100話ありがとう!
帝城ガンニガウスの玉座に座っている女帝モナール・ド・ルオファ。
「ふぁー。」とあくびをする。
飾られた玉座に座ってくだらない話しを聞いて、退屈そうにする。
さっきから議論が止まない。
王国に攻め込むか、そうじゃないかとかその間にある聖教国と連合国をどうするかとか。
戦争の話しをしている。まったくくだらない。
「はぁー、ここにいる意味がある?」と発言をすれども私の声は誰にも届いていない。
誰か籠の中の鳥の私を連れ出してくれないだろうかと内心思う。
メイドが私の豪華な杯にぶどうジュースを注ぐ。
そしていなくなるメイド。
不審に思うがまぁ、そういう時もあるかもしれない。
「うん?」その時、私の下に何かわからない渦が出来ている事に気づく。
100と書かれた0の文字から渦が・・・
何か呼ばれてそこに足を踏み込めば・・・突然姿がかき消えた。
残ったのはからんと若干飲み干され零れた毒のブドウジュースと豪華な杯だった。
それから議論に夢中だった側近が女帝がいないことに気付いたが、それでも議論をやめずに結局いなくなった事実に気付いたのは一週間後というわけのわからない状況だった。
俺は冒険者ヘイロンの格好でこう転移の練習をしていた。
自分で転移をするのは恐いのでものを飛ばしたり、引き寄せたりしている。
「ふむ。」と第一王女違った第一王子を呼び寄せて送り返す。
今日もなんか着物を着せられている。
「やっと!我の出番か!」
”100話おめでとう”のタスキを付けてたりする。
なんかわけのわからないことを!と思って元のダンジョンに送還する。
「ちょっと待って!王城に戻してくれるんじゃないのかー!」と抗議するが、元の場所へと送還する。
「くっそ!このぉー!これからもよろしくー!」とか最後の吸い込まれていく顔が若干ホラーだったのだが、まぁ知らない。
「何かの漫画か小説にでも影響を受けたのだろうか?」と首を捻る。
ミコミを呼び寄せようとイメージを固めたが弾かれた。
「竜の子転生したらテイムされましたー!100話おめー。」とかわけのわからないミコミとゼアの二重奏が聞こえるが完全に引き寄せるのは無理だった。
一体何のことだろう?きっと番宣だ!
そして妙な場所に繋がったと思ったら・・・
「私を拉致してくれたのは貴方?」と若干顔が火照っている女の子が現れる。
「やべーなんか変なのを呼び寄せた。」と焦る。
めちゃくちゃ豪華な衣装を着ているどこかの令嬢かもしれない。
しかもなんか王冠を身に着けている。
「ふふふ、私の王子様、はぁはぁー。」と荒い息をしている。
鑑定をすればどうやら毒に侵されているようだって女帝ってなんだよ!とツッコム、いやまさか俺またやっちゃったのかと頭を抱えた。
「くっそまたこの展開かよ!」と熱を出しているモナールという女性を竜の子の姿で屋敷へと運ぶのだった。
パタパタと飛んでいるとき思った。
「コイツ痩せてるのに重いぞ!」かなり失礼なテトだった。
屋敷では仁王立ちしてスミンが俺に正座を強要している。
「貴方はまた!女の子を拾ってきて!そんなにハーレムがいいのですか!」と怒っているぷんぷんとほっぺたを膨らませてなんというかまぁ可愛いのだが・・・
「いや不可抗力だから・・・。」と目を背けながら土下座する竜の子もうわけがわからない。
「もう仕方ないですね!今日は私の抱き枕です!」
「えっ!」
「抱き枕ですからね!」と念をおすちょっと怖いスミンだった。
「ただいまー!」とにこッとして帰ってくるクロエ。
「なにしてんのー?」とスミンに聞く。
「いつもの説教です!」と腕を組んでいる。
「ああー私もーやるー。」と手をあげている。
「そうですかでは貴方はまったく、次から次へと女の子を拾って・・・」
「テトはもう少しー遊んでくれたっていいんだよー。」
「この浮気もの!」
「この駄魔ー!」
「・・・」
「まったく聞いているんですか?」
「そうだ!そうだ!」と二人にほっぺに指を刺される。
俺は何とも言えずに汗を流す。
「ぎゃお。」早く終わらないかな?
