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シスコンの戦線離脱

俺達が出て行った辺境伯家の屋敷は慌ただしくしている。


「へぇー、そうなのね。」とそこでお茶を飲みながら優雅に話しをしているマリーナ。

「ああ、ラミーナによると各国が動き出しているらしい。」


「ふーん、やはりこの王都は落ちるのね。」

「そうだ。」


「ああ、叔母さん、叔母さん!」と近寄ってくるライズを取り敢えず殴って黙らせる。


「でっ、なに?」殴られた箇所は再生し出しているライズ。

最近なんか妹の事を思えばそう自動再生するスキルを得たらしい。


「大変、なんです。こうしてはいられないのです。どうかおばさんの力を借りたくて!」

「なんだ妹の身に何かあったのか?それとおばさんじゃなくてお姉さんだ!」

「おい、どうしたんだライズ。」


「妹が・・・王子達を襲って囚われたらしい!」

「はっ?」とお茶を飲もうとしたカップを落とすランドル。

「私は聞かなかったことにする頑張れ!じゃ!」とコップを置いて帰ろうとするマリーナ。


そこに縋りつくライズ。

「おい、放せ!」と引っ張る。

「どうかおばさん、おばさん、元宰相閣下に執り成しを!」と泣きつかれて顔を近づけてくる。


「おばさん、おばさんって言うな!わかった。わかったから、うざ!」と嫌そうにする。

「どうかお願いします。」と土下座する。


「っち!こっちもそれどころじゃないんだけどな!アイツどこ行ったんだ?」

今日この日絶対何か起きる日にいなくなった義娘のコネタンを探していた。

ここに立ち寄ったのも探しに来たついでだった。


「一日やそこらでどうこうって話しじゃないと思うが、急いだほうがいいか。お前もなんかこう変身とか言っている女の子がいたら捕まえておいてくれ。」


「わかった!だから妹をー妹をー!」と号泣している。


「はいはい!じゃあな、死ぬなよ!」とランドルに向かって言う。

「そっちもな。」


「ふふ、誰に言ってんだか。」

「そうだな。」


早足で去って行くマリーナ。


そのもとにクラゲがふよふよ近寄ってきて、ビリビリを食らっている。

「あいいい。」と言っている。

ビリビリの電子信号で映像を直接脳に送ってくる。

「もっとこう間接的な伝え方はないのか?」とちょっと焦げ臭くなっている。


「ふーん、竜の子が王都の空を徘徊していたね。それだけ?のために私にビリビリしたの?お前ご主人様舐めんなよ!」とクラゲと喧嘩している。


「おっとそんなことしている場合じゃない。」と後ろから早く報告に言ってくれと言う視線を感じたのでクオンの元まで向かおうとする。


「本当は私が逃げているだけなのかもしれない・・・か。」そんな呟きを残して向かって行くのだ。



「父上、私は武装した者達を連れて王城に向かいます。」

「やめい!」と止める。

「ですが!クロエの命が掛かっているのです。このシスコンの命を燃やさずして、いつ燃やすのですか!」と問いかける。


「冷静になれ!そんなことしたら!確実にクロエは処刑になるだろう。お前は謹慎していろ!」

「絶対に嫌です!私は一人でも勝手に行きますからね!」

「おい!」とドンドンと歩いて行ってしまった。


「はぁーままならんな。」ラミーナから届いた書状にはこう書かれている。

「早く帰って来なさい。逃げなさい。クロエとライズを連れて。あとマリーナも出来れば・・・王都の端にある河の上流に海軍の改良した船を着けているからもしもの時はそこから脱出しなさい。それと一応愛しているわ。」


いつも通り義務的な愛の言葉。

「はぁー。」と夫婦でいるが未だ掴みきれていない女心は難しいと感じたランドルだった。


さて、ライズにそうは言ったが私も抗議の手紙くらいは出そうと筆を取った。



ライズは一人で王城に向かっている。

そこについてくるのはルイネだった。


「今、貴方が行っても意味はないですよ!」

「それでも行く、俺はシスコンだからな!」


「はぁー、どうして私は・・・。」とそれに付き合うように向かって行く。


「ルイネ、どうしたの?」と王城に向かう道で出会ったイコイに呼び止められる。

「げぇーイコイ!」と一番会いたくない面倒くさい女に会う。


「いや、なんでもない。」

「あーもしかして噂のシスコン婚約者!」

「ふっそうだ俺がシスコンだ!」と親指を立てて歯を見せる。

「おおう、流石ですね!私もクロエちゃんの魅力はとんでもなくわかります。あのポテンシャルの高さ。愛しますよね。」顔を抑えて首を振っている。

「そうだろう。そうだろう。」と意気投合している。


「ルイネも納得していることですし、では私も婚約者にお願いしてもいいですかね!」

「いいとも!」

「おい。」


「じゃあ婚約者の証としてこの薬飲んでくださいね!」

「あっ待て!」

「えっあっえ。」とその薬を飲んでしまったライズ。


「あー遅かったか。」と頭を抱える。

「今度は何を飲ませたんだ?」とイコイに聞く。


「うーん、なんだったかな?」と惚ける。

「あのだな人の婚約者を取った挙句に薬を飲ますんじゃない!」とライズの右腕を組んでいる。

「はぁーふざけないで!この人は私のものよ!」と左腕を組む。


「えっあっなに?それよりもクロエの元に向かわないと!」

「貴方は黙っていて!」と二人が言う。

「黙っていられるわけない俺はお兄ちゃんだからー。」その声は虚しく二人に連れ去られてどこかに消えて行った。


ちなみにその薬の効果は過剰な惚れ薬で薬を飲んだ直後に近くにいた女を虜にしてしまうというものだった。

こうして知らずにこの三人はしばらく行動不能になる。


「俺はクロエを・・・妹を助けに行かなければいけないんだー。」

「俺のシスコン魂はこの程度だったのかー!」がく。


そんな声がこのあたりに響渡っていたという。

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