ユニコーン、馬、そして・・・
「うまー!うまー!うまいのー?」とクロエは角のないユニコーン達の前に現れてそんな事を言って最後は首を横にして可愛く聞く。
それに反応するように逃げようとする。
食べられるとでも思ったのかもしれない。
それを先回りして防ぐクロエ。
「美味しいのかな?」と涎を垂らしている。
汗をダラダラ垂らすユニコーン。
「こらー!」と怒ってクロエの頭を叩く。
「あ、いたー。いや痛くないやー。」頭を抑えたが大丈夫だった。
母親とか姉とかスミンとかよりも優しい。
「ユニコーンは頭がいい生き物なんだから、クロエが言っている事もわかっているのよ。」
「へぇー。」
干し草を持って来て置くと、ユニコーン達が集まって食べ始める。
「はぁー、もし貴方の従魔のテトを私が食べたいって言ったら?」
「だめー。」と瞬時に顔をユニメに近づけて言う。それにビビるように驚く。
「そうでしょ。それと同じでユニコーンを食べちゃダメなんだからね。わかった?」
落ち着きながら人差し指を立てながらクロエを諭す。そのクロエからの気付かれない程の殺気を感じ取って冷汗を流していた。
ユニコーン達は食べ終わったのか一定の距離を取る。
「うーん、でも馬だよー?」
「ユニコーンだよ!それにお肉は美味しくないそうだよ。」
「そうなんだー。」と残念そうにする。
「それにユニコーンを倒すと呪いの馬になって再び襲い掛かってくるからね。」と脅しておく。
「へぇーなんか面白そーう。」と戦闘態勢で短剣を取り出す。
「やりに行くなー。」とくるっと回転して向かおうとしたクロエの首根っこを掴んで止める。
「わぁー、でも見て見たーい!見て見たーい!」と駄々をこねる。
「そんなこと言ってないで、これを取りつけるの手伝って。」と頼む。
「これはー?」と質問する。
「それをつけてこの家をユニコーン達に運んでもらうのよ。」
「へぇー、これを運ぶの?」と一軒家を指す。
「そうよ、そうして道を平らにして行くんだからー。」
「へぇー。」
よく見ればこの家の向こう側にそう言ったはけみたいなものがついている。
道を平らにして行くための装置なのだろう。
固定されている木の杭をぐるぐるとしながら上げていく。
「やるー。」とクロエがぐるぐる速く回す。
「ハイストップ。」と頭をチョップする。
「あまり速くすると壊れるからゆっくりね。」
「はーい、なんかー扱い雑じゃないかなー?」
「そう?同じことを昔友達にしてたからつい。」と笑う。
「むぅー。もっと大切にしてぇー。」
「無理かな?」
「ガーン。」と言っていたが、別に落ち込んではいなかった。
ユニメが何か特別な魔法を家にかける。
土が家のそこを押し出している。これにより下の固い土が削られながら進む事ができた。
またその土に固定するように木の杭をを深く入れる。
ハンマーで叩こうとしたユニメが転びそうになった。
それを支えるクロエ。
そこにユニコーンが来て、代わり代わり突進頭突きをして杭を産めて行った。
「おおう。」とクロエは少し馬達を見直した。
「よくやった!」と偉そうだ。
「ふすー。」と満更でもなかった。
その家を10匹ほどの角なしのユニコーンにひかせる。
こう見えて力は通常の馬よりもずっとある。
角がなくなり外に向ける魔法操作ができなくなった代わりに身体強化系の魔法を極めているのだ。
家の後ろでは百頭ほどのユニコーンたちが追ってきている。
その地鳴らしが地面を踏み固めているようだった。
転がっている石を蹴って道の外に飛ばしている。
「おおおおおおおう。」
その家の屋根に昇ってその揺れを楽しむクロエ。
「気をつけてねー。」と声をかけるユニメ。
「はーい。おっとと。」とよろけそうになりながら、元の体勢にもどる。
「なんだか酔って来ちゃったー。」と屋根の上でフラフラになっている。
