メイド長フレイザの若返り
「コイツは・・・。」ともう一匹のゴブリンキングの大きなハンマーを見る。
個体によって持つ武器が違ったりする。
木の大型のハンマーと言うことで生まれたばかりの可能性が高い。
「ふむ本当にもう一匹いるとは?」といつの間にかござる口調が戻っているランドル。
あの刀はもう手放した。いらんと言ってその辺に放った。
「ぷぷっ!」とござると言っていた姿を思い出し笑いをしている執事兼警備隊長のタルタロス。
そんなタルタロスを放って置く。
「しかし、二体のゴブリンキングが襲ってきたなんて中級の都市が崩壊してもおかしくないレベルだぞ。」とランドル。
「ふむ、王都に騎士団を派遣してもらいますかな?」と執事のセバスが言う。
「冗談はやめておけ、政争争いに巻き込まれるのが落ちだ。それに当てにできん。」
王都では日増しに王族同士、特に3人の王子の継承争いが水面下で進んでいるそうだ。
我々ラドルガ家は一応第三王子を押しているが、色々きな臭いらしい。
それに下手に騎士団を求めたらこの領を乗っ取られかねないしな。
この状況乗っ取るのは簡単だろう。
騎士団も質が落ちている足手まといにしかならないだろう。
「まぁこの領を欲しがるとは思わないがな。」ボロボロの屋敷を見る。
街も屋敷の丘の上から見るとボロボロ、欲しがるかと言われればいらないと言われるだろう。
「はぁーこれからどうするか?」と領の事で悩んで頭を抱えた。
「ああ、もう!」と悔しがるラミーナ。
元に戻そうとして中々戻らない、特にこの屋根の部分をやろうとして全然元に戻らない。
「むむむ。」と魔力を込めるが魔力がなくてできない。
「疲れたー。」と言って椅子に座っている。
周りは遮るものがなく、やられたなと思う。
今日はテント暮らしになるかもしれない。
そんな風に思った。
「まぁみんな無事で良かったですよ。」大きな瓦礫の片付けをしているノエノス。
それはそうかもしれないけど・・・
もう一人片付けを黙々としているが誰だろうか?
「あーあーあー。」と領の状況に頭を抱え、振った。
「どうするのこれ!どうするのこれ!」と思わず八つ当たり気味に聞いてしまう。
「どうしたらいいのぉぉー。」と頭を抱える。
「えーっと。」とそんなお母様を見てなんて声を掛ければいいかわからない。
「あのぉーすみません。」と入ってきたのは門番らしい。
なんでも駆けつけてそこそこ活躍して兵士たちを救助したりしている。
「あら何かしら。」とよそ行きのようにさっきの荒れた表情を隠す。
お母様、屋外だからきっとさっきの聞かれているよとは言わないでおいた。
「あのこれを冒険者ギルドから、預かってまいりました。」と差し出してくる手紙。
それを受け取って読み始める。
「むっ。あーもう、なんで次から次へと問題ばかり起こるんよ!」と思わず立ち上がりながら言う。ノエノスは手を止めてお母様に駆け寄りその手紙を受け取り読み始める。
多少の長い挨拶から本題に入り。
南の迷いの森でダンジョンの入口が見つかりましたと報告。
「ダンジョン!?」と驚くノエノス。いや恐らくあるとは思っていたが就任一年目で見つけてしまうとか不運なのか豪運なのかわからない。
ダンジョンは領の宝石箱と言われているが、当たりはずれがあり実際の可能性は半々と言ったところかもしれない。
そして最後の方に差し掛かる。
今回の件だ。
まず初めに門前に規則正しく並ぶゴブリン達の襲撃。
これは統率個体がいるのではないかと言ったこと。
恐らくこちらに来たゴブリンキングのどちらかが待機を命じていたのかもしれない。
それに多数のゴブリンがこのダンジョンに戻ってこようとして冒険者に討伐された話し、この話、どう捉えていいのか?下手したらあのゴブリンキング以上の上位種がこのダンジョンにいることになる。
ノエノスの顔を汗が伝う。
「門番さんの名前を聞いてもいいですか?」
「はい、カラネルと言います。」
「そう、この領の騎士団長として正式に冒険者ギルドに依頼を出してください。」
