第三章 こんなはずでは….
初詣のメインイベント!
お守りの購入
おみくじ
すべてはあの清楚で可憐な袴姿のために!
そこで待ち受けていた悲劇…
この長い行列はまるで俺と貴女を引き離すかのように長い…
しかし俺はめげません!
どんな事があろうとも必ず貴女にたどり着きます!
そんな事を妄想の中で言っていると
勘が良い新崎君はこちらを冷たい目線で見て来た。
そして一言
「キモッ!」
「悪かったなぁ…いいんだよ!
俺は巫女さんに会えればどう思われようと構わないさ!」
「そうですか…」
いつもはくっきり二重の新崎君の目が、しおしおになってこっちを見つめている。
「そんな顔しないでくれないか?」
「……」
「…わかったって!普通にしてるよ。」
「ホントですかぁ?」
すごい疑いの眼差し!
先輩としてこれはアカンやつだ…
そんなこんなで遂に巫女さんの目の前までやってきた。
俺は1番端の列に高速の反復横飛びを見せ並んだ。
「どうしたんですか?またキモく俊敏な動きして…
しかもそこのお守りかなり本格的なのばっかりで高いですよ?」
「だって、ここの列で売ってる巫女さんが超好みのタイプ!
なんかあの、女優の堀北に似てないか?!」
「ぇえ~?まぁ確かに良い感じですが…」
「絶対堀北に似てるって!俺絶対ここで買うからな!」
「分かりましたよ、誰も並びませんよ。」
そして俺は2000円の木で出来た無病のお守りを購入した。
高かった…けど、受け渡しの時に触れてくれたあの巫女さんの事でそんなこと忘れていた。
そんな満足にひたっていると、ふとポケットの中にある物に気付く。
「そうだ!巫女さんと写真撮ってもらおう!」
「何を唐突に言い出してるんですか!?」
「折角来たんだし、一枚くらい罰当たらないよな!」
「まぁバチはケンタラー先輩だけ当たりそうですし、良いんじゃないですか?」
そして神社の端で掃除している巫女さんへと俺は近付いた。
「すみませぇん一緒に〜」
そう声をかけた時、その巫女さんの表情は凍りつき、驚きと恐怖を見せた。
そして、迫る俺を見ると悲鳴をあげ、一目散に俺から逃げていった。
逃げてる途中一回こけた、惹かれた。
後ろから後輩が追いつく。
「見ました?今の逃げっぷりを?!
『きゃああぁぁ』
って言ってましたよ?何やらかしたんですかケンタラー変態」
凄くニヤニヤした顔の新崎君。
俺の不幸は大好物みたいだ。
「俺は何もやってない!ただ話しかけただけで!?」
「変態は皆そういいます。」
「なんか悲しくなってきた…」
その様子を一人の老婆が見守っていた…