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入学式への道中 前編

今日はクロエの入学式だった。

制服姿に着替え、辺境伯家の皆の前に出る。


テトもこの日のために学生服っぽい竜の子の衣装を着せられている。


「ぎゃお。」なぜ俺まで?

「似合ってるねー。」と笑顔のクロエ。

「ガオガオ。」そうかー?

「うんうん!」と首を縦に振る。

「ぎゃおー。」まぁいいかー。

「もう、適当なんだからー。」にぱーっと笑顔だ。

「がおがおおー。」お前に言われたくない。

「ええーそんなに適当じゃないよー。」と抗議する。


「うおふぉん。」と咳払いする父親のランドル。

「ほえー?」

「お兄ちゃんは感動している。クロエの、クロエの学生服姿にーどうして先に卒業してしまったのかー。一緒に学園生活を送りたかったー。」と泣きじゃくり床を叩きまくっている。

頭を地面に何度も頭突きしている。

見ていて恐い。それを冷めた目で見る王都にいる辺境伯家の皆。


「クロエ、学園生活を楽しんで来なさい!」

「はーい。」と手をあげる。


「クロエ様、今日から寮より通う事になります。私も付いて行きますが、基本学園には学生と従魔だけと言う規制がありますのでわからないことはすべて後で聞いてください。ノエノスお姉さまの様に腕っぷしで学園を支配する事がないようにお願いします。あとテト様、たまーにで、いやいつもでいいので抜け出して下さいよ!」と最後はこそこそと笑顔が恐い。一体今度は俺が何をしたのだろうか?



「うんわかーたかな?お姉ちゃんそんなことやってたのかー見習わないとー。」といい笑顔になる。


「絶対にダメですよ!」

「えーちょとくらいいいじゃーん!」

「ダメです。」

「スミンのけちー!」ぶーぶーの顔をする。


「それと母さんみたいに裏で学園を支配しちゃダメだからな。」

「なにそれー、一番面白そーう!」と目を輝かせる。


「今度聞かせるから。今は遅れないように出ような!後でラミーナに怒られるかも。」と目を逸らす。


「ぜーったい!ぜーったい!教えてねー!」と父親に詰め寄っていた。

目が本当に興味津々の子供だった。


「わかったから、いってらっしゃい!どうにか誤魔化さないと!」とちょっと焦っていた。

「はーい!行ってきまーす!」と玄関のドアを開けて二人と一匹は出て行った。



その出て行った辺境伯邸。

クロエを見送ったランドルはその場で屋敷にいる全員に命令する。

「これから更なる厳戒体勢を取れ、執事、メイドは武具を装備し兵達は訓練は抜きにして、しっかり今のうちに休み、夕方に備えよ。ほら起きろライズ。」と揺するランドル。


「クロエー。」と鼻血を出しながら気絶していた。

「タルタロス、すまないが部屋に運んでおけ。」こういう所を見ると次期領主がライズで大丈夫かと不安になる。まぁ婚約が決まっていて、それが宰相閣下の子供ならばすべて私の様に任せてしまえばいいかと考えている。


「まぁ強く生きろよ!」ときっと尻に敷かれる親父と同じ運命を辿るだろう。

「まぁこれもラドルガ辺境伯の男故だ!運命を受け入れろ。あははは。」と乾いた笑い声を漏らした。


学園に向かう裏通りの出店街。


「おおう、嬢ちゃん入学おめでとう、ほら食ってけ!」

「ありがとう。ウマー美味!」

「おおういい食いっぷり。この野菜どう。」

「かぷ。もぐもぐ。がおー。」と食べたのはテトだった。


「美味しいって!」

「おおうそうか。」とちょっと残念がる。

裏で泣いている。

「野菜だって美味しいんだぞ!」

「相手はクロエちゃんだ!手強いだろう!」

「お前はいいなぁー肉屋だからー焼いたら食ってもらえるからなー。」との会話が聞こえてくる。


「クロエちゃんおめでとう。これどうぞ!」

「ありがとう!」と言ってカステラのような丸いお菓子をもらっている。


「うまーうまー。」とにっこりだった。


どこもかしこから入学祝をもらうクロエ。


いつももらっているのにさらにもらっている。

この出店街のマスコットみたいなものだから可愛がられているのだろう。


「うまーうまーうまー!」フライドチキンの屋台だった。

「三連うまー入りましたー!」

「おおう!」とどよめき拍手が起こってそこの店主が泣いて喜んでいる。


三つうま星の出店と言う看板が出ている。

「ありがとう!ありがとう!出店やっててよがっだー。よがっだー。」と男泣きしている。


そこの屋台に行列ができている。

男は泣きながらフライドチキンをあげていた。


スミンはそんなクロエの様子に胸やけをしている。

最近ちょっと気になりだしているお腹をぷにぷにして溜息を吐く。


「これが若さゆえの代謝だというのか?」と拳を握っている。

「いや、まだ若いこれからでも取り戻せる!」と何かに燃えていた。


「はーい、テトのぶん。」さっきから嫌いな野菜ばかり押し付けてくる。

「ガオガオ!」いや肉もくれよと言いながらタマネギの丸焼きを食べている。


それを聞いてない振りをしながらどんどん先に進んでいく。


「クロエちゃん、クロエちゃん入学おめでとう!」と孤児院の子供たちがクロエを取り囲んで回り出す。

「ありがとう!」と一緒になって回り出す。

「わーい、わーい。」と騒がしい子供たち。

「わーい、わーい。」とクロエも言っている。


「テト。」

「うわぁー。」とビビる。そこにいたのはハウだった。


「そろそろこれにサインをしてくれる気になった?」と手書きで作った結婚証明書を見せてくる。

「いや、断る。」

「残念無念、また明日。」と去って行って子供たちの輪に入っている。


「ああ、惜しかったね。」

「無念。」

「もうちょっと押した方がいいよ!」と何かアドバイスを受けている。

「うんわかった!」と、どうやら仲良くやっているようで安心した。


クロエがもらったものを孤児院の子供たちに振舞っている。


「クロエ様、そろそろいかないと間に合いませんよ!」

「あっ、そうだったー。じゃ、皆またねー!」

「バイバイ!またねー!学校頑張ってー!」

「バイバーイ!」

クロエは後ろ向きに歩きながら両手で思いっきりバイバイしていた。


そこに現れる屋根の上のとんでもない奴の影を感じる。

逆光でその姿は良く見えない。


「ふっふっふっ。」との笑い声が辺りに響いた。

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