「はい。」
「ダンジョンを確保、出てくる魔物に対応しつつ状況を見守るように。」
「はい。」と出て行こうとする。
「ちょっと待ちなさい。」と呼び止める。
「はい。」さっきからはいとしか言っていないまぁこれもしがない門番なら仕方ないことだ。
「緊急事態として、冒険者ギルドをこの領に接収します。」
「それはお母様!」そんなことを擦れば冒険者ギルドと諍いになる。
「冒険者ギルドもギルドマスターが逃げているの。ゴブリンキングが出てくるような危険なダンジョンがあるのに、もうどうこう言っている場合じゃないわ。」と答える。
「わかりました。そう冒険者ギルドに通達します。」そう言って出て行くカラネル。
お母様の威圧が恐かったのかもしれない。
「・・・。」
「何か言うことある?」お母様が聞いてくるけど。
「いえ、ありません。」と力不足に拳を握りしめる。
「ノエノス、貴女はよくやっているわ。ゴブリンキングの単騎撃破なんて受勲ものよ。」
コクと黙って頷いている。
「あまり無理をしないようにね。」とお母様が笑顔でそう言った。
「はい。」と答えるしかなかった。
「所でさっきからそこで片付け作業をしているメイドは誰かしら?」
「あっ!それは私も気になってて美人さんで声かけづらかったんですよね。」
さっきから黙々と瓦礫の撤去を進めている女メイド。
こんな美人この領にいたか?と思ってしまう。
「あのぉえっと?」と応えることに戸惑いを覚えているようだ。
自分でも状況を把握していないような。
「師匠っぽいけどフレイザ様の遠縁の方ですか?」とノエノスが聞く。
「いや、あの。」
「まさか!師匠の隠し子!」
「そうなの!父はセバスチャン?」と二人とも驚いた顔をする。
「違う、違うから!」と全力で否定する。
「じゃあ誰なの?」
「怪しいです。お母様下がって。」と庇う様に前に立つノエノス。
「あのくっ、なんて言えばいいんでしょう。」と戸惑う。
その様子を観察する。
「・・・私がフレイザなんです。」
「・・・」
「・・・」
「嘘はいけませんよ!師匠は師匠はちょっと年配な方ですよ!」と腕をブンブン振りながら抗議する。
「そうね。若作りをいつもしていたとしても、ここまでやるなんてどうかと思うわ。影武者まで用意して・・・。」とやれやれ顔になる。
「二人とも酷い、だから本当にフレイザです!ノエノスそこに立ちなさい!」と抗議する。
「来なさい!」と言って挑発する。
無手の人に武器を向けるのは性に合わないけど、師匠の名を語る不届き物には罰を!
「怪我をしても知りませんから!」と言って大剣を振り降ろす。
それを躱して手刀を首に入れる瞬間で止まった。
「・・・本物見たいね。」と状況を把握してラミーナが言う。
「師匠、若作りが行き過ぎすぎちゃったんですか!」
フレイザはノエノスをチョップする。
「痛い。」と頭を抑えた。
「なんて言ったら良いのかわからないけど、起きたらこうなってたんだから仕方ないだろう。」
「口調代わってる。」
「元はこう言う喋り方だったんだ。」懐かしむように応えた。
「・・・昔から限界を突破したら、人が変わると言うことがあったから、そのたぐいのものかもしれない。」と答えに辿りつくラミーナ。
「なるほど、なんか私も最近身体の調子が凄くよくてなんかわかる気がします。」
「ちょっと待って、今この屋敷で一番年上な女性は・・・あっ!」ショックを受けるラミーナ。
しばらく使い物にならないようだ。
それからフレイザのことをお父様に説明して、皆が驚いていた。
「確かに昔の面影がある。」とセバスちゃんが答えた。
「あっ、ありがとう。」とか照れている師匠フレイザを見て、にやっと笑ってしまったのは内緒だ。
最後にポルルに紹介したら・・・
「信じない、信じないからなぁー。」となぜか抗議していた。
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