マリーナ・デモ
「ミコミは・・・この領の皆を救いたいんだ!」
届いた思い。彼等は多くを語ることはなかった。
その集団の神輿に担いだのはミコミだった。
ただ、一身に辺境伯の皆を救いたいとの思い。
それが彼等、海の男達を動かした。
もちろんマリーナを救いたいと言う思いもあり、彼等は決死の覚悟で宰相に直談判しに辺境伯の城へと向かって行くのだった。
城の中では宰相が普段見せないくらい慌てていた。
「なんてことだ!」と机を殴った。
そうだ聡明そうで気付かなかったが、ルイネもまだ10歳と言う年齢だった。
ダンジョンなんて言う未知な物に興味を持ってもおかしくはない。
私もここの領に休暇のような気分で来たのもいけなかったのかもしれない。
色々な事で身の回りの事がおろそかになっていた。
「反省しないとな。」と気を引き締める。
「誰かあるか?」
「はっ、ここに。」と黒装飾の者が現われる。
「今何人動かせる?」
「10人程なら動かせるかと。」
「そのすべてでルイネを取り戻せるか。」
「可能かとただ、あまり時間をかけ過ぎるとルイネお嬢様の身が・・・。」
「そうか、多少強引でもいい。連れ戻してくれ。」
「はっ。」と言って静かに出て行った。
コンコンとドアが叩かれる。
「入れ。」
「閣下すみません。」入ってきたのはランドルだった。
「今度はなんだ?」と若干イライラしながら聞いた。
「それが・・・。」
「マリーナ艦長を返せぇー。」
「悪いことはしてない。」
「ミコミは辺境伯の皆を救う。」という声がどこかから聞こえてくる。
宰相は立ち上がって用意された2階の自室を出て廊下の窓から外の様子を見る。
そこにはどこかの軍服だろうか、恐らく海兵が詰め寄ってこの城に入ろうとする姿が見える。
「これは一体?」と困惑する。
「お話しさせていただいた私の姉なのですが、その部下が勘違いを起こしているようです。」
「まさかここまで考えて・・・いやこれは偶発的な物だろう。」と連続したトラブルに困惑する。
「閣下!」と現れたのは影たち暗部だった。
「今度はなんだ!」
「それがあの集団の中にルイネ様の姿が・・・。」とよく見れば顔を引きつらせているルイネが神輿の上にいたりする。
「あの娘はどうしてそこにいるんだ。まぁ無事が確認出来ただけでも良しとすべきか。」
宰相は考える。
神輿の方を見ればルイネがもう一人の女性や男たちと何か話しているのが見える。
「ランドル殿すまないが娘を迎えに行ってもらってよろしいか。」
「はっ、お任せください。」と言ってここから去って行く。
ルイネはこの状況を理解することが出来ないまま起き上がった。
「ここは一体。」
「マリーナ様は悪いことをしていない。」
「そうだ艦長を返せ。」
「そうだミコミを貴族にしろ!」
なんか最後のはわけわからないが、一体何をしているんだ。
身体の痺れは若干マシになって立ち上がれそうだ。
「はっ!気付けば隣に誰かいる~。お化けぇー。」と突然現れた私に怖がっている。
「私は貴方達に攫われたのですか?」と思わず聞いてしまう。
よく見れば攫った相手と全然服装が違っている。
変装している可能性もあるがなんかそれはないような気がした。
目の前にいるのは女性で攫ったのは男性だったからそれはない。
ならなぜ私はここにいるのだろうか?
「そう言えばなんかここに来る途中。変な奴が剣を向けてきたから踏みつぶしてたかな?この人たちが。」と神輿を背負っている男達を指す。
「それはどうも、攫われている所を助けてもらって。ありがとう。」
「えっ、攫われてたの?大丈夫?ミコミもしかして正義の味方になった!」と目を輝かせて迫ってくる姿は純粋な子供のように見えた。
「えーと私は貴族の娘なので・・・。」
「そうか、お嬢ちゃん大変だね。」
「なぁお嬢ちゃん、聞いてくれよ。ここの城にいる極悪貴族の宰相様が俺達の艦長を処刑しようとしているんだ。」
「そうだマリーナ艦長は何もしてないのに・・・」と涙ぐむ。
「だから頼む嬢ちゃんの力で俺達のマリーナを救ってくれないか?」と男達皆から熱い視線を受ける。
これはあれですね。断れない奴ですね。
「わかりました。必ずマリーナさんを救い出しましょう。」
「おおう、ありがとう。」
「あんたはいい貴族だよ。」
なんとか顔は取り繕えていたと思う。
父上極悪人って言われてるんだけど。
「ついでにミコミの出世もお願いします。」と手をあげて言っているこの子は無視してもいいかもしれない。
「あれ、ミコミ最初何しようとしてたっけ?」疑問形、この子大丈夫だろうか心配になってきた。
「はい、では行ってきますね。」と城に戻ってきたルイネだった。
「トキ。」そう呼んでもトキはいなかった。やはりトキはと目を閉じる。
私の浅はかな判断でごめんなさいと涙を流す。
しかし今は宰相の娘としてやらないといけないことがある。
私を救ってくれた彼等のために彼等の大切な人を救ってやらないといけない。
それがノブレス・オブリージュ私がこれから通る道だから・・・と涙を拭った。
「行ってきます。」と彼等とトキに行ったのだ。
「無事だったの、良かったー。」と駆け寄ってきたのはノエノスだった。
「はい、大丈夫です。」
「それで、あれらは蹴散らしていいの?」と笑顔で視線を彼等に向ける。
「いえ、彼等は私を救い出してくれた恩人です。だから攻撃は許しません。」と真正面から言う。
二人ともにっこりだから、周りの人間が恐がっていた。
「そう、でも見張っておくから、もし城に踏み入ったらやっちゃうよ。」
「その時は出来れば殺さずに捕えてもらえれば嬉しいです。」
「うん、わかった。クロエの友達に頼まれたからね。うんなんとかするよ。」
二人は終始ニコニコしていた。
俺は城門まで戻ってきた所でたむろしている海兵達を見ながら、意識を取り戻していた主犯をもう一度気絶させて、事情を説明して海兵のイルグに渡しておいた。
大分話しが大きくなりすぎているが、大丈夫かこいつら。まぁいざとなったら助けられるように動こう。
ミコミはまぁいつも通りだし、スキル悪運で生き残れるだろう。
俺は姿を消してパタパタと城内に戻るのだった。
そのころクロエはと言うと・・・なんか兄と一緒に兵士に囲まれて剣を向けられていた。
「これは絶対絶命だぁー。」そのはずなのに目を輝かせて喜び、両手に短剣を握るクロエ。
「実践だぁー。」と人をやりに動き出した。
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