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第2章 第2話 ハーレム

「ちょっ……まっ……!」



 慌てて胸から離れ、状況を確認する。ここは教室……とりあえず他に生徒はいない。が、夏の夕焼けに照らされている日高先生……。俺の記憶より薄着になった先生の身体には、夏だからという理由だけではない汗が光っている。



 放課後。男女二人きり。何も起こらないはずがなく……いやいや生徒と教師だぞ!? 今の年齢とも元の年齢とも約5歳の差がある。中年ならともかく若い内の5歳差はかなり大きい。そ……そうだよな……そんな関係なわけがないよな……。



「佐伯くん、おいで」

「なっ……!?」



 常識に囚われた俺を現実に引き戻すかのように日高先生が俺の手を引き、椅子に座った先生の膝の上に俺を座らせる。



「ごめんね……先生があの集会で佐伯くんが本当のヒーローだって言っちゃったから逆に腫物みたいになっちゃったよね……。でも先生諦めないから。責任をとって佐伯くんに幸せな高校生活を送らせてあげるから……」

「先生……」



 なるほど……そういうことか。どうやら俺はあの全校集会後も変わらずぼっち生活を送っているらしい。それを憐れんだから先生は俺に構ってくれているのか。なるほどそうだよな。いくら社会人失格教師とはいえ法律を破るほど馬鹿じゃ……。



「そう……責任とらないとね」

「んんっ!?」



 明らかに質の変わった声が俺の耳元で囁かれる。夏の暑さだけではない汗が俺の額に滲んだ。



「佐伯くん成績あんまりよくないよね? 二年生の夏は天王山。ちゃんと勉強しないとね……私の家で」

「ちょっ……先生!?」



 これ……もしかしてそういうやつか!? ほんとにその気なのか!?



『いいじゃないですかー。ヒモですよヒモ。これなら過労死する心配もありませんしね』



 慌てる俺の姿を正面から見ながらニヤニヤと笑うイシュ。まだ酔っぱらってんのかこの性悪天使……仕事中に変なこと考えやがって……!



 確かに日高先生はいい人だ。最初こそ俺のいじめを見て見ぬふりしていたが、それは社会人として半分仕方ないことでもある。それに美人だし……。



 でも! 何を置いても大人と未成年だ。もしそういう関係になってしまったら……別の意味で俺の人生終わる可能性があるぞ……!



「見逃せませんね、日高先生」



 欲を超えた未来への不安に包まれていると、その想像を切り裂くように教室の扉が勢いよく開かれ一人の女子生徒が入ってきた。



「和泉……!」



 彼女は過去に戻る前の俺が唯一はっきりと覚えていた存在、和泉伊吹(いずみいぶき)。キャリア組として警視庁に就職したと友だちのいない俺にすら噂が届いたほどの出世頭だ。



 高校生の頃の彼女はそれを裏付けるようにずっと真面目で、恋愛やいじめ。一切の関わりを絶って勉強をしているか読書をしていた。一応一二年と同じクラスだったが、一度たりとも会話を交わした記憶がない。



「日高先生、そういうのはよくないと思いますけど」

「そういうのってどういうこと? 先生は佐伯くんの勉強の心配をしてただけだけど」

「ふっ、説明しないとわからないようですね」



 そんな真面目人間だが、この状況においては何よりの助けだ。とりあえず一度考える時間を得るためにも日高先生を引き剥がしてくれたら……。



「私のダーリンに手を出していることを言ってるんですよ」

「……は?」



 いたって真剣に。全くの無表情で頓珍漢なワードを出した和泉が俺の手を引いて立ち上がらせる。



「大丈夫だった? ダーリン」

「ダ……ダーリン……?」



 ダーリン……ダーリンって言ったよな? ダーウィンとかじゃなくて……え? なに? どういうこと……!?



「あんまり変なこと言わないでよね、和泉さん。佐伯くんはくすぶっていた私を救ってくれたヒーローなんだから」

「そっちこそ立場を弁えてください日高先生。祭雅くんは親からの圧力に屈しかけていた私を救ってくれたヒーローでありダーリンです。誰にも譲りません」



 待って待ってまったく状況が理解できない……。日高先生の言い分がまだ理解できるレベルでわけがわからな……。



「ひどいです先輩! 私という女がいながら他の女になびくなんて!」



 既に混乱していた脳を必死に回転させていた俺に、なぜかうちの学校の制服を着たイシュが飛びついてきた。酔いすぎだろこの天使……。ただでさえわけのわからない状況なんだから黙ってて……。



「……あなたは誰かしら?」

「先輩ってことは1年生かな? 見覚えがないけど……」



 俺に抱き着くイシュに視線を向けて二人が首を傾げる。おかしい。イシュの姿や声は俺にしか見えていないし聞こえていないはずなのに、完全に二人はこの天使の姿を認識している。これ……どういう……!?



『あはははは! こんな修羅場おもしろすぎて掻き回したくなるに決まってるじゃないですか!』

「この……! 酔っ払いっ!」



 法律的に俺と付き合えない日高先生。元の世界では全く関わりのなかった和泉伊吹。そもそも人間じゃないイシュ。謎過ぎる三人の女性に囲まれ、俺の三周目の高校生活が始まった。

ブクマ200件突破ありがとうございます! 感謝感謝です! そして本編は以前までの空気とは一変して恋愛編突入です! もちろん当初の目的だったいじめについても触れていきます。お楽しみに!


ここまでおもしろい、続きが気になると思っていただけましたらぜひ☆☆☆☆☆を押して評価とブックマークしていってください! お願いいたします!!!

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