忍猫?いや化け猫です。
「ええか、悪戯心を忘れてはいかんぞ。」
「はーい。」とクロエにしては珍しく勉強の講義を受けていた。
「だからこう。」
「こーう?」
「そうじゃ、それが秘技。」
「おおーう。」と目を輝かせる。
「勝てるー。これでノエノスお姉ちゃんに勝てるよー。」と目を輝かせていた。
「そうじゃろう。そうじゃろう。」とうんうんと頷いている棟梁の小太郎。
何やら楽しそうにしている。
俺はそんなクロエの背中に風呂敷の様に頭を出して寝たふりを続ける。
”完全に起きるタイミングを逸してしまっている。”
今更起きるのも・・・それはそれで勇気がいるものだ。
なんかお爺さんから殺気を感じているが無視だ。
「時にクロエ。その後ろに背負っとるなんと言ったか・・・。」
「テトー。」
「そうじゃ、そうじゃ。年を取ると物忘れが酷くてな。あーああれじゃ、お主は黒龍の災厄を知っとるか?」
「なにそれー。」
「あーあまぁ、わしから言うか・・・その昔、はてあれは確か10年前くらいじゃったかのう。」
「ぐわぁー眠たく。」
「これちゃんと聞いてちょ。」と無理に今風の言葉を使う。
「ふわーい。」と眠りかけの状態。
「はぁーユニメとその子、テト?に関わることかもしれん。」
「何それーちゃんと聞いた方がいい話しかなー?」
意外に聞く気になっているクロエ。
「おおうそうじゃ、まぁこの国のある村が平和に暮らしとった。そこに新しく生まれた子ユニメが誕生する。」
「ユニメ来たー。」
「そうじゃ、あ奴にはちゃんとお父さんもお母さんもおったんじゃ、あの時まではな。」
「あの時までー?」
「そうじゃ空から大きな大きな巨大な竜が現れよったんじゃ。」
「テトの大きい奴?」
「そうじゃ、あるものを出さねば村を焼き払うぞーと脅しての。」
「へぇー。」後ろのテトを見るような仕草をする。
「結局その村の奴等はこの国の宝のことを何も言わずにの。喋らず逝きおった。ほんに律儀でバカな奴等じゃ。己の命より大切なものはないだろうにの。」
「そう言えばー、昔そんな感じのことをスミンに言われたようなー。」
「それだけその生き物が危険と言うことじゃ。この里の中でも、その者にいい感情を持っとるやつはあまりおらん、それに最近はとんとその者の噂を聞かんこうになったが、死んだのかのう?」
「ふーん。」
「そうそやつはこの国の秘宝、金のしゃちほこを手に入れようと他の村々も襲とちゃんじゃー。」
「金のしゃちほこ?」
「そうじゃこう金ぴかに光輝いとってな、魚の形をしとった。それはもうこの国の宝と言っても過言ではないわ。わしも幼い時に見させてもらったがあまりに凛々しい姿に涙を流したほどじゃ。」
「へぇー?これ見たいなー?」
「そうそう、そんな感じの?そうそう、そんな感じぃぃぃぃぃ、何でここに金のしゃちほこがーー。」と唖然としている。
「拾ったー。」
「・・・。」
それを取ろうとする。取らせないようにする。
取ろうとする。取られないようにする。
「ええい、それはこの国の宝じゃぞ!」
「ええ、これクロエのだよーぷんぷん。」と可愛く怒る。
「まぁよく見るとちょっと小さいような気がする?」
「そうなの?」
「だからくれ!」
「やぁー。」
「むむむ。じいの頼みでもか?」
「やぁー。」
「むむ、この忍者の国の半分をいや4分の3?いや8分の7くらいやろう。」
「えー、うーん、でもー遊べなくなるからやだー。」
「がーん。断られた。あわよくばわしの跡を継がせて諸国漫遊の旅に出掛けたかったのに・・・。」
「ふふーん。そんな事でこのクロエは動きませんよーだ。」と腰に手を当てて鼻高々に宣言する。
「ならばとっておきを教えてやってもよいぞ。」
「とっておきー?」と食いつくクロエ。
クロエ、お前詐欺に掛かりやすいから気をつけろとあれだけスミンに言われていたのに・・・
「そうじゃ今のお主にとって大事なものじゃ。」ニヤッとする。
この爺俺を出しにしようとしている、直感でわかる。
「何それーわかったーユニコーンの肉を食べさせてくれるとかー。」
