王族としての責任と
一部、残酷な表現があるので気をつけてください。
「なんでこんなことになったんだろう?」と考える第二王妃ナツリ・フォン・アケロ二ア。
最初に状況が狂い始めたのは第一王子の誘拐事件だった。
「これで私が王様になれる。」と言って来たルオンに多少の不安を感じたが、内心では喜びもあった。
それから第一王子派を追い詰めて、第三王妃も逃走した。
性格は合っていた。友達としてはよかったが、それでも政敵に違いはなかったからだ。
これで目の上のたんこぶはなくなった。
そのはずだった。
蓋を開けて見ればレジスタンスに城は乗っ取られ、息子、いや娘の第二王子の安否も不明。
私も囚われの身になった。外に出ようにもドアの前で見張られて外に出れる状況ではなかった。
「これからどうすればいいのか。」と悩む。
そんな時に上を見上げれば天井の隙間からこちらを見ている何者かと目が合った気がする。
「?」とよく見れば人がいる。
「こんにちは。」とここに降りてくる。
「ええ、こんにちは。」
女は一風変わった服を着ていて、まるでそうこの場所に忍んで入ってきているような恰好だった。
「では、行きますよ!」
「はい?」
「実はちょっとした内密の依頼を受けておりまして、王妃の誰かがピンチなら助けてやってくれと棟梁から言われております。依頼なので、では行きますよ。」と手を握ると暖炉に走り始めた。
「えっえっ。」
暖炉の床面を擦ると何らかの文様が浮かび上がる。
それに触れる女。
そこがパカリと開かれて何かの大きな滑り台みたいなものが現れる。
「えーと、これは?」
「この城に設置してあるギミックと言うものらしいです。なんでも王族をどこからでも逃がせるように作った抜け穴ですね。」
「へぇー。」となんだかワクワクしてくる。
「では、行ってください。」と背中を押される。
「へっ。」と言うとその穴、いや滑り台に落ちるように落ちて行った。
「ああああああああ。」との叫び声が聞こえてくる。
「なるほど。」その叫び声でどのようになっているか把握するアヤノ。
そしてアヤノも安全と判断して、その滑り台に身を投じるのだった。
その頃クロエもまた第二王子のルオンを連れて火の中から脱出していた。
窓から外に出てたったと城を走り回りながら、警備の薄い所から脱出しようと企む。
その視線の先にマリーナを発見して、強行突破もありかなーと思った。
レジスタンスのいる城の広場を抜けてマリーナの元に辿り就く。
「お前、凄いな。」と感心するマリーナ。
「でしょー。」と満更じゃない。
クロエとマリーナの耳に大きな戦闘の音が聞こえる。
そちらの空を向く二人。
「まったくバケモノたちは困るね。」とマリーナがあんな上空の戦闘には付いて行けないとやれやれ顔をしてクロエを見る。
「げっ。」その目はランランとして今にも向かいそうだった。
「おい、行くなよ!」と止めるがその言葉を無視してクロエは行ってしまった。
「まったく好奇心が旺盛なのは誰に似たのだか。」とやれやれ顔だ。
「どうした何かあったか?」と戻ってくるクオン。
「ああ、ちょっと親族がな。第二王子連れて逃げてきてたからな。」
「ほう、それは優秀だな。となると残っているのはマユカと第二王妃のナツリか。」
そんな私達の側でぱかと丸いマンホールと呼ばれているものが開く。
こう見えて貴族街は地下水道が完備されている。
警戒をするマリーナ。
「よっと。あれ?宰相殿?」とそこから現れたのはナツリだった。
「噂をすればという奴か?」
「そうみたいね。」と二人はそれで判断する。
そこからもう一人女が現れる。
「雇い主?ではないね。」とこちらを警戒してはいないようだが・・・
「私の名前はアヤノ以降お見知りおきを、元宰相閣下。」
「アヤノ・・・忍びの国のものか。」
「はい、ゆえ合ってこちらの御仁をお連れしました後はお願いしても?」
「ああ、助かった。それと雇い主とは?」
少し考えるアヤノがそっと手紙を差し出す。
それを二人で覗き込む。
もしも私の身に何かあればどうか親族が危険だと判断したなら保護してやってくれ!ヤコウ・フォン・アケロ二ア
「兄上。」とその手に手紙を握りしめる。
「しかし、その手紙には不可解な点が多少ありまして・・・。」
「不可解な点?」
「はい、その調査も少ししているんですけど未だ真実に辿りつけていないのです。」
「それはなんだ?」
「それは・・・。」と耳打ちする。
「そうか、はははは、そうか合点がいった。」
「?」
「ああ、あの場所にあれがなかったからな。」
「そうですか、それは興味深い。」
