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聖教国と連合の出陣

ルバロフ聖教国


青年の男、大司教プタラノ・スートロがカチャカチャと音が鳴るなれない鎧を着ている。

早足で歩いている。

その目には野望の火が燃えて止まない。


ここまで来るまで、一体どれほどの時間が過ぎたか・・・いや早すぎたか?

目の上のものにおべっかを使いながらも、追い落とす工作に時間を費やしその座を奪ってきた。気付けば大司教というくらいにまで昇りつめ、その上には教皇を残すのみになっている。その教皇の弱みもすでに握り、この遠征が成功した暁にはこの私が教皇になる!


「プタラノ様!準備はすべて整っております。王城へと続く道はすべて隠れ信者たちがクーデターを起こす手はずになっており、また兵、いえ信者たちもこれからの悲願に向けてその命信仰に捨てる覚悟です。」と並走して歩きながら報告してくる側近のルカ・イオン。


そうして報告を聞きながら大きな扉の前に付く。

「そうか。くくく。よし行くぞ。」と大扉を開ける。

門の兵士たち。


ルバロフ大神殿の前に整列している軍の前に出る二人。


「これはすごい!」と思わず言ってしまった。

立派な鎧を着ている信者たちの軍勢が辺りを埋め尽くしている。

この拳に震えが止まらない。


「勝てる。これは勝てるぞ!ルカ将軍!」

「はい、これで神から託された信託。大陸制覇への一歩が刻まれますね。」

「ああ、これが我が天啓よ!」と無邪気な笑いを見せる。


「皆聞け!神が我々の信仰を認めてくださった!」

神とは便利な信仰の道具だ。そう言っておけば勝手に信者たちが盲信してくれる。

まぁ全身とに向けた神の宣託があった以上、私の言葉に説得力が出る。


「おおうー。」とどよめきが起こる。


用意された白馬に華麗に乗るプタラノ。

「勝ちは揺るぎがない!皆進め!前進あるのみ!」と言って整列した軍の中を白馬に乗って駆けるプタラノ。

その目は勝利を掴んだと確信していた。

その後ろについて黒の馬で疾駆するルカが横に付き並走する。


「それにしてもあの手紙を書いた奴も中々の切れ者だ。ぜひ我が聖教国に迎え入れたい物よ。」

「あの手紙ですか?確かレジスタンスの首領ミコミとか言いましたか。」

「ああ、我が妻に欲しいくらいよ。」

「はは御冗談を!もっとふさわしい妃がおりますよ。」

「ほう、誰だ?」

「そうですな。帝国の女帝モナ―ル様など良いのではないですか?聞いた話しでは傀儡と言われておられますからな。」

「はははは、そうなれば大陸の手中は収めたも同然か!ふははは!考えておく。」

「はは、そうなると目障りになるのは、連合国のみになります。」


「その連合もこの策で・・・くくく完璧な計画だな。」軍の先頭を行く若くして大司教に昇りつめたプタラノ。そこからさらなる栄達を望んでいた。


「やってやろうじゃないか大陸統一!そして我が名を歴史に刻むのだ!ふはははは。」と力強く誓うのだった。


およそ10万の大軍で王都への道を進むのだった。



ニコ連合王国


出せる兵力には限りがある。なので王国の貴族たちに裏切り工作を続けてようやく一段落が付いた。

金や名誉などを約束したが本当に信じてもいいものか?未だ疑念が尽きない。

結局金で裏切ったものは金で裏切り、名誉で裏切ったものはその名誉にまた裏切る。


裏切りとは癖になるものだ。


「ふぅー。」と息を吐くシュウタイ・ナナリ。

「お疲れ様です。」と言ってお茶を出してくる。

「ああコボロ、すまない。」とそれを飲もうと手に取る。


バン。と勢いよくドアが開く。

そのせいでお茶をこぼしてしまう。

染みになった書類は書き直しかもしれない。


「申し上げます。」

「無礼であろう!」と秘書が言っている。

「いい、何があった。」と自分がこぼしたお茶をふき取る。

「はっ、ルバロフ聖教国動き出しました。」


「なに!」と思わず立ち上がる。早すぎるまるで何年も前から、いやそのつもりだったか。

「早いです!誤報じゃないのですか。」と思わず詰め寄る秘書コボロ。

「いえ、商人達からの報告です。間違えありません!近日中には軍を発すると!」

下を向きながら答えてくる。


バーン!と机を叩く連合王国の宰相シュウタイ。

「くっ!先手を取られた!一緒に進軍する約束を反故にするとは!」

「どうされますか!」と困惑した顔で聞かれる。

「こうなったら仕方ない。今、集められる軍はどのくらいだ?」


「およそすぐに動かせる軍は3万くらいです。」と苦虫を噛む。

「3万か少ない!」と地図を見る。


「どうされますか?」

「募兵を募れ、それから寝返ったポルドラ侯爵にも連絡を入れておけ、軍を整えろとな。それで4万に行くかどうかだな。傭兵や、この際冒険者たちでもいい。なんとか7万はかき集めろ!聖教国とは戦線を組むからな。それにレジスタンスの総統ミコミは我が方のスパイだ。いざとなれば戦力が増強される。」と希望を伝える。


「なるほど、そう計算すれば7万は現実的かもしれませんね。すぐに。」と部屋を出て行く。


「お前もご苦労だった!」

「はっ!」と言って立ち去る。


「うん?あんな兵士いたか?」と疑問に思う。

「おい待て。」と呼び止めるがそこにはもういなかった。


「怪しいが、情報も嘘と言うわけでもあるまい。」


その数日で6万という軍勢を整えることが出来たのは連合がそれほど優秀だったと言うことだろうか。しかしその軍は突貫的な部分があり統率があまり取れていないようだった。


「なんとか体裁は整えたか。」

「はい、なんとかではありますが・・・。」


「皆の者、聞いてくれ。ルバロフ聖教国は我々との約定を破り、出し抜いて単独で王国を落とそうと企んでいたようだ。」


「我々はそんな卑怯な奴等に負けない。必ず奴等より早く王都を手に入れるんだ!」と拳を突き上げる。


「おおおう。」と気合を入れた。

「進軍!」と進み始めるのだった。


色々と不可解な所はあるが今はこの王都争奪戦に負けるわけにはいかなかった。

主導権を取るためには先に王都を奪わなければならなかった。


そんな彼等に情報を伝えた兵士、その顔をビリビリと破り美人の顔が現れる。


「これもビカーナ様が指示された事。しかしこれが本当に聖教国のためになるのか?」と剥がした顔を握りしめていた。

「ビカーナ様。」と今はどこで何をされているのだろうかとそんな事を思う一人の聖教国のスパイだった。

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