お嬢様とメイド
二人は燃えている薪を見ている。
「私ね。」とクロエお嬢様が話し出した。
「たぶん暗い暗い中をずっと一人で迷子になっていたの。ここはどこ?出口は何処って?ずっとずっと探してた。」
「・・・。」
「きっとそこから出られたのはスミンのおかげだよ。いつも私の側にいて見守ってくれてたから、だからここに戻って来れたんだなぁーって思ってるんだ。」笑顔で言う。
「そんなことは・・・。」と否定する。
「私一人だったらきっと心細くてもうこの世にいなかったよ。だからありがとう。ずっと言いたかったんだ。むしゃむしゃ。」と肉を頬張らせて食べているクロエ。
「おいしい。おかわりー。」とテトに頼んでいる。
やれやれ顔のテト。
いや、良いのか?
「はぁークロエお嬢様、お話があります。」
「あーん。」とパタパタと飛んできているテトから串焼きを食べさせてもらっている。
こう見るとテトのメイドが板に付いているのが不思議だ。
そんな失礼なことを考えていたからか、それを察したのか首を向こうにそらした。
「フン。」と言ってパタパタとどこかに飛んでいく。
見えないくらいに高く飛んでいった。
「どこいくのぉー。」とか石の上に立ち上がって遠くを見てテトが何処にいくのか把握しようとしていた。
私も立ち上がって辛うじて見えるかもしれない。
そこから急降下して見えなくなった。
「あーあ。消えちゃった。本当にネコみたい。」
「そうですね。自由で羨ましい。」と笑った。
「スミンもちゃんと笑えるようになったんだね。」
笑っていたのだろうか?クロエお嬢様に言われないと気付けなかっただろう。
「お嬢様、お嬢様が病になったのは私が原因なのです。どうか私を罰してください。」と頭を下げた。目を瞑ってお嬢様の反応を待つ。
「・・・そう、それなら。」と考えているのだろう。
これから私は解雇される。殺されるかもしれない、もしそうなら受け入れる。
お嬢様が決めたこと、私の妹のような存在。それだけのことを私はしたのだ。
「ずっと私の専属メイドでいてくれる?」
「えっなんで、病は私のせいなのですよ!もっともっと死んでとかあるでしょう!」と思わず叫んで聞いてしまう。そして戸惑う顔をする。
「なんでどうして?スミンはスミンなんだから、私の世話をする!ただそれだけでしょう?それに友達でいてくれるんでしょう?」
その笑顔に私はやられる。
祖国を裏切り決意を固めた。
「・・・はい、わかりました。私スミンは一生クロエお嬢様のメイド、友達です。これからもよろしくおねがいします。」そう言って頭を下げた。
「うん、よろしく。あっ残っている串焼き大丈夫かな?焦げてるかな?」とちょっと熱そうな中それに手を伸ばそうとして私が取って食べさせた。
もちろん私も食べた。
「二人で食べたことは内緒ね!」と唇に人差し指を持ってきてシーのポーズをした。
「そうですね。」
「むっ!ここから肉の匂いがする。ミコミレーダーが反応をしている。」
頭に角のポーズをするミコミ。
「おん!」と鼻で嗅ぎつけたフルフ。
「ってミコミレーダーってなんだ?」
「野生の感!」
「おん!」
「二人とも言いコンビ!」と親指を立てるクロエ。
それに親指を立て返すミコミ。
「おん。」とお座りしながら右前足を器用にあげていた。
それからミコミとフルフの二人を誤魔化すのに苦労をすることになった。
バレないようにいきかけたところでクロエがポカをするから。
「お肉はテトに言えば持ってきてくれるかも?」と首を傾ける。
「クロエお嬢様そこはシー、シー。」と言う仕草をする。
慌てて自分の口を塞ぐ。
再び二匹いや一人と一匹を説得するのが大変だった。
フルフが何かに気付いて食べていた。
恐らくテトが食べ残していた肉だろう。
その様子を見ていたスミンがそれを見逃すはずはない。
「あーフルフが肉を食べている。」と指を指す。それはまるで犯人がフルフのように・・・
フルフは何かを察して逃げようとする。
それを追いかける猛獣ミコミ。
「裏切者ぉー。ガルル。」とフルフとミコミはじゃれ合い始めた。
「なんとかやり過ごしましたね。」
「ふふふ。ミコミがいると明るくなっていいねなぁー!」お嬢様は年相応なのかもしれない。
今は逆に追われていたりするミコミ。
「ごめんごめん。なんでミコミ追われてるのぉぉー。」とじゃれ合っていたりする。
それを見て笑うクロエ。
「そろそろテントが出来ている事でしょう。」
セバスやタルタロス、兵舎の生き残りの人達が仮設テントを作っている。
「そう寝よっか!」とあの二匹を置いて私たちはテントに向かいだす。
その姿ははたから見たら仲の良い姉妹のようだった。
「テトはいつ頃帰ってくるかなぁー?」
「きっと朝方でしょう。」
「あー夜遊びいけないんだぁー。」
「今度二人でお説教ですね。」
「あーそれいいなぁー。」と二人で笑いあった。
なんだか背筋に嫌な予感がしたぞ?
俺はあの後俺に着せられたメイド服を一応アイテムボックスに入れた。
燃やそうかと思ったよ。まぁ何かに使えるかもしれない。いらないが・・・
そんな風に思いながら、立ち上がり冒険者ヘイロンになった。
ただ立ち上がっただけ、いや骨の骨格を人間に近づけただけで背が高く見えるから不思議だ。ロボットのように変形していると言った方がわかりやすいかもしれない。
まぁそれでも身長が50か60くらいだが・・・
冒険者ギルドに入る。
「ヘイロンの兄貴。」と近づいてきたのはゴエモンだった。
「なんだその呼び方は?」
「へい、強い冒険者の兄貴に憧れてるんで呼ばせていただきます。」
「・・・勝手にしろ。」変にダメだと言って無駄な時間を使いたくなかった。
そのまま受付まで行こうとして忙しそうにしているのがわかる。仕方ない。
「ゴエモン、今はどういう状況だ。」
「あの後兄貴が去った後俺らは代わり番こでダンジョンの警備に当たってました。恐らく朝方でしょうか、ダンジョンに戻ってくるゴブリン達と遭遇、戦闘になりました。」
「無事だったか?」
「へい、相手も手負いだったみたいでちゃっちゃっと倒しました。それからは異変もなく無事にやってます。」と答える。
「ダンジョンからモンスターは出てきてないのか?」
「不気味な程静かです。本当にモンスターがいるんでしょうか?」
「いる。たぶん相当数。ある程度狩らないといけないだろう。」
「・・・」
「心配するな、俺がこれから潜る。」
「いやでも兄貴。」
「お前等はもしもに供えて待機しておいてくれ。」
「兄貴がそれなら良いけどよぉ。」と心配しているのだろう。
「俺でも無理そうなら逃げてくるさ。受付嬢に報告を頼んだ。」
そう言って冒険者ギルドを後にした。
ブックマーク、評価お願いします。




