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第2章 第6話 反省

「すいません、遅刻しました」



 ちょうど1限が終わるくらいのタイミングで学校に着いた俺は、職員室に向かい日高先生にそう告げる。



「あー……うん了解」



 だが俺の報告を受けた先生は心ここにあらずという反応で俺の目を見ることもせずに手を挙げて了解した。だが少し悩んだ後急に立ち上がり、俺と職員室を出て隣の生徒指導室へと連れていく。



「あの朝からこういうのは……」

「そうじゃなくて……堂島くんと姫野くんの停学明けが今日だって知ってるよね?」



 日高先生の口から出た名前は、俺をいじめ俺が停学に追い込んだ二人の名前だった。うん……あんまり記憶に残ってないけど確かそう。前の時代に起こるはずのない出来事で、記憶が飛んでいる俺は当然その事実は知らない。でも……。



「それって何か問題あります? 一回停学になったんだからもう下手なことできないでしょ」

「それがね……噂なんだけど、停学の間あの二人……ちょっと危ない人たちとつるんでたみたいなの」

「危ない人たち……」



 言葉を濁されたが、高校生が知り合える範囲の人間なんかたかが知れている。それにあの二人はそんなたいそうなことができる人間ではないだろう。停学にビビりまくっていた奴らがたかだか1ヶ月そこらで変わるわけもない。



「あくまでも噂程度だからそんなに気にしなくていいと思うけど……佐伯くんも気をつけてね」



 先生の言葉を了承し、俺は一人教室へと向かう。そのタイミングで1限と2限の間になったらしく、廊下には人が溢れている。そんな中目の前から歩いてくる堂島と姫野が見えた。



「よう、佐伯。ひさしぶりだな」

「おつかれさまです」



 朝一でもなぜか問題なく使える挨拶で返し通り過ぎようとしたが、俺の行く手を二人が塞ぐ。その表情は以前の子どもっぽいヘラヘラとした感じから変わり。さらに幼稚な無法感が垣間見えた。



「あん時は悪かったな。反省したよ反省」

「さようですか」



 停学になったくらいで反省するほどできた人間でもないだろうと思いながら適当に返していると。



「お前和泉と付き合ってんの?」

「付き合ってない。全く関係ない」



 食い気味でそう返したのは事実を伝えたかったからではない。遠ざけたかったからだ。無邪気という無知の幼稚な悪意から。



「あーそう。おっけわかったわ」



 俺の返事で何がわかったのかわからないが、二人は俺の元から去っていく。その瞬間だった。



『佐伯さん。生き返る条件は誰でもいいから付き合うことです。忘れないでくださいね』



 少し後ろを歩いていたイシュがそう口走り二人を追いかけようとしていた。



『イシュ、ホウレンソウは大事だけどちゃんと経緯も話していけよ。簡単な連絡受けても対応できないからな』

『…………』



 このタイミング、向かう方向。そしてイシュの焦り顔。これから何か問題が起こるだろうと社会人センサーがビンビンに反応する。イシュが対応しなければいけないほどの問題が。



『……今、運命が変わりました』



 青い顔をしたイシュが、言う。



『あなたは夏休みにあの二人に殺されます』

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