「そんなことしたらお爺ちゃんユニメに殺されちゃうだろう。」
「おほん、そうじゃない。お主にとって大事なものを取り戻してやろうというのじゃ。」
「大切なもの、大切なもの・・・私にとって大切なものそれはー。お肉量産機!」と涎を垂らしている。
「食い物からいい加減離れろい!」
「えーと、何の話じゃったかのう?」
「うーん、忘れたー。」
「二人して年を取ったかのう?」
「そうかもー。」
「はははははー。」
「あははははー。」
「ふん!」と速く動く風魔小太郎。
その杖の攻撃をいなしながら、クロエはしゃちほこをぶん回す。
「なに!国宝を武器に使うでないわ!」とそれを躱す。
「むむー、やるー。」
「そっちもな。」
「あっ、あれはなんじゃー。」
「どこどこー?」とクロエが空を見上げた。
「もーう、何もないじゃーん。」と言った瞬間にしゃちほこが大きな丸太に置き換わっている。
「えーなんでー?」
「ふふふ、まだ精進が足らぬようだ。」といつの間にか爺が忍び装飾になっている。
「あー寝取られたー。」
「それはなんか違うじゃろう?」
「そうだっけー?」
「そうじゃ、まったく我が娘を見ているようじゃわい。」
「ユニメー?」
「もう一人おるんじゃよ。」
「そうなのー。」
「そうじゃ、忍忍。」と唱えると金のしゃちほこが大きな猫に変わる。
「おおう、美味しそうな猫ー。」
「化け猫は美味しくないぞ!」
「そうなのー?」
「そうじゃ、しばらくじゃれ合っておれ。」と姿を消す。
「金のしゃちほこ・・・いつかあれに乗って、世界一周するのが夢だったのにー。」
いやどう世界一周するんだよ!
思わず突っ込みそうになるが堪えた。
化け猫が二足歩行で立ち上がる。
目をキラーンとさせている。
もしかしたらクロエをネズミか何かと勘違いしているのかもしれない。
まぁ、ちょっとわかる気がするが・・・
「にゃんにゃん拳法。」
「猫が喋ったー!」
ドーンという音がして地面を抉る。
「わぁー。」とそれをちょっとずれただけで躱す。
「にゃんにゃん拳法。」
「それしか喋れないのー?」
「にゃーん!」とドンドンと攻撃してくる。
時には爪が伸び。
時には肉球がクロエを挟み込もうとする。
「わぁーつよーい。」と余裕そうなクロエを見て焦る化け猫。
「にゃんにゃんにゃーん。」と毛を逆立てると硬化しているようだ。
「にゃん拳法、にゃあゴロにゃー。」と転がってクロエに向かって突進した。
それをクロエは受け止める気だ。
短剣の剣戟の速度が速い。
加速するように猫のハリネズミのような毛を弾いている。
その場で回転し続ける化け猫。
クロエが圧されているはずなのに笑った。
我慢比べの様に一人と一匹が火花を散らしている。
化け猫は段々と・・・なぜかスリムになっていき。
最後はなんかクロエに花束を渡そうとしている。
なんかムカついたのでファイヤーボールで燃やした。
「あれー今の?」
やばー。
「ぐがああああ。」とわざとらしかったか。
「なんだーテトが寝ぼけて魔法を打っちゃたんだねー。そんなのめだぞー。」ニコと笑いかけてくる。
なんて純粋なのか・・・なぜかめっさ心が痛かった。
また起きる機会を失ってしまったではないか・・・この化け猫め!もっと燃えてしまえ。
「にゃんにゃーん。ガク。」と化け猫の断末魔だった。
姿形が消えてどこかに去って行っているようだ。
ちっ、逃がしたか・・・
「さて、追わないと。」と爺とクロエとの追いかけっこが始まった。
そんな中。
「どうして貴女が・・・こんなことを。」周りでは数多の忍者の死体が・・・
「仇を殺さないとでござる。」焦点があっていないのか、まるで暴走状態のようだ。
今の敵に妖刀ござるを振り降ろした。
「うぎゃあああああああ。」とこの里の忍者の一部隊が行動不能になっていた。
「待っているでござるお爺ちゃん。今お母さん、お父さんの仇を討ちに行くでござるから。」
暗い森の中でそんなことを言うのだった。
ブックマーク、評価お願いします。