「クロエー中に入ろう。」と呼びかける。
「でもー戻ったらなんか負けたようなー。」と前を走るユニコーンたちが勝ち誇った顔をする。
「むぅー負けない。負けないぞー。」と意地の張り合い。
「はぁーどうしてこう。ふふふ。」とユニコーンたちが皆生き生きとしている。
こんな事は今までなかったことだ。
なんだかんだとクロエの事を気に入ったのかもしれない。
「少し嫉妬しちゃうなー。」
本来気難しい種なのだが、流石竜を従える者と言った所かな。
「私もクロエを気に入らなかったら今頃、この子に特大の魔法をぶつけていただろう。」と呟く。その目が何かを思い出してか暗くなる。
「スースー、ぐぉぉぉぉ。」と揺れがひどい中でよく寝られる。
「いいや、いけないこの子に罪はないものね。」と首を振る。
頭の隅にちらつくのは昔育った村が竜の襲撃によって失われたこと、私の両親もその襲撃で亡くなった。
その後親友のおじいちゃんに育てられた。
まぁそこの家業を継ぐ気がなく、魔法と魔獣の研究なんかに人生を捧げたが・・・これから向かう場所はその里だったりする。
「クロエー、大丈夫?」
「余裕ー、余裕ー。なんか慣れてきたー!」と逆立ちをしていたりする。
「この子たち急停止したりするからー、気をつけてねー!」と叫ぶ。
「はーい。うわぁぁぁぁー。」と元気よく返事をしたが、急停止したようだ。
「あーあ、言ったそばからー。」と頭を抱える。
「もう!止まるなら止まるって言ってよー!」とぷんぷん顔のクロエが立ち上がる。
「ヒヒーン。」と言って鼻で笑って勝ち誇っていた。
「むー。」と頬を膨らませる。
前方には大きな岩があった。
落石だろうか道を塞いでいる。
「わぁー大きな岩ー。」と驚いた顔をする。
「どうやら私の出番のようね。」
歩き出して岩の前まで来るユニメ。
「?」と興味深そうに見る。
岩に手を当てる。
「ロックブレイク。」と唱えると粉々になって瓦礫ができる。
「ウインドウォシャー。」風と水が瓦礫を粉々にするように凄い速さで回っている。
水分を吸収した土塊ができる。
「イグニッション。」
そして指を鳴らせばその土が一時発火して水分を抜くと砂のようになり風が吹けばそこは岩がなくなった道だった。
「おおーう。」とパチパチするクロエ。
「えへへ。」と照れくさそうだった。
「才能ある人は一瞬で終わるんだけどね。私はこの無駄が好きかな?魔法を使ってる感が愛しくなる。」と語る。
「へぇー。」何かを考えるそぶりをするクロエ。
「クロエも一瞬でできるかもね。」振り向くユニメ。
「えーと、ダーク消去?」と地面に当てる。
「なんで疑問形?へっ。」と気付けば下の地面がない。
「ああああああああ。」と落ちていく。
クロエの前の地面がぽっかりと消えている。
「げぇーやっちったー。」落ちたユニメを追いかけようとする。
それより速く一匹のユニコーンが駆けだしていた。
「負けないぞー。」
それを追いかけるようにクロエも向かって行く。
「うん?」と違和感を覚えると何か角のないユニコーンから羽が生えている。
「えーズルー!」と言ってクロエを置いて空を落ちるように駆け始める。
ユニメは焦りながらなんとかしようとするが、テンパってしまってうまく魔法が唱えられない。
昔から緊張すると何もできなくなる。
自分の弱い所だった。もうだめかもしれない。
天国にいるお母さんお父さん今行きますよと目を閉じながら祈った。
その瞬間、何かにこう掬われる感覚を味わう。
目を開ければそこには翼を持ったユニコーン・・・
「ペガサス!?」と驚きながらその背に跨りながら声を掛ける。
「ヒヒーン。」と答えてくれるのだった。
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