目を覚まして
「起きて、起きて。」ドンドンという音がする。
「うるさいなぁー。」と抗議の声を上げている。
「うるさいなぁー?今は授業中なんだけど。」そう注意してくるのは前世の・・・
誰だろうか?
そう好きだった奴だ。
こっぴどくフラレた思い出しかもうないというのに、記憶というものが薄れて行っている。
社会人になって仕事している先でいい女と出会って・・・既婚者だった時のショックがでかかった。
手に仕事がつかないほどだった。
お見合いしたときに・・・
「生理的にちょっと。」と言われたあの時の落雷。
なんかもう辛い思い出しか思い出せない・・・
あれ?俺ってこんなにモテない男だったのか?
なんてくだらない事を思い出しているんだろうか?
それから仕事一筋で生きてきて・・・気付いたらこの世界にいた。
皆俺が寝てても何も言わない。
従魔としての生活も悪くはないはずなのに、気付いたら忙しい日々を送っていたりする。
夜にダンジョンに潜ったり、街の見回りをしたり、スミンやフルフ、クロエに連れまわされたり、どうして女はあんなに買い物が長いのだろうか?
思わず飛んで逃げてまた説教をされた。
理不尽な・・・生まれたばかりの従魔にしては働き過ぎではないだろうか?
どこかに抗議したいところだけど、そこは異世界だからな。
そんな場所はない!
まぁ面白がって俺が勝手にやったこともあるしな。
それにクロエが元気になってくれてよかったとほっとする自分がいる。
そうだクロエ!アイツ俺がいないと何をするかわかったものじゃない。
俺はどうしてこんな暗い所に、戻らないと。辺りを見回すように首を振る。
「まだもう少しゆっくりしていいのよ?」と影の向こうから現れる女。
「お前は・・・スズオトか。」
「ふふふ、会いたかった。」と迫ってくる。
「今更会ってもな。学生時代に・・・いやあの時は俺に好きな奴がいたか。」
「あら、思い出してくれたの?そうよ、私ずーっと狙ってたのに!気付いてももらえなかったんだから・・・。」
「そうなのか?」
「そうでーす!この鈍感!ニブチン!めんどくさい男!ダメ男!」
「そこまでじゃないだろう?」
「そこまでですよー。」と鼻に指を当てて怒ってくる。
少しの間見つめ合う。
「ふふふ、では行くね。」と鼻に当てた指を放す。
「もう行くのか?」
「私のことはタイプじゃないでしょ?」
「そんなことは・・・。」
「私わかるんだから・・・それにどうやら輪廻の愛から逃げられないようなのよね。そう言う願いなのよ。」
「?」
「ふふふこっちの話し、また会いましょう。」
「また?」
「貴方には関係がないでしょうけど私には・・・またなの。きっと遠くて苦しくてそれでもまた会えるから、私はそれで幸せなの。」と涙を溜めていう。
「それに今の貴方には待ってくれている人達がいる。行ってらっしゃい。私の初恋の人。」
俺の姿が前世の俺から今のテトの姿になっている。突き飛ばされて落ちて行った。
伸ばした手は届くことはない。
「うわぁぁぁ。」渦を巻いている光に放り出された。
そこに一人、傘を差した和服の女が現れる。
「よかったの?あんな別れで?」
「いいの。それに私はまた会いに行けるから。」
「・・・どこまでも一途なのね。」なんて声を掛けたらいいかわからない。
「彼のことよろしく。」
「・・・わかったわ。」
「もし彼に何かあったら怒るから、例え向こう側にいてもね。わかっちゃうんだから!」
「ふふ、まだ友人でいてくれるの?」
「私のためにやったことでも・・・いやそれはそれでいやね。」と何かを考える。
「でしょ。また会いましょうね。」
「今の貴女とは会わないでしょ。」
「そうかもしれないわね。前世の私によろしく。」
「また友達になると思うと憂鬱なんだけど・・・。」
「それでも友達なのでしょ。」
「・・・いいや恋敵よ。」
「今度はハーレムルートでもいいのよ。」
「それは・・・前世では叶わないことよ。」
「そう、行ってらしゃい、・・・いい前世を。」と寂しそうに言う。
「わかっているわよ。」と言って向かって行った。
「ふぅー、友人ね。喧嘩をしたけど私はいつまでも友人だと思っているのよ。」
手を伸ばしながらの独り言はもう届かなかった。その彼女の瞳に涙が浮かぶ。
彼女にとっては友人との別れだったからだ。
「もう一度あの子のセーラー服が見たかった!」と悔しながらもちょっとずれていた。
真面目な顔になる。
「やり直しの人生、いや神生もこうなっちゃった。まったく神も楽じゃないんだから・・・。」
和服の傘を差した美人はこの場に残りながら名残り惜しくも、自分の役目を果たしに戻るのだった。
「はっ。」と気づけば隣でクロエが寝ている。
俺は動こうとして。
「やぁー離れないでぇー。ぐがー。」と寝言を言いながら抱き枕にされている。
「はぁー。」とため息をついて。
「戻ってきたんだな。」と一言呟く。
もう一度寝ようとする。
寝相の悪いクロエに俺は文字通り振り回されながら・・・ベットの外に手を繋ぎながら落とされたりしている。それをなんとか這いあがり、俺をぴょんと放したと思ったらキャッチをして・・・
「ゴーーーーール。むにゃむにゃ。」と言っている。
「こんなに寝相が悪かったか?」と布団を尻尾で掛けるとすぐに蹴とばしている。
「やぁー。ぐーぐー。」ベットの向こうに落ちた布団に身体が届きそうになかった。
ただ、梃子でも俺を放したくはないようで握っている力が強い。
「これじゃあ寝れないな。」と呟く。
再び寝に付くころには夜が明けているのだった。
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