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第2章 第5話 あなたと

「なぁイシュ。言ってることとやってること違くないか」

「…………」



 和泉から俺を引き剥がしたイシュが向かったのは人気のない小さな公園。恋愛をしろと言ったのはイシュだし、結局は学校をサボることになったし。昨夜アマミさんから話を聞いていなければ理不尽さから怒っていたかもしれない。



「……ごめんなさい。こんなつもりじゃなかったんです」



 いや、こうも素直に謝られたらどちらにせよ怒れなかったな。



「自分でも何やってるんだろうって思ってるんですけど……でもなんか……上手く説明できなくて……」

「……疲れてるんだよ。どっかで有給取ったら?」


「……そうですね。この仕事が終わったら……でも仕事溜まってるししばらくは無理かも……」

「……お前もワーカーホリックなんじゃん」



 ベンチに座り俯くイシュ。その姿は純白のゴスロリ服とはまるで対象の位置にいる疲れ切ったサラリーマンの姿に見えた。いや、これも制服なんだったか。



「なんというか……ひさしぶりに楽しかったんです。みんな生き返るチャンスがあるってわかったら私の話も聞かずに必死になるから……。佐伯さんみたいに馬鹿みたいな遠回りをして、少しずつ変わっていくような人を見るのは初めてでした。そしてそんな人を支えるのも。仕事が楽しいって……少し思えたのも、本当にひさしぶりで。ちょっと調子に乗りすぎちゃいました。……ごめんなさい。社会人失格ですよね」



 イシュはポツポツと漏らし、そして。



「教えてあげます。日高さんか和泉さん。どちらかと付き合えばあなたの運命は変わりますよ」



 俺に生き返る条件を伝えた。



「考えてみれば当然ですよね。仕事より交際相手の方が大切ですから。自分のことを心配して止めてくれる人がいれば、あなたは働きすぎるのを止めれます。本当に少し……あのまま和泉さんと家にいれば。あなたは生き返れました」



 だとしたらイシュの行為は。俺に対する最大の裏切りで。



「でも……ごめんなさい。もう少しあなたと一緒にいられたらって……そう、思っちゃったんです」



 俺に対する最大の賛美だった。



「でも……もう大丈夫です。ひさしぶりに気持ちよくお酒を飲めました。こんなことがあるならもう少し仕事をがんばってみようと思えましたよ。うん、私はもう……」

「……イシュ。俺はまだ生き返るつもりはないよ」



 まだこの時代でやり残した仕事がある。それを終わらせないと、俺も気持ちよく酒を飲めない。



「俺はまだ何も変わってない。彼女ができたら過労死することはなくなるかもしれないけど、それは他人からの影響で。俺自身が変わったことにはならない。変わらないといけないんだ。俺も、お前も」



 だから……そうだな。



「もう少し付き合えよ。俺のわがままに」

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