辺境ラドルガの現状
私は街の中を歩いていた。
崩れ去った街並み所処燃えた跡があり、そこら中に負傷者が見受けられる。
私が目指している建物は無事のようだ。
冒険者ギルド。
冒険者たちが集まる場所、依頼などが貼ってあったりして、依頼を報告する。
「はぁ、依頼失敗報告しないといけないのかー。」
入るのをためらっている。
よっし！と言って中に入る。
そこには暗い雰囲気が漂っていた。
「何だこりゃ。」
お通夜のような雰囲気が漂っていた。
どん暗い、冒険者達が椅子に座ってる。
床にも座ってる冒険者をかき分け、受付まで行く。
「これは一体？」受付まで言って聞く。
受付嬢は暗い顔しながら・・・
「ギルマスが逃げ出しました。」
「はぁー。それヤバいじゃん。」
「ヤバいです。どこかで野垂れ死ねばいいのに！！それにゴブリンの襲撃で冒険者が活躍できなくて、、、」
辺りの暗い様子がわかる。
「ああ、それで。でも仕方ないんじゃ。ゴブリン強かったからね。」
「そうですね。そういえば今日はどんな用事で来られたんですか？」うっとつまる私。
「はぁー護衛の依頼を受けていた商隊が私以外全滅しました。」
「そうですか。お悔み申し上げます。」
「はい。いい奴らでした。」
思い出して涙が出そうになる。
「そうですか。」
同情する声を出す受付嬢。
今この時大変なのは向こうも同じだ。
「依頼者がいなくなってますが、ギルドの規約と現在の状況を鑑みてとりあえずペナルティ１つということにしておきます。３つ溜まった場合奉仕活動が義務付けられますので、よろしくお願いします。」
「はい。」
そう言われ、しょぼんと落ち込む私。
「依頼を3つ成功させればペナルティが消えますのでよろしくお願いしますね。」
「はぁ、あと領主様に会いたいんですけど、アポとか取れたりします？」
「なにか用事ですか？」
鋭い眼光で睨んでくる。
それはそうだろう不審者を領主に合わせるわけにはいかない。
「えーと、魔物の卵を拾ったので献上したいんですけど・・・。」
「テイムしてもらうんですね。ちょっと待ってくださいね。」
そう言って受付嬢は奥のほうに向かっていく。
「おう、嬢ちゃん暇だろうこっち来て酒注いでくれよ、ひっく。」
そちらに視線を向けると4人の男たちが下ひた笑いをしていた。
私は無視をして受付嬢を待つ。
そうしていると、後ろから肩をつかまれた。
「こっち来て酒注げって言ってんだよ！！聞こえってんだろう。嬢ちゃん。」
私は少し焦っていたのかもしれない。
肩におかれた手を捻り上げ関節を決めた。
〝？いつもより体が軽い？〟
「いてててててめぇ、何しやがる。折れる折れる腕が・・・」
「うんなあほなー？」
演技か？こいつ全然力入れてないのに？
と力をもうちょっと強くする。
「ぎゃあーーーーーカク。」
男の意識が落ちる。
〝？〟
「あれ？」
「おい、あれヤバいんじゃないのか？」
「ウチのギルド1力が強いタットが・・・気絶してる？」
「いやいやありえないでしょ。どう見ても女に大の男がやられるか？」
〝ゴキッ〟
「おい、今変な音しなかったか？」
「ああ、したぞ、あれは骨が折れたのか？折ったのか？」
「おいヤバいぞあの女。」
「俺らは関わっちゃだめだ。」
さっきの4人のウチの3人組。うんうんと頷いてやがる。
私は手をかけてきた男の腕を持ってみると。腕がどこまでも曲がる？いや回る？
〝うん、何とかして戻せればいいかな〟と思い繋がらないかどうか適当に腕をいじると。なんか嵌ったのでよし。
あとはあいつらをにらみつけたら。
なぜか男たちはゾクゾクっとして背筋を伸ばした。
奥から受付嬢がやってくる。
「えーっとどうしました？」
「いや、何でもない。それより。」
「あ、はいこの札を持っていけば領主の館に入れると思いますのでよろしくお願いします。」
「うん、ありがとう。じゃ、また。」
そう言って私はギルドを出た。
受付嬢は背筋を伸ばしている男たちに向かって。
「皆さんどうしたんでしたんですか？」と聞いた。
「「「・・・ミオンちゃん、彼女はいったい何者なんだ？」」」男達は一斉に聞く。
「普通のD級の冒険者ですよ？」
「「「嘘だ！」」」冒険者たちはまたも同じタイミングで聞く。
睨みつけられた時、男たちはとんでもない強者、いや魔物にブルってしまった。
領主の館の門構えのある場所にやってくる。
意外にそこまで大きいわけではない、櫓が建ち見張りが監視をしているようだ。
城ではなく館と言った感じだろうか。
辺境の防衛の面でも心もとなく感じる。
門の前にいる門兵に話しかける。
「冒険者ギルドからの報告で領主と面会したい。」
そう言って門兵にギルドからの紹介状を渡す。
「そこで待て。」
二人いるうちの一人の門兵が中に入っていく。
そうして連れて来られたのは絶世の美女の剣士だった。
「貴女が領主と会いたいと言う冒険者ですか？」そう言って訪ねてくる。
「貴女は？」
思わず聞いてしまう。
「失礼、私の名前はノエノス・ラドルガ。領主の娘で、この領の騎士団長だよ。」
私は驚く。この年で騎士団長なら相当な腕を持っている。
「失礼しました。私は冒険者のカルマです。」
頭を下げ最低限の礼儀を取る。
「いいですよ。同じ女同士、仲良くやっていきましょう。」
そう言って手を握ってくる。
「はっ！」としか答えられない。
「着いてきてください。お母様の元まで案内します。」
「母親ですか？」
「父は外出中のため、代わりに政務は母が行っておられます。」
そうして長い廊下を進んでいく。
外から見たらあまり広くなさそうに見えたが意外に広さを感じる。
「あら、ノエノスお嬢様お客様ですか？」
そう聞いてくる少し高齢のメイド。
「ええ、フレイザお母様の元まで案内する予定なのです。」
「そうですか。お茶などはお出ししますか？」
そう聞いてくる。
「いえ、お構いなく。」
そう言って、手振りを交えてアピールするカルマ。
正直貴族とはあまり関わり合いたくはない。
「そうですか、では私も着いて行きます。」
そう言って二人の後を付いて行った。
そうして案内されたドアの前にいた。
コンコンとフレイザがドアを叩く。
「お客人の冒険者カルマ様、ノエノスお嬢様をお連れしました。」
フレイザの綺麗な声が聞こえる。
「はーい、入っていいよぉー。」と間延びした声が聞こえてくる。
私は部屋に入り、綺麗な美人の前に来ていて圧倒された。
表現が難しいほどの美人だ。
今までこれほどの美人に会ったことはない。
それほどの・・・
「さて、お話しをお聞きしましょうか。」
机に両肘を立ててポーズを作って彼女は私を威圧していた。
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