ダンジョンでの襲撃
ルイネはこのダンジョンのおかしさに気付いてしまう。
「敵が弱い。肉がドロップする。」まるで人に優しいようなダンジョン。
ダンジョンはもっとこう人に牙を向くようなそんな恐ろしいものだと聞いていた。
それがこうも簡単に入れて、こうも簡単にモンスターを倒せるとは思わなかった。
「ルイネお嬢様流石にそろそろ戻られた方が・・・。」
「そうだね。」と言って戻ろうとする。
ヒューンと何かが飛んできたと思ったら。
「うぐっ。」とうずくまるルイネ。
右腕に針のような物が刺さっている。
「ルイネ様。」と声を掛けるトキ。物陰から沢山の暗器が飛んでくる。
「くっ。」と一つうまく捌けないで顔を掠る。
「これはまさか、痺れ毒。」
「そうだ。これはお前達を捕えるため修得したもの。」
二人ともうずくまる。
飲もうとした薬がこぼれ落ちる。
どうしたらいいのか。唇を噛んで動き出そうとするがうまく立ちきれない。
どうしたらいい?
どうしたらいいのか?
「おっと動くなよ。そっちの娘がどうなってもいいのか?」
「ルイネ様!」
「トキ!」と二人は呼び合うが。
「美女二人ならダンジョンでやろうぜ。」と下衆なことを考えるように笑う。
「やめなさい、貴族にそんなことをしてどうなるかわかっているの?」バチンと叩かれるルイネ。
「ルイネ様。」心配そうにトキが叫ぶ、トキももみくちゃにされている。
「お前等のせいで俺らがどんな目にあってきたか分かるか?貴族として追放された俺たちはスラムで臭い飯を食って、生きながらえてきたんだ。殺されそうになったこともある。その辺の道端の草まで食わないといけないんだぞ。ふざけるな!」と怒りに任せて暴行する。
「すべてあの宰相が悪い。」
「ああ、あいつのせいだ。」と周りの人間が頷いている。
「お父様を悪く言うな!」と男達を睨みつける。
「お前がこういう目にあっているのも。その宰相のせいだ。」
「違う!お父様がそんなことをするわけがない。きっとお前たちが悪いことをしたからだ。」
パチンと顔を叩かれるルイネ。
それを何度も繰り返し叩かれ、きっと叩かれたことなんてないだろう少女、泣き出しそうな顔で我慢をしていた。
「その睨み返す目、気に食わんな。やっぱりここで死んどくか?」と剣を向けて言う。
「やめなさい、その方を人質にするんでしょう。それなら私からやりなさい。」
「トキぃダメぇ。」そんなことを言っては!
「お前等もそうだ、お前等のせいでこんな手間を掛けないといけなくなった。女であることは惜しいが・・・ここで死んでおけ。」
「トキ逃げてぇー。」
「お嬢様、お元気で・・・。」と言ったところ剣で一刺しされる。
「お嬢様・・・。」と言って事切れたようだ。
「トキぃぃぃぃ。あっあっ。えっあっ。」と言う声にならない声で呼びかける。
涙が止まらない。
忙しい父母の代わりに私の面倒を見てくれた姉のような存在。
本当の兄弟たちは皆私利私欲で物事を考え、私を駒のようにしながら結婚相手を押し付けようとしてくる。
または駒のようにどこぞこの貴族と縁を持つために結婚させようとする。
兄弟とはそう言うものだった。
だけど時だけは違う。大切な姉だ。
その姉がなくなったのだ。私の目の前で・・・胸が苦しくなりそのまま気を失った。
「おい、そいつを担いでダンジョンを出るぞ。」
「ああ、わかっている。」拘束した上ずた袋に入れて担いだ。
彼等はトキの遺体を置いて、その遺体がダンジョンに取り込まれているとは知らずに・・・
俺のもとに〝主様〟と言う念話が入ってくる。
〝なんだ?誰だ?〟
〝私の存在を忘れてしまったのですね。〟と悲しそうな表情をする。
〝?〟
〝まだ気づいておられないのですね。この城のダンジョンマスターですよ。〟
〝ああ、ダンジョンマスターか。何か用事か?〟
〝ダンジョンで死体が発見されました。〟
〝それ自体はよくあることじゃないかな?〟
〝・・・それが人が人を殺したのです。私は一応ダンジョンの管理人そう言う犯罪があった際は報告する義務があると思っております。〟
〝なるほど、それでどうしたらいいかと言うことか?〟
〝はい、遺体は回収したのですが・・・〟
〝女か?〟と思わず聞いてしまう。男なら諦めるしかないだろうし、女ならまだ眷属化できる。
〝女です。〟
〝わかったすぐに行く。〟
クロエの側からそろりと抜け出し、スミンの部屋に入る。
「これはテト様!」と頭を下げるスミン。
俺は二本足で立ち上げる。
「実は少々厄介な事になった。」
「なんでしょうか?」
「話すよりも、そのリングに触るぞ。」
「あっはい。」となんだか照れているスミンの右手のリングを触った。
転移陣が現れ俺達をダンジョン最奥、ダンジョンマスターの部屋へと導かれた。
「ここは一体?」と困惑しているスミン。
多少神殿っぽい部屋にグレードアップしているな。
「ようこそおいで下さいました。主様。」とダンジョンマスターが挨拶してくる。
「この方はまさか・・・浮気!」とスミンの圧が恐い。
「ああ。」と答える。
「違うと行ってくれない。これで何人目なのか・・・きっとこれからも増えていくんだぁ。」と頭を抱える。
「こちらを。」と寝台に載せてある遺体を見せてくる。
コイツは確かルイネを護衛していた女。
「傷は・・・」
「それくらいなら私の方で防ぐ事は可能でしたので、ただ人の生命の蘇生までは私の方では・・・ゾンビになりそうで。」と顔を背ける。
「ゾンビかなるほど、それで竜の俺か。」
蘇生と言う面では眷属化に限る。
これはモンスターなのか?新たな種族なのかわからないが・・・
俺はその女に多少の竜の体液を飲ませたが、一向に戻る気配がない。
これはそうか、顔を隠した女の正体を見る。
まぁ美人だ。あーあと頭を抱える。
「浮気ぃーまた浮気相手を増やすのですか?」とスミンが泣きながら抗議をする。
「ダンジョンマスターのえーとそうだな外見が緑だからユカリで、これからはユカリと名乗るように・・・。」
「はい。」と喜んでいた。
「ユカリ、取り敢えずスミンの目を塞いでおいて。」
「はい、わかりました。」とスミンに向かい合う。
「何をしようとしているのですか?」と聞いてくる。
「足と手と、目を塞ぐように蔓が伸びてスミンを拘束した。」
「ちょっと待って、スミンは浮気を許さないからぁぁぁー。」と声をあげていた。
俺はその間にトキの唇を奪うのだった。これは人口呼吸みたいなものだからノーカンだよ。
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