独占欲とヤンデレ
「で、この人は何?」と腰に手を当てて仁王立ちするスミンに詰め寄られるテト。
「さぁー、本人に聞いてくれ。」と目を逸らす。
鑑定で知っているけど答えるのはなんとなく嫌だった。
「まぁまぁそこまでに、主様も何か考えがあるのかもしれません。」
「しかし、先生!」と抗議する。
子供に抗議しているメイド。なんと言っていいのか。
「いけませんよ。メイドたるもの主をしっかり立てるものです。まぁ浮気したら若干は拗ねていいのではないのでしょうか?ね!主様私と浮気を!」
「しません。」
「しないからな。」
「主様の鈍感!」とまったく近頃の女の子はこんなのなのか?
前はお婆さんだったからその時の思考か?やばいだろう。
「まぁいい、どうせ起きたらわかる。俺の口からは言いたくない。絶対にトラブルになるからな。」
「もうなってると思いますが!」とドアップで近づいて睨んでいるスミン。
段々と近づきすぎて逆に顔を赤くしている。
まぁー可愛いなと思ったのは内緒だ。
それを微笑ましそうに見ているビカーナ。
「まぁそれはともかくこの子は毒に侵されていたのです。それ相応の立場のものが狙われたか、何かの拍子に毒を飲んでしまったのかわかりませんが、それ相応の対応が必要かもしれません。」と常識人に戻る。
「そうか、またダンジョンにでも送るか?」
「それがいいかもしれませんね。」と答えるスミン。
「あのダンジョンとは?」と困惑している。
「先生には話していませんでしたが、私達はダンジョンの管理者と仲がいいのです。それゆえに一人預けているものがいまして・・・」
「なるほど。」とそれだけで思考が追いつくのは長年聖教国のスパイを統括してきた実績だろうか。
「まぁそこに預けて置けば安全かもな。もしくは辺境伯領にでも送るか?辺境伯婦人にでも保護してもらえばいいだろう。」ラミーナに貸しを作ることになるかもしれないがこの際しかたない。まぁこの子はある意味、爆弾みたいなものだからな。
「なるほどそれもありかもしれませんね。」と考える仕草をする。
こう見えてスミンも頭が切れるのだ。
「その時には私もご一緒しても?」
「そうだな。そろそろこの家で匿うのも限界だろう。」
「そうですね。ちょっと訝しがられてますから・・・。」
「もう送るか?」
「そうですね。早い方がいいでしょう。」
「ちょっと待ってください。もうちょっと一緒でもいいじゃないですか!」とテトを抱き締めようと近づくビカーナ。
その前に立ちはだかるスミン。
「例え先生でもテト様は渡しません!」
お互いに静かに睨み合う。
「話しが終わったならさっさと送ろう。」
「そうですね。」
「いやー。」と叫ぶが皆でダンジョンの最下層に転移する。
ちなみにクロエは遊び疲れたのかグースか就寝中だった。
「もう、どこいくのぉーテト、そっちに美味しいものがあるのーむにゃむにゃ。」とお腹を掻いて、掛けられた布団を蹴り上げて寝相が悪かったりする。
ダンジョン最下層 ユカリの間。
床には畳が敷き詰められて、ダンジョンには似つかわしくない部屋となっていたりする。
俺達はそこに靴を脱いで上がり、それに倣ってビカーナも行動した。
「あら、来られたのですね?」と出迎えたのは着物を着たユカリ、お風呂上りなのだろうかちょっと湯気が立っている。
「ああ、また二人お願いしていいか?」
「ええ。」とビカーナの方を向いてくる。
「始めまして、私はビカーナ・ジュエルです。」
「あらご丁寧に、私はユカリです。それとそっちで寝ているのはラビッタちゃんです!」
「ぐへへ。私が王様になったらお前たちは終わりだーぐへへー。」と腹を搔いている。
一体どんな夢を見ているのだろうか?
「それでそっちの人は?」と未だ寝ている女を見てくる。
「ああ、こっちは・・・起きたら聞いてくれ。」と顔を横に向ける。
「?はーいわかりました!それで今晩はお泊りですか?」と顔を傾けて聞いてくる。
「いえ、帰ります。」とぴしゃっと言ってくるスミン。
「そんなーそろそろいいんじゃないですか?」とお風呂上がりの着物がちょっとエロく見えたのは内緒だ。
「ダメです。」
「もうスミンちゃんの独占魔!」
「だよね!私もそう思います!独り占めはズルいです。」
「ダメなものはダメなんです!そもそも複数の女性と付き合うのはナンセンスです!法律でもダメだと書いてあります!」と両手をジタバタさせる。
「ぶーぶー。」
「ぶーぶー。」と二人が抗議をする。
「あ、でもテト様は異種なので人間の法律なんて適用されませんよね!」
「そうですか、なるほど!それならハーレムも叶いますね。」と二人でスミンに詰め寄ろうとして、そんな言葉を聞かないでテトを抱き締めてそのまま転移で行ってしまった。
「あらら、お熱ですね。」とビカーナ。
「そうですね。まぁいい男?竜ですから、わかりますよ。」
「わぁー同志!」
「いぇーい同志!」とパチンとハイタッチをして二人は分かり合ったのだった。
「王様の命令です。まずはそう土下座をして謝りなさい。だけど処刑でーす。むにゃむにゃ。」一体なんの夢を見ているのだろうか?
その横では帝国女帝モナールが寝ている。
くしくもここに二か国のトップがいたりするのだった。
屋敷スミンの部屋
「まったくあの二人は考えが不潔です!男たるもの一人の女性を愛すべきです。そうですよね!」と恐いスミン。完全にヤンデレだ。しかも今なんか包丁を持っていたりする。危ないこんなときに答えるのはイエスかハイしかない。
俺は全力で首を縦に振った。
「そうですよね!」と満面の笑みが恐かったのは内緒だ。
しかも、包丁の先であーんしてくるというヤバいやつがスミンだった。
おれは汗汗しながらそれを食べるしかなかった。
こうして俺はこの日スミンの抱き枕として一緒に寝るしかなかった。
段々とヤンデレ化が止まらないスミンをどう矯正して行くか悩みが尽きない夜だった。
「えへへ、ぐへへ。」と涎を垂らしながら首を締めてくる。
あんまり締めると流石にミシミシ言ってくる。
俺はもしかしたらいつかスミンに殺されてしまうかもしれない。
今はまだその力が及んでないだけで・・・いつか必ず。
「どうするかな。」と独り言を呟いて俺も目を閉じた。
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