称号
頭に刺さっていた手裏剣を投げ一体のゴブリンを倒すと、奴等が襲ってくる。
多勢に無勢になりながらも急所を避けながら、一体一体確実に殺していった。
その突き刺したスティレットのゴブリンの血を舐めながら。
向こうにいる沢山のゴブリンを睨みつけた。
少し気圧されて下がっているのが見える。
一瞬で距離を詰めたと思うと顎に蹴りを一発。隣のゴブリンに回し蹴りををぶち込む。
ゴブリンは昇天させて、いや冥土に送ったと言う方が正しいのかもしれない。
まるで生気がない瞳をゴブリンたちに向ける。ロボットのように処理をして行くように倒していく。
「ぐはぁ。」と急に吐血する。
「無理をし過ぎた?」と自分に聞く。
それでもと立ち上がる。
速度が落ちているのがわかる。
所詮一時的な魔法による身体強化。
身体が反動に耐えきれずギシギシしている。
それでもと後ろの同僚の死を、守ろうとする。
「私は何をしようとしているんだろう?」と疑問に思う。
ああ、こんな最初はいやいやだったけど、この場所がいつの間にか私、好きになっていたのかも知れない。
一人だった私がお嬢様やメイドの皆、この屋敷の人達に会って家族というものを知った。皆の温かさを知った。
暗殺術を聖国で叩き込まれその扱いはひどい物だった。
ぼろい服を来て毎日訓練。
隣にいた子供は次の日にはいなかったことを何度も繰り返した。
段々と心が壊れ、毎日が作業のように殺し殺されるの日々。
そんな中生き残ってしまって、大きな任務に就くことになる。
この辺境領で、クロエお嬢様に呪いをかけるスクロールを使用することだった。
その経過を観察するようにメイドを続けている。
そんな日々の中ミコミの明るい性格は救いだったのかもしれない。
段々と私も心をといり戻していく。
ミコミはそう言う意味では妹みたいな物かもしれない。
「ああ、私が欲し受かったものがここにあったんだ。」と何人ものゴブリンに刺されて私は・・・
一体何体のゴブリンを屠っただろうか?
後ろにはミコミを移動させて庇いながら戦っている。
すでに死んでいる女に何をと思っているかもしれない。
「はぁー、はぁー。」と足から血が出て頭からも血が出て、腹からも数多刺し傷から血が出ているスミン。生きているのが不思議だった。
周りにはもうゴブリンはいない。
全部倒した。よろけながら壁に背中を預けた。
「これは?」と何か遠くで声が聞こえる。聞いた事のある声に安心する。
掠れ行く意識。もういいよね。もうと思っている。
私は意識を手放そうとして・・・
「生きたいか?」と聞いてくる。
「貴方は・・・。」もう力が入らない。なぜ喋れているのかわからない。
昔ホームパーティーのように、屋敷の皆でパーティーしたことを思い出す。
今思い出せば楽しかった。ミコミはいつものようにバカやってこの屋敷で一番偉い、ラミーナ様にため口を聞いて話しかけたり、周りが凍ってたな。ラミーナ様も切れかけだった。
そこを旦那様とタルタロスさんが取りなしていたな。
ポルルとも、メイド長のフレイザがセバスチャンさんを見る目が女の目だったことをからかったりしたな。そこにノエノスお嬢様が来て混ざる。
「なになに?ええーそうなの!」と驚いていたことが懐かしい。
ノエノスお嬢様に聞かれた事で、耳まで真っ赤にしていたフレイザはマジなのかと思ってしまった。年齢的な物があって付き合うとか無理だと思ってそうだが・・・
それとクロエお嬢様、いつも気を使ってくれて私に生きる意味を教えてくれた。
その呪いの原因の後ろめたさもあったが、一緒にいて本当に妹が出来たみたいだった。
「ごめんなさい。」と謝る。
「謝るなら直接誰かに謝れよ。」と声が聞こえる。
もうミコミはいないし、屋敷の皆もどれほど生きているだろうか?ああ、お嬢様も無事だろうか?
「ごめんなさい。」と涙が出る。これが皆を裏切った罰なのだろうか?