「終わりません!」とスミン。
「まだまだこれからだよー。」と楽しそうにするクロエ。
スミンがくどくどでクロエがのんびり何か違う説教だ。
それがある程度続いて。
「さてそう言えばクロエ様、今日から再試の勉強ですかね?」とどこかからか取り出した勉強道具を見せてにこッとしているスミン。
「げげー、待ってーはやまるなー。受かったからー大乗ブイ!」とピースサインをする。
ちょっと汗を書いているクロエ。
その様子に怪しい顔をする。
「まさか不正を!」と驚愕している。
「ホントーホントーだからー。」と抗議するクロエ。
俺がそっと顔を背けると、それで何かを察した。
「それでも入学するまで勉強ですからね!後で結果を私も見に行きましょう!」と未だちょっと疑っていた。
「え~ひどい主の私が言ってるのにー!」と泣く真似をする。
「はいはい、それよりご飯ですよ!」と二匹と一匹で屋敷へと向かって行くのだった。
「ぎゃおお。」と屋敷のドアを締める。
辺境伯領ではなんか100話おめでとうとデコレーションされた城。
その城の執務室で今日も頭を抱えているラミーナ。
「ただでさえ流民が増えて忙しいのに街並みが変なデコレーションされて・・・私にまで何かタスキみたいなものをかけられている。」もうわけがわからない。
100話おめーとたすきに書いてある。
ばーん!とドアを空ける音がすると思ったら紙の書類の束が天井に届きそうなほどある。
それを運んでくるノエノス。
「おっと、おっと、おっと。」とバランスをなんとかとっている。
「ノエ、それは?」
「仕事ですよー。」
「まさかまた私に押し付けようとしてるんじゃないでしょうね!」
「・・・ふっふっふ!実は私身重なの!」とお腹を擦る。
「まさかお母様こんな私に仕事させようとしているんじゃないですか!」
「きっと太ったのよ!」
「そんなことない!」と言い争いをしている。
「そもそも父親は誰?」と目を背けているノエノス。
「わからないのよね!」
「ははは誰かなー。あの子?その子?」とはぐらかす。
「貴族だからってやっていいことと悪いことがあるからね!」と注意する。
「わかってるよ!」
「そう言ってしれっと書類を置かない!ここで一緒にやっていくわよね!」
「酷いお婆ちゃんがイジメるよ!」とお腹を擦りながら言う。
「誰がお婆ちゃんですか!」と気にしているのか立ち上がっている。
「まぁまぁ。」となだめる。
「はぁー。」と言って机を指す。
出て行こうとしたノエノスのドアを氷らせて出れなくする。
「ちゃんと仕事して行ってね!」とにこッと笑っている祖母、母親は未だ恐かった。
そんなこんな平和にしている王国。
しかし足元ではレジスタンスが動き出し、連合、聖教国、帝国も軍をあげようとしていた。
これから果たしてアケロ二ア王国はどのような運命を辿るのか、その答えの足音は刻々と近づいてくるのだった。
「・・・。」と考え事をするラミーナ、もはや止めることができない段階にまで来てしまった。救える命は救おうとノエノスには後で王都方面にでも出兵してもらおうと決めた。
「うっ生まれる。」
「はいはい逃げる演技はいいから。」
「本当に生まれそうだから!」
「まったく。」と言って肩を貸しながら産母の所に連れていくラミーナ。
子供が生まれて名実ともにお婆ちゃんになったラミーナの機嫌がしばらく悪かったとか。
そんな状況でも100話ありがとう!の花火が王国各地の夜空に明かりを灯していた。
一体なんのこっちゃと皆が思ったに違いなかった。




