ONIKU!!
アリアはなんだかんだとあってクロエの教師を引き受けないといけなくなってしまった。
それ自体は別にいいとも言い難いけれど・・・
なぜか私も辺境伯家と一緒にご飯を食べることになる。
クロエの左の席に座った。一番端の席だ。
「おっ引きこもりがいる珍しい。」と目を丸くしているのはライズ。次の辺境伯になる男。
あんまり好きじゃない。
「例え家族だとしても、ライズ失礼な事は言ってはいけないよ。」と窘めているのは辺境伯のランドルだった。
「はい。」と言って席に座っていた。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん。今日の晩御飯は何かな?」と懐いてくるクロエはなんだか可愛い従魔みたいだ。
「クロエなんだろうね?」とニコニコ顔のノエノス。
待ちきれないのかフォークとナイフを持っている。
それに頭を抱えるラミーナがいたが、もう家族の間なら仕方ないと考え治しているようだ。
「ちゃんとした食事の、マナーの日でも儲けようかしら?」と悩んでいる。
そしてそこに食事が運ばれてきた。
それを見て私アリアは・・・
「うそでしょ?これは何?まさか伝説の・・・」
それもそのはず長年もやし生活だった私の目の前に・・・
「ONIKU!!」が置いてあるのだ。
この領ではよくて一カ月に一回、悪くて一年に一回しかステーキなんて食べられない。
それが出ていることにアリアは驚愕して絶句している。しかも全員分だ。相当奮発したのか?
「アリア姉様どうしたの?」とバクバク食べているクロエに聞かれる。
「これはどう言うことなんですか?」と思わずランドルに聞いてしまう。
「?ああ、そうかアリアは知らなかったね。」
「?」と何が知らないのか?
「この領でダンジョンが見つかってね。」
「ダンジョン!」その言葉を聞いて立ち上がる。
昔はそうではなかったらしいが、ダンジョンとは超凶悪な場所と文献にあった。
「危険な場所ではないのですか?」
「私もそう思っていたのだが、肉をドロップをするということもあってね。冒険者に潜るよう言ってあるんだ。」
「死人など出ていないのですか?」
ダンジョンに潜り出したはいいが、死人が沢山でては意味がない。採算が会わないだろう。
「今の所死者の数も少ないと聞いている。このまま領の食料事情が改善されて行けばいいのだがな。」そう言てステーキを切り分け食べ始める。
「もぐもぐ、ばっくん。おかわりー。」
「私もー。」
「こん。」
「ぎゃお。」と元気よく二人と二匹が言っていた。
その様子になんて言ってていいのかわからない。
「取り敢えず食べなさい。」ラミーナが言うので、切り分けて食べる。
「美味しい!」とたぶん今まででほっぺに手を当てて一番幸せな気持ちになったかもしれない。
もやし生活よおさらばと、涙を流しながら美味しく食べていた。
この日からおかわりと言う人が一人増えた。
「た、食べ過ぎた。」と言ってお腹をさすりながら部屋に戻ろうとするアリア。
その私の前をパタパタと飛んでどこかに行こうとする子竜が見える。
そう言えばこの子、まだよく見てなかったけど・・・割とかっこいいなぁーとか思っていた。
俺は夜の闇を飛びながら、港まで来ていた。
大分飛行にも慣れて来て、スピードも出るようになった。
そして港町まで着いて、酒場に寄る。
カウンターに座って品ぞろえがそんなにないようだが・・・
「オレンジジュースを頼む。」と言っていた。
「高いぞ。」と親父の目が光ったので金貨を一枚出しておいた。
それで納得したようにオレンジを搾りだし、出してくる。
氷の魔法を使って二、三個コップに入れた。
「お前さん魔法使いかい。」
「多少な、今は冒険者をやっている。」
「なるほど、お前さんが例の・・・」と押し黙ってキッチンへと向かった。
「おいマスター酒ー。」とカウンターに近づいてくる女。
よく見ると上等な服を着ている。
ここでそんな服を着ているということは貴族か?軍の関係者か?
港に海軍の軍船が寄港していた。もしかしたら責任者かもしれない。
「ふんふんふーん。」と酒を待っている間機嫌がよさそうにしている。
そんな美人の様子を見ながらコップを回していた。
「ほらよ。」と俺の前に刺身を出してくる。
「これは?」
「この領を発展させてくれている呪いの鎧さんに!」とマスターもコップに酒を入れて乾杯してきた。
そうなのだ。なぜか俺の二つ名は呪いの鎧さんになっているのだ。
呪いの鎧だけなら恐がられるのだが、これにさんを付けている所が親しみやすくなっている。この二つ名に俺は不満だが、自分でなんか変なのを名乗り始めるよりかは、いいかと思い出している。
まぁ陰では違う名前で呼ばれているが・・・
「呪いの鎧さんに乾杯。」そう言って隣の美人さんがコップを重ねてきた。
「有名人がこんな所にいるとはね。お前私の弟を脅しただろう?」
「・・・」一体誰のことだろう。
「吟遊詩人が歌っていたさ。呪いの鎧の冒険者が・・・辺境伯様に問うたって、お前はこの領を守る覚悟があるのかと。」
「俺はすべてを守って見せる。」と返事をする辺境伯を別の男性が演じていた。
酒場はうるさいようだ。
「脚色しているな。」と呆れていた。
「そこんとこどうなの?」
「・・・。」あながち違っていないか。と今更訂正する気はない。
「その話は続きがあるけど、まぁ本人の前でやるほど、やぼじゃないよ。」
「・・・それならよかった。」少しずつ解けてくる氷を眺める。
「ひっく。」としなだれかかってくる美人。
「おい、お前酔うの速すぎだろう。」
「だってぇーだってぇー。」となんだか知らないが泣き出している。
「一体何があったんだ?」と思わず聞いてしまったのがいけなかったのかもしれない。
急に真顔になりながらカウンターに顎を乗せて話し始める。
「・・・あれは昔、いつのことだったろううか。そう一人の少女は道ならざる恋心を抱き恋に落ちました。相手の男も満更ではなく、私を愛してくれました。そうして子供が出来たのですが・・・ヒック。」
周りは騒がしく。普通の人は聞こえていないだろう。
「どうしようもない男だったと言う話しか?」よくある話しだ。
「相手の立場もあり、私たちは別れました。所詮道ならざる恋。だけど私はまだ愛してる。」また少しお酒を飲む。
「貴方みたいないい男だったわよ。しっかり話しを聞いてくれるみたいな。」
「そうか・・・。」
「その子に本当のお父さんのことを話そうか迷ってて、だけど、話さない方が言い事もこの世にはあるぅ。あの子には正直どう接していいかわからない。私はママ失格だぁぁぁああああああ。」と泣き出す。情緒が不安定なようだ。
「私はどうしたらいいんだぁぁぁー。」と泣きじゃくっていた。
俺は冒険に来たのに、その女をなだめるしかなった。
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