この戦場の本当の主役は・・・
一部連合国軍の首脳はこの戦場を離脱しようとしているようだ。
それにまぎれるように去ろうとするうたはの姿が見える。
先ほどの刀を全力で投げた衝撃で手首をやられたようで、戦闘に支障がでるかもしれない。
力が入らない手をグーパーして感覚を取り戻そうとする。
「うたは様。」
「アヤノ。」と気付いた時にはお腹に一発もらっている。
「どうして・・・。」とその周りには沢山の忍びの装束を着た天狗の仮面の集団がいる。
「まさか・・・そんなアヤノが天狗党だったなんて。」と言って気絶する。それを抱きとめるアヤノ。
「これもすべて私達の国を取り戻すため。そのために貴女に侍になるようけしかけてきたのですから・・・運びなさい丁重に。」
「はっ。」と言って運び始める。
「これでまた建国の準備は整った。世の国のため礎になってくれ。」と落ちている妖刀ござるの刀を握る。
刀を抜こうとして抜けない。
「まさか、断られるこの世が・・・代々将軍の血を受けているはずなのに?まぁいい。別に貴方でなければならないわけではない。後の6本を手にすればいいだけ。」とその刀を腰に刺して歩き始めた。
「さて忍びの国、いえ侍の国に戻らないと。」そう言ってこの場から去って行くのだった。
「いいわー、すべて踏みつぶしなさい。」
数の上では互角、しかし疲弊している連合と聖教国は敵ではない。
またまもなくして、城の旗が帝国の旗に変わっていた。
そこに入場するように入るメルル。
その玉座に付く。
「くっそ!」と縄目の恥辱を受けるプラタノ。
それでも連合国軍や聖教国軍は反抗をやめていない。
「ふふふ、王国も連合も聖教国もあっけなかったわね。」とつまらなさそうに捕えたプタラノを見るメルル。
「もっとこう私を楽しませてくれると思ったのに・・・これもそれもミコミ様のおかげかしら・・・・。」とその隣にミコミを侍らかす。
「くっ、我妻をどうする気だ?」
「妻?何を言っているのかしら?」
「この人が無理やり結婚しようって!」
「そうミコミ様可哀そう。」同情して男に近づいて殺した。
「ひぃー。」とメルルのそのいきなりの行動にミコミは尻もちを付く。
「あら恐がらせてしまってごめんなさい。」とゆっくりミコミに近づく。
少し逃げるように後ろに下がるミコミ。
「これからの統治にミコミ様の力も必要。私達を、いえ私を導いてくれるかしら?ふふふ。」
その笑い方が恐くてミコミは全力で首を縦に振った。
「ふふ、よろしくねミコミ参謀長。」
それにまた全力で涙ながらに首を縦に振る。
ミコミの内心ではどうしてミコミはこんな目に合っているのだろうか・・・・
「がおおおおおお。」と大きなモンスターの叫び声が聞こえる。
「うん、なに?」とその大きな叫び声に向かおうとラウンジに出るメルル。
しかし出た瞬間。
大きな赤い竜の顔に出くわす。よく見れば他の場所でも何匹かの竜が暴れ回って帝国軍や聖教国軍、連合国軍に被害を出している。
メルルは悟る。奴等が現れるまでこの戦いは前座だったのだと。
「あはははは、そう言う事。そう言うことね。ミコミ様最高ー、私にとっておきの死に方を用意してくれたのね。あははははは。」とミコミの方を見る。
「あははは、さぁ私に最高のフィナーレを!」
叫んで笑っているメルルに赤い大きな竜は炎を吐き出すのだった。
黒焦げになったメルルの姿を見ているミコミ。
そのミコミにも火炎が迫り死を覚悟するように目を閉じる。
多少熱いと思った程度で、目を開ければ、どう言うわけか衣服が燃えているだけでいたって無事だったりする。
「おおう、ミコミの真なる力が覚醒したの?」と目を大きく開いて驚きをあらわにしている。
その炎の攻撃で崩れていく城。
「ああああああ。」と落ちていくミコミの身体。
どこをどうして助かったのかわからないように瓦礫の上にいるミコミ。
そこに近づいてくる赤い竜の顔を見てミコミは顔を青くして気を失った。
ゼアーも邪神戦のダメージがあるのか表に出て来ない。
「この子から私達と似た臭いがする?お兄ちゃんの知り合い?」と口に加えて器用に自分の背中に飛ばしてその辺の大きな布で風呂敷の様に包む。
「もしかしたら、お兄ちゃんを盗んだ犯人かもしれない。竜の拷問をしないと・・・。」と恐ろしいことを考えていた。
それからまたひと暴れする。
6匹のドラゴンが王都を灰塵にしようと暴れまくる。
各国の軍は全滅に近い。早めに逃げていたレジスタンスや連合の一部は無事なようだ。
あっと言う間に廃墟の王都の出来上がりだった。
「・・・。」
「・・・。」
二人の実力者マリーナとシロンはそんな王都の様子に酒を飲むのも忘れて呆然としている。
「お酒、私も混ぜてくれる?」と二人の背中がぞわっと悪寒に包まれる。
おそらくコイツに逆らったら殺されると瞬時に思ったほどで身構えた。
白髪の二本角の生えた女だった。
「どうもー、こんにちはー現在最強のドラゴンの一角、白聖竜妃コクルコでーす!おー酒、ご一緒してもいいかー?」となれなれしく肩を組んでくる。
許可を取らずに飲みだす。
ゴクゴクといい飲みっぷりだ。
「ああ。」
「いいぞ。」と二人は酔いが覚めたのか素面で答える。
「ぷはーうまいなーあはは、しかしやり過ぎたかな?二人とも飲みーな。」
「ごくごくぷはー。」と二人シンクロしたようにラッパ飲みする。
それがお酒ではなく水のような味わいにしか感じられない。
「いい飲みっぷりやー、どうや、私の可愛い、可愛い息子知らんか?二人から漂って来る臭い・・・女の加齢臭、おっと息子の匂いや。」
その時だけ二人の実力者に睨まれちょとビビったのかもしれない。
「知っているけど話したくない。私にとっては友達だから。」
「私も知っているけど今どこで何しているかわからん。」と二人は堂々としている。
「ふーん、この美味しいお酒をもらったから、まぁええわー、どっちにしろ手掛かりは見つけたようやしなー。」と大きな赤い竜が気絶した女を背中に乗せてこちらにやって来ようとしている。
「またなー。」と流石に7匹の竜に囲まれて生きた心地がしない二人。
「ぎゃおー。」と残りの6匹が威嚇するように叫んでいる。
「死んだかもしれない。」とシロン。
「ああ、やべー。」とマリーナ。ここで滅びゆく王国を肴に酒飲みをしたことが悔やまれるレベルだ。まさか滅びるどころか、灰燼に帰しているのだからな。
目の前で人が大きな白い竜に変わるのを見ていた。
「ごおおおおおお。」と一際大きな声で叫ぶ白い竜。
「ではまたね。」と挨拶する。
その白い竜が飛び上がると後ろの6匹が追いかけるようにこの場を後にした。
「酔いが覚めたー。飲みなおそうか?」
緊張が溶けて再び旦那の事を思い出したのだろう。悲しみがすんと押し寄せて涙目になっているマリーナ。
「ああ、もらおう。」と言ってシロンが飲んだ酒の味は確かにアルコールを含んでいた。
私も一筋の涙を流すのだった。
後にこの物語が絵本として語り継がれることになる。
傾国の美女ミコミと7匹の竜の物語として・・・
第三部終了。
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