上の姿に重なる。
「そんな、クロエも化け物たちに毒されたというのか・・・。」と愕然とする兄ライズ。
「どうしたのぉー。」と聞くクロエはただ無邪気だった。
「お兄ちゃんは認めませんよぉー。」と謎めいたことを言う兄に首を傾けるクロエ。
その姿も可愛いが、今はそんな事よりも姉や母ようにならないように釘を刺さないと。
「これお兄ちゃん任せた。」と倒した男達を指を指して走り出す。
「お兄ちゃんは認めませんよぉー。」と再度言った。
後を追おうとしたがすでにクロエの姿は見当たらなかった。
そのクロエの姿は天井を走っていたりした。
「なにか面白い事ないかな?」と思っているとルイネが廊下を走っていたりする。
その手前に飛び降りる。
「バァー。」と手を広げて驚かすポーズで着地した。
心臓が飛び出るかと言うほど驚くルイネを見てダンジョンに入れず、置いて行かれた悔しさを晴らした気分だった。
「なんだ、クロエか。また敵だと思ったぞ。」とホッと胸を撫でおろした。
「さっき、置いてきぼりにしたからお返しー。」と歯を見せにっこりする。
「はい、はい。」とルイネは少し自分の気持ちが急いていたことに気付いた。
落ち着かないと、この国の宰相、父と交渉するのだ。
「ふぅー。」吐息をした。
落ち着け、落ち着けと自分に言い聞かせる。
ルイネはいい顔になる。これなら交渉がうまくできると思った。
「クロエ付いてきてくれる?」とやっぱり一人は恐かったのだろう。
「うん、いいよ。」とにっこり笑っている。
私は一人じゃない。今は頼もしい味方もいる。
父親の元へ一歩一歩進んでいくのだった。
扉の前に付くルイネは・・・
「ごめん、クロエ。行ってくるね。」
「えー私も行く。」と駄々をこねる。
「ごめん、でもこれは親子の問題だから、扉の前で待っててくれるかな?」
「うん、わかった。」真剣な顔で言ってきたルイネの頼みを聞くことにした。
そしてコンコンと戸を叩く。
「入れ。」低い恐い声がする。ここまで来たのに、思わず震えあがりそうになる。
クロエが背中を叩いて緊張を解いてくれた。
「ありがとう。」
「行ってらっしゃい。」
入っていくルイネを見送ったクロエ。
「親の説教って恐いよね。」とラミーナに叱られたことを思い出し震えていた。
「父上、失礼します。」
「座れ。」と椅子に促される。
「はい。」ゆっくりと座った。
「お前は軽率なことをして死ぬところだったんだぞ!」と机を叩いていきなり怒声が飛ぶ。
「・・・わかっているつもりです。」反省するように頭を垂れる。
「わかってはいない、実際お前の護衛が死んだ。」
「・・・」ダンジョンのことを思い出して押し黙るルイネ。
「そしてお前のせいで多くの人間が死ぬ。」
その怖い目にルイネはぞくっとする。
宰相として国を預かるものとしての覇を感じた。
それに立ち向かうように自分を落ち着かせる。
「・・・彼等は違います。」
「何が違うんだ?実際私がいる城に押し寄せてくる者達だ。敵ではないと言い切れるのか?」
「それは・・・でも私を助けてくれました。命を救われたのです。私は恩を返したい。彼等の言う通りマリーナさんと言う女性を彼等に返してあげて下さい。」と頭を下げる。
「父上、いえ、宰相閣下お願いいたします。」
「・・・。」
頭を下げ続けるルイネ。
「ルイネ。お前をここに連れてきたのは間違えだと思った。」
静かに頭を下げながら父の言葉を聞く。
「だが、攫われて価値観が変わったのか?それとも外の馬鹿どもに当てられたのか?」
未だ終わらない声が響き渡る。
「マリーナ艦長を返せ。」
「このくそ宰相。マリーナ様を処刑にするな!」
「ミコミは大貴族、大貴族!」となんか一つ違う声が聞こえるが・・・
二人は沈黙していた。
「わかった。お前の言葉を聞き入れよう。」
「では・・・。」
「だが、その代償にお前は何を差し出す。」
「私の命を差し出します。」間髪入れずに答えた。
「そうだな、それしかないだろう。覚悟だけは受け取っておこう。そのマリーナに会ってから決めることにする。」
「では!」
「喜ぶのまだ早い。そこで沙汰を決めるからな!」
「はい、わかりました。」
「それと、おかえり。これでも心配したんだぞ。」と優しい顔になった。
「父上、父うぇぇぇぇん。」と抱きついて泣き出す。やっぱりまだ子供のようだ。
「ああ、よくがんばったな。」とあやすように頭を撫でた。
「うぇぇぇぇーん。」
その泣き声を聞きながら、クロエはルイネが出てくるのを待っていた。
そこにパタパタと飛んでくるテトを発見して抱きつく。
「まったくどこ行ってたの!」と頭をコンコン、グリグリしてくる。
全然聞いていないが・・・これが甲殻類?みたいなことを考えていた。
「こらぁー私のお説教を聞いてるの!」とプンプン顔のクロエ。
可愛くて全然恐くない。
「ふぁー。」と欠伸をする。
「むぅーむぅー。」とハブてていた。俺はその様子を見ながら眠りに着くのだった。
「またすぐ寝る、ずるい!私も今日は疲れたから寝たいのに!」
だってクロエのお説教が子守歌のように聞こえるのだから仕方ない。
まぁ子供の説教ってそんなものだよね。
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