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10.話し合い②

「まずは大切なのはこれから生まれてくる子供のことよ。正直複雑な気持ちで子供が生まれても素直に喜べないとは思うわ。でも私は愛している人の子を不幸にはしたくない。だから私達の手で育ててあげましょう。子供を育てた経験はないけど親に恵まれなかった私達なら侯爵夫妻よりは良い親になれるはずでしょう?」


「…いいのか?子供の存在は君を苦しめることにならないのか?苦しめるくらいなら、俺は鬼畜と罵られても君を選ぶ」


「それでは駄目。そんなことをしたら優しいあなたは一生後悔する、幸せになれない!重い十字架を背負って欲しくない。私は愛する人を幸せにすることで初めて幸せになれたのよ。アレクの不幸は私の不幸だから、ねっ?だから二人で罪のない子を育ててみましょう」


「ああ‥‥。リズすまない。君をこんな辛い状況に追い込んでしまって」


「もう謝らないで。これは私が自分で決めたのだから。これからも二人で、いいえこれからは三人でになるわね、三人で幸せになりましょう。私達は離縁の危機を乗り越えたんですもの、これまで以上に幸せに暮らせるはずよ」


「そうだな、もう離縁の心配はしなくていいんだな。それに君が傍にいてくれる。これからは絶対に傷つけない、愛しているよ」


「私も何があろうと愛しているわ。心配はなにもないから、アレクは絶対に幸せになってね。これは命令よ」



お道化た調子の『命令』という言葉に俺は緊張の糸が切れ心から笑うことが出来た。

それを見て、優しく頬に口付けをしてくれるリズ。ああこれが幸せなんだと荒ぶっていた心が凪いでくる。



こうして俺達が歩む道を決め毎日を以前と同じ様に暮らしていると、本邸から子供誕生の知らせが飛び込んできた。

生まれた子供は男児で期待通り魔力を備えていた。だがそれは普通以上という意味で、俺の様に魔術師になれるほどではなかった。

正直良かったと思った。自分の生活を壊したくなくて作った子供だが、不幸な人生を送ることは望んでいない。膨大な魔力は幸せの邪魔にしかならず持ってない方がいいとさえ思っていたから。


「アレク、元気な子が生まれたようでおめでとう」


「…ああ。これから苦労を掛けてすまないな」


「もう、すまないではなくて『有り難う』でしょう!それに夫婦で子供を育てるのは当たり前でしょう」


契約により産後直ぐに子供は引き渡される事になっている。

子供部屋も乳母もリズと二人で用意していて迎える準備は万端だったが、いつまで経っても子供は引き渡されずロザリンも体調不良といって本邸に留まったままだった。





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