どうして私はまだ生きているのだろうか?こんな傷、いつ死んでもおかしくないのに、走馬灯ばかりが頭を過る。
〝生きたいか?〟と頭の中に聞こえてくる。
〝生きたい。また一緒に皆とパーティーするんだ。でも私に生きる資格なんてあるの?〟
〝さぁな。これから見つければいいさ。〟と返事が来るとは思わなかった。
そう言って俺はスミンの唇を奪った。
意識が辛うじて残っていたのかも知れない。
ぴくっと反応したと思ったら、もう限界だったのだろう気を失う。
スミンの身体が変化して行っているのがわかる。
ゆっくりと身体の傷が塞がっていく。
〝キス魔の称号を得ました。眷属化の条件が変化しました。〟とアナウンスがされる。
「キス魔ってお前、俺も好きでキスしたわけじゃないんだぞ!」と照れながら抗議する!
そこから起き上がりスミンを持ち上げようとして・・・
「ミコミを助けて・・・。」と意識がないのにそんなことを言って俺の腕を掴んでくる。
無意識で喋るとか恐いんですけどと、汗を掻くはずがないのに汗が顔を伝っているようだった。
「はぁー。」と溜息を吐き、ミコミの様子を見る。
剣に心臓が一突きされたのだろう、心臓から血が出ている。
流石に死んでいるんじゃないのか?と思ってしまう。
死んでも生き返るのかわからない。
そう言えば眷属化の条件が変更になっていた。
眷属化
キス魔の称号によりタイプの女ならキスをして眷属化できる。なお弱っている事が条件。
タイプでなければ唾液や血などを与えることでも眷属化できる。なお女性限定。
まぁ俺も男を眷属化はしたくないからいいんだけど。
正直ミコミはタイプではない。どうでもいいと言ったら可哀そうかもしれないが、こればっかりは好みがあるからな。
「ふーむ唾液でもいいのか?」なら口に手を入れて唾液を付けてミコミの口に持って行き飲ませたら心臓の穴が塞がっていく。心臓の音がする。
「もう、なんでもありだな。」と思って二人を背負う。
合計4人も背負った。
小さい俺が四人も背負っているんなんてシュールかもしれない。
「ちょっと重いかもな。」と失礼なことを呟いた。
きっと聞かれていたらこの四人にたこ殴りにされたかもしれない。
キーンと言う音がする。
セバスは短剣を投げてゴブリンキングに刺さっているがまったく効いていないようだ。
「これは旦那様と代わった方が良いかもしれませんね。」
「おう、そうしろ、そうしろ。」と槍を構えながらゴブリンキングに向かっていく。
大剣の大振りを躱しながら、チクチクと刺していく。
「まったく聞いてないんだが?長期戦か?」と槍をブンブン振りながら構える。
「まぁ雑魚の始末ぐらいはしておきます。」と短剣を投げて周りのゴブリンを倒し始める。
「旦那様私が見ましょう。」と声をかける。
「すまない頼んでいいでござるか?」と言う。
「はい、ふっ。」と笑いそうになるのを我慢する。流石はセバスチャン仕事モードに入っていた。
ランドルがした応急処置にさらに応急措置をとっていく。
下手だっただろうかとチラ見して思った。
「さぁ、来いでござる。」と刀を抜いた。
流石妖刀と言うだけあって向かってくるゴブリンを捌いていく。
「秘技風剣でござる。」
魔法剣のように刀を振ると風が飛んでいく。ゴブリンたちがその風に吹き飛ばされる。
「だが、倒しても倒しても切りがないくらいゴブリンが多いでござるな。」と背中をタルタロスに預けながら声をかける。
「ふっ。」と笑った。
「だから戦闘は面白い。」と槍を再び構えた。
「これだから戦闘狂は困るでござるよ。」
向かっていこうとした時。
「お母様!お父様!」と向こうの廊下の方で大きな声を出すクロエの姿。
「しまったでござる。」と時すでに遅く。
ゴブリンたちは弱そうなクロエに向かって攻撃を加えるように向かっていく。
そして・・・
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