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11.思惑~ロザリン視点~

元気な男の子を生むことが出来た。アレクサンダー様ほどの魔力はないが、平均値よりも高い魔力がある子供の誕生を侯爵夫妻も喜んでいる。


正直化け物と揶揄されるほどの魔術師の子を産むなど嫌だった。だけれども子爵家の未亡人である私にはお金が必要だった。煌びやかなドレス、豪華な宝石、華やかな夜会、これらは私にとって生きる糧であり喜びだった。


それなのに夫が事故死してから節約を強いられる毎日。


 嫌だ、嫌だ。このまま老いていくだけの人生なんて!

 私みたいに美しい人間は表舞台が相応しいのに。

 どんな手段を使っても這い上がらなくては…。


そんな時、契約の話が転がり込んだ。子供を産んで差し出すだけで一生遊んで暮らせるほどのお金を提示された。

ゴクリ。魔術師と関係を持つ嫌悪と明るい未来を天秤に掛け、後者を選んだ。


それは正解だった。


実際に会うまでは魔術師を恐れていたが、アレクサンダー・カーターは寡黙で冷徹だったが美しい男で好みのタイプだった。淡々として作業のような閨だったが、それでも満足できた。

運よく二回の行為で妊娠し、用意された屋敷で贅沢な生活を送る。


出産を一ヶ月後に控えたある日、カーター侯爵の使者がやって来て本邸へと連れて行かれた。


なにか不味い事態になっているのかとビクビクしているとそうではなかった。侯爵夫妻は私の丸いお腹に目を細め『出産までここでゆっくりと過ごしなさい』と告げてきた。


侯爵夫妻の目を見てピンときた、『この人達は同類だ』と。彼らは孫の誕生を楽しみにしているのではなく、使える駒を望んでいる欲の塊だった。


 ふっふっふ、私と同じだわ。

 もしかして運が向いてきたのかしら~。

 

私は契約の後はお金を手にして優雅に生活するつもりだったが、考えが変わった。


 アレクサンダー・カーターの新たな妻になって次期侯爵夫人をなってやるわ。



その為にも魔力の高い子を産んで、侯爵夫妻を味方に付けよう。 

その日から私は毎日神に祈った『高い魔力の子供をお与えください』と。そして願いは叶い平均より高い魔力を持つ男の子を産んだ。

五体満足な元気な子だ、これならいける!


 絶対に這い上がって見せるわ…。


 

私は出産の疲れも癒えないうちに侯爵夫妻の耳元で囁いた。


「平均より魔力が高い男の子を産めました。きっと私とアレクサンダー様は相性が良いのでしょうね。もし夫婦だったならば、この後もたくさん魔力の高い子を産んで差し上げられますでしょうに…今回だけなのが残念ですわ」



作戦は面白いほど上手くいった。欲に眩んだ侯爵夫妻は簡単に餌に食いついてきた。


同類だから分かる相手の心。


本来なら出産後はすぐに本邸から去る約束だったが、引き留められ大切にされている。

後はアレクサンダー様を籠絡して正妻を追い出せばいい、簡単な事だ。

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