「ってちょっと待て二人してなに話してるんだよ!」と割って入るマリーナ。
「いえいえ、決してそう決して浮気話ではないかもですよ?」
「おい!」
「むむむ。」とクオンに抱きついて涙目でアヤノを睨む。
「ふふふ、可愛い奥さんですね。」
「そうだな。」
「それでは私はこれで・・・」と消えるようにいなくなった。
「あれはなんだ?」
「なんでも東方には忍者と呼ばれる隠密に長けた存在がいるらしいぞ!」
「そうか。」
「・・・。」
「・・・。」
「行くの?」
「ああ。」
「お前でなくてもいいのではないか!」と涙ながらに怒る。
目を閉じる宰相。
「いや、私でないとダメなんだ。この国を終わらせるのは私でないとダメなんだ。」とまるで自分に言い聞かせるようだ。
「バカ。」と背中を殴る。
「ああ、バカだな。娘達を頼む。」
「わかったよ。ひっぐ。」と涙を拭っている。
「ほら泣くな。いつかきっとまたあの世でな。」
「私、不老だからきっと遅くなるよ。うぐえっぐ。」
「ああ、今度はわたしが待ってるさ。ずっとな。」
「そうか、そうしてくれ、またな。」と笑顔を向けてくる。
「ああ、またな。」とそう言ってこの国の王族としての顔になり兵を連れて王城へと歩みだすクオン。
「ほんと、男ってバカばかりなんだからあああああああ。えっぐ。」
結婚してからの楽しい日々を思い出す。
向けられた笑顔の数々。
コネタンやルイネとも話しをした。
お前はいい父親だったよ。最後まで・・・
「特にクオンお前はドバカだからなーーーーーー。」と声の限り叫んだマリーナ。
それに後ろ手に手を振って答えるクオン。
崩れ落ちるように地面を叩いて泣いたマリーナ。
「ははは。」と笑って動かないあおのりがいる。
「リーダー、しっかりしてください!」
「リーダー!」と声をかける。
「俺は信じてたものに裏切られて・・・俺はどうすればいいんだ。」
「・・・。」
「・・・。」
「誰か答えてくれよ!」とその言葉に答えをくれるものなどいない。
「リーダー。王国の元宰相が交渉をもちかけてきてます。」
「元宰相が・・・そうか、僕が行くしかない。」と剣を持ちそこへ向かって行く。
「来たか、ずいぶん待たされたな。お前がリーダーか若いな。」
「本当は僕なんてリーダーの柄じゃないんだ。なのに裏切られて・・・。」
「そうかお前も大変だな。だがレジスタンスとしてけじめをつけろ!腹を括れ!男だろ!」
「お前に何がわかる!」
「わかるさ、俺も王族としてけじめをつけに来たのだからな。」
「何を言って。」
「そうだな要求は家の娘マユカを返してくれないか?」
「はっ何を言って・・・」
「報酬は王族であると同時に元宰相の俺の首だ!不足か?」
「勝手に話しを進めるな!」
「なら他に方法があるか?」
「なに!」
「俺の首を持ってさっさと連合国に降伏しろ!」
「なにを言って!」
「お前たち王国の民が助かりたいならそれが最後の道だ!レジスタンスは連合にとって邪魔者だからな!それし道はない!やれ、俺の首を持って行け!」
「リーダー、マユカを連れてきました。」
「親父・・・俺は・・・。」くっと苦虫を噛み締める。
「連れていけ。」と側にいる兵士に命令する。
「何を!親父、どうして俺を・・・見捨ててくれなかった!これから必要なのはあんただろう!」
「それだけわかっていれば、あとはどうとでもなるさ。」
「おやじーーーーー。」とジタバタ暴れるマユカを気絶させる兵。
「頼む。」
「アイアイサー。」と兵の皆が敬礼して去って行く。
「ふっ。」一体誰に影響を受けたのだか。
側に落ちている剣を拾って首に当てる。
「たしかこうだったな。炎もゆ、王国最後の、希望を託して。我ながら下手な辞世の句だ。じゃあな!あとは頼む!」と首を掻っ捌いた。
その血を浴びて呆然とするあおのり。
「ああ、あああああああ。」と俺達のレジスタンスは間違っていたのだろうか?
もうあおのりにはわからなかった。
その後レジスタンスは元宰相の首を手みあげに連合国に降伏した。
これにより王都は連合国のものになるのだった。
そんな連合の真ん中にミコミはきょどきょどしながらいる。
「流石ミコミ殿、スパイとしてよくやってくれたとその手を握ってブンブン振る。」
「ははは、ミコミにとってはこのくらい朝飯前かなー。」とその後ろで頭を下げているあおのりが悔しくて拳を握っている。
献上されたクオンの首は満足そうな顔をしていた。
しかし、事態はそれだけでは終わらない今度は聖教国の軍13万が王都の北側に布陣する。
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