ノエノスVSゴブリンキング
俺は森を抜け、破れてボロボロの門を潜り抜ける。
走りながら冒険者ギルドを過ぎ、そして屋敷へと向かう。
アップグレードされたマップ画面がゲームのように目の前に映る。
敵の数が映っていて、味方の位置もわかる。
「むっ。」と何かに気付いて止まる。
茂みの中に弱い点滅を感じる誰かいるようだ?
敵か?と思わず身構える。
だがマップに敵表示はされてなくて、よく見ると確か冒険者ギルドの新人受付嬢のビルルが血を流しながら、倒れている。
「またこのパターンかと。」思う。
慣れないな気を失っている女に無理やりキスをする。
心臓の音が弱まっていたのでこれは人名救助だろう。
まったくなんでこんな事で血が止まるのか?うん?進化ということなのだろうか?
いや、今は考えている時間はないとビルルを抱えるこのまま屋敷に向かうか冒険者ギルドに向かうか悩んで、一度冒険者ギルドに戻ろうと決めた。
口止めをするべきかと思ったが、誰も見ていない状況ならノーカンだろうと思うことにした。
「はたから見たら、屑野郎だな。」と思わず呟いてしまう。
ビルルのケモ耳は黒くなってきている。
「ノエノスの時はそんなことはなかったが・・・。」
まぁ、今はそんなことを気にしても仕方ないか。
マップを見れば屋敷にゴブリンたちが襲い掛かり、すでに被害が出ているようだ。
クロエの母親の状態がヤバいように点滅している。
どうするか迷ったが、クロエに連絡することにした。
念話の類がここから届くかどうかと思ったが送っておいた。
恐らく早朝ということもあり、まだ寝ていたことだろう。
多少怒鳴りながら会話をして、通話を切った。
あまり会話をしたら俺だとバレるからな。バレて扱き使われるのは嫌だ。
「さて、この子を冒険者ギルドまで運ぶか。」
鑑定を使えば種族がドラゴニュートになっている。
まぁいい、命が合っただけもうけ物と思ってもらおう。
種族間の差別があるかわからないが、ないことを祈っておくさ。
俺は冒険者ギルドの受付嬢のミオンにビルルを渡し外に出ようとする。
「待って下さい、何があったんですか?」
説明する時間が惜しいが・・・
「領主の屋敷が襲撃されている。恐らくその子も襲撃にあって気を失ったのだろう。」
「そんなぁー。」と驚く。
「俺は領主邸に行く。後は頼んだ。」
「俺も行きます。」とよく見れば門番を務めていた男のようだ。
俺とその男の視線が交差した。
「勝手にしろ、俺は先に行く。」
「はい。」と答えていた。
そんな声を後に今度こそ領主邸に向かって行った。
ノエノスは苦戦していた。
いや善戦していると言った方が良いだろうか?
今までよりもなぜか動きが良いと自分でもわかった。
だが、届かない。
攻撃がいなされている。
その側で焦れた様に向かっていくゴブリンたちがいる。
それらを片手間に相手をするが隙を突いてゴブリンキングのハンマーが来る。
飛んで回転しながら躱すノエノス。
何匹かのゴブリンが唖然とする。
着地をして大剣をゴブリンキングに向けた。
「ふぅー。」と息を吐く集中している。
「おまえ、つよいな。」感心したように話しかけてくる。
「モンスターが喋った。」と驚く。
「どうだ?よめになれ!」そう言うゴブリンキング。
「はぁー。」と答えるノエノス。思わず大剣を下げてしまう。
ゴブリンたちが腹を叩いて音頭を取る。
「どうだ?おれはいいゴブリンだろう?」とわけのわからないことを言っている。
もしかしたら求婚するゴブリンの儀式みたいなものだろうか?
「良いゴブリンかわからないけど、断るよぉぉぉ。」と思いっきり大剣を叩きつける。
「ぐぇぇぇ。」と言いながら左腕が切り裂かれている。
「タイプじゃない!もっと少年がいい!」と大きな胸を威張って言った!
コイツは何を言っているんだとゴブリンたちは思っている。
だが、それと同時にゴブリンキングを守らないとと思い、襲い掛かった。
「ぐぎぎ。」
「グーグー。」とか言いながらゴブリンたちはコミュニケーションを取っている不気味だった。
だがそんなこと関係ない。
今はただ剣を振るだけだ。
「私の戦いはここで終わらない、終われない。」と言って大剣を振り回し始めた。
「妹のために、家族のために、屋敷の皆のために私は負けるわけにはいかない!」
それは剣速が速すぎる。
乱舞と行った方が良いのだろうか大剣の軌跡が美しく見えていた。
そんな剣の軌跡にやられているとわからずに立ち向かおうとして、動けない自分に気付いて倒れていくゴブリン達。
「ぎょあああ。」とか言いながらゴブリンたちがやられて行った。
「ふぅーふぅー。後はデカゴブだけだよ!」と息を整えながら大剣を向け、笑顔で挑発した。
「フフフ。」と面白そうに笑ている。
お互いバトルマニアなのかもしれない。
その戦いは続く、一体どれほどの攻撃を繰り返し、どれほどの打ち合いを見せただろうか。
お互いがボロボロになりながら戦っている。
「はぁーはぁー。」と言いながら地面に大剣を突き出した状態で片膝をついていたノエノスは大剣を支えに立ち上がる。
頭から血が流れ恐い顔をしながら、未だ立っているゴブリンキングを見上げ睨みつける。
たぶん私の攻撃はこれで最後になるだろう。
大剣を地面から抜き、斜め下に構える。
「おまえはよめとしておしいが・・・これでおわりだ。」と左手が使えなくなっているゴブリンキングが右手で思いっきり大きいハンマーを振り抜く。
ドンと地面に当たる大きな音がする。地面が割れた。
それを右に躱したが、ハンマーが向きを変えてノエノスに襲いかかって吹っ飛んだ。
取ったとゴブリンキングは勝ちを確信した時、ヒュンという音と共に首に違和感を感じる。
ノエノスはハンマーの一撃を食らって吹っ飛ばされる瞬間、思いっきり大剣を投げた。
それは直線的に飛んでゴブリンキングを貫く。
それを確認して腹を抑えながらほっとする。
「み、ごと・・・うつくし、かったぞ、いくさお、とめよ。」と賞賛して前のめりに倒れた。
その強敵の様子を見て目を閉じ、このまま気を失おうかと思ったがそんなことは出来ないと気合だけで立ち上がる。
「はぁーはぁー。妹の所に行かないとぉ。」とフラフラしながら立ち上がる。
視界が血で見えない。
足がもつれよろける。
誰かがいるのが見える。
「誰?敵?」思わず拳を振り上げ今度こそ最後の一撃を放って気を失った。
腹を擦る。この世界に来て始めてダメージを受けた気がする。
それが女の渾身の一撃なのが、なんと言っていいかわからない。
お腹を擦りながら徐々に回復しているのがわかる。
ノエノスの方も気絶しながら回復しているのかもしれない。
顔色がよくなっているのがわかった。
俺はこの女を担いで別の場所に向かおうとして、壁にぶち当たって死んでいる老メイドのフレイザが目に入った。
「はぁー。またか。」とため息をついた。
俺は目を閉じてゆっくりとそちらに足を向けて、老メイドのフレイザにキスをした。
二人を担いで移動するとき、俺はフレイザの変化に気づくことはなかった。
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