香港の一恵
EPIが先日WSOに買収されたと言う
噂なんです」
「なんだって!」
「あくまで噂なので、当社の株の扱いを
問い合わせしています」
「頼む!」
一文字はDUN製薬との提携失敗したら
ストレートHDが正体の見えない
WSOに乗っ取られる事が不安だった。
「くそ!後藤田のやつミスをしやがって」
自分が座っていた椅子を蹴飛ばした
そこへ後藤田から一恵のところへ
電話がかかってきた
「社長、後藤田さんからです」
「この野郎」
「すみません、こんなに早く警察が動くなんて、
それで逃走資金を貸していただけないでしょうか」
「今さら何勝手なこと言っているんだ」
「約束通り松平亮を始末しますから」
「ほんとうか?」
「はい、プロの殺し屋に頼みました」
「よし、逃走資金を出すどうすればいい?」
「香港にいますので」
「振り込みは出来ないな」
振り込みは証拠が残ってしまうので
一文字が考えていた。
「わかった、香港へ金を持って行く」
「お願いします」
一文字は電話を切ると大声で笑った
「あはは、あの男が死ぬ」
「おい、一恵明日香港に金を持って行け」
「わかりました」
「社長、アメリカにはいつ?」
「松平が死んでからだ」
「はい」
一恵は一文字を信じてカレッジリングをしっかり握っていた
そして、そのリングの裏側に書いてあったイニシャルは
A・D
「ダン・アキラ?」
翌日新村一恵は香港に向かった。
9時55分の飛行機で香港に飛び立った。
~~~~~~
亮は尚子の事が気になり
絵里子に電話を掛けた。
「絵里子さん、尚子さんのお父さんの
ビルの件なんですけど」
「うん、調べてもらったらあのビル
すでに銀行の抵当に入っているので
無理だと思う」
「そうですよね」
「あなたがお金を借りて貸した方が早いわね」
「はい、その方が早いんですけど
白尾さんの父親のプライドがありますからね」
「でもどうしてボストンに家を買うほど
儲かっていたのに、そんなに・・・」
「それは日本の景気が良かった時、
奥さんの弟さんがボストンで家具を買い付けて
日本に送っていたそうです。
それが日本に輸入数が減って
白尾さんのおじさんはそれを
やめてしまったそうです。その後
色々トラブルがあったみたいで・・・」
「なるほど」
「尚子さんのCDがリリースされれば
かなりの収入があるのに」
「いずれにしても、大阪に行ったら
甲山六助さんに会って相談して
私が連絡をしておくわ」
「わかりました、ありがとうございます」
亮は尚子に電話を掛けた。
「亮です。この前のお見合いはどうでしたか?」
「握手会で私と握手したと言っていて、
金持ちのボンボンでわがままそう」
「まるで僕ですね・・・」
「大丈夫ルックスは亮の方が10倍良いから」
「それはどうも。それで借金の方は?」
「返済を3か月待ってもらったわ」
「銀行と不動産会社に言ったらビルが担保抵当に
入っているので実行が難しいのです」
「すみません、父がそこまで話をしていなくて」
尚子は小声で答えた。
「そこで、尚子さん僕の奥さんになってください」
「えっ・・・」
亮の突然のプロポーズに嬉しくて声が出なかった。
「いえいえ、婚約者が義理の父親の土地を
利用する形にすれば世間体が良いでしょう」
亮はすぐに返事が来なかったので
慌てて形の上と言った。
「お父さんのビルは築40年経っていて
震災にも耐えています。
つまり中身の痛みが出ていると思うので
そこで思い切って解体して
10階以上のビルに建て替えて高層部は
マンションにしましょう。駅前好立地ですから
返済に10年かかりません」
「どうすればいいですか?」
「まず、僕が土地を買う事で抵当権を
外します。そこに所有権を移してビルを
建てます。建築費が完済されれば、
土地を買い戻してください」
「はい、わかりました。父に伝えます」
「建築中は工場に力が入れられるわけですから
メリットはありますよね」
「父が話を聞きたいと言ったら、神戸に来てください」
「了解です」
~~~~~~
5時間後、新村一恵は香港国際空港に到着し
22分で九龍駅に到着し後藤田と待ち合わせの
シャングリアホテルに4時に着いた。
フロントの喫茶室で待っていると後藤田が
一恵に手を上げた。
「遠くからわざわざご苦労だったね」
「いいえ」
後藤田は席に座ってコーヒーを頼んだ。
「早速ですけど、私のいなほ銀行の
私の個人口座の小切手です
残りは仕事が完了後にという事です」
一恵が小切手を渡すと後藤田は受け取りを渡した。
「ん~」
後藤田は不機嫌な顔をした。
「ちょっと、一文字と話をさせてくれ」
一恵は一文字に電話をして後藤田にスマフォを渡した。
「もしもし、半金じゃこっちで生活が出来ない。
どうにかならないか?」
「前の分がまだ終わっていない、上原の
方も平然と生活しているぞ。手榴弾を
1つ放ったって何もならない」
「はあ・・・」
後藤田は手駒が居なくなって困っていた。
「しかし、松平を殺すのは中国のプロの
殺し屋を頼んだので大丈夫です」
「もし失敗したらどうする?」
「それは・・・」
後藤田が返事に困った。
「松平を殺せたら2000でも3000でも
払うぞ。絶対の殺し屋を雇え!」
「は、はい」
一文字に言われて後藤田は急に
一恵に愛想良くなった。
「新村さん、個人的に100万円貸して
もらえませんか?」
一恵が首を横に振ると
後藤田が大声を上げた
「なんだとこら!」
後藤田は一恵の腕を掴んだ。
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美咲から朝から電話がかかって来た。
「亮、新村一恵が香港に飛んだわ」
「えっ、後藤田組長の逃亡先でしょうか?」
「ええ、たぶん。
彼女一人だから香港で逃亡費用の
受け渡しかと思うわ」
「それだけだと良いのですが・・・」
亮は何か悪い予感がしていた。
「何かあるの?」
「いいえ、香港は色々あるみたいなので」
亮は何故か一恵の事が心配になった。
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腕を掴まれた一恵はバッグを持って
腕を払って逃げ出した。
後藤田はすぐに追いかけた。
「待て、こら!」
一恵は高層マンションが立て並ぶ
九龍駅の歩道橋下で後藤田に捕まった。
「離してください!」
一恵が暴れて居ても誰も通り過ぎるだけで
明らかに日本人と分かる一恵を
誰も助けてはくれなかった。
「ちょっと金を貸してくれるだけいいんだ」
その時、後藤田の体が宙に浮き
背中から後藤田が倒れ少女が後藤田の
胸の上に足を乗せた。
「お姉さん、逃げな!」
「はい、すみません」
一恵は走って駅へ向かった。
「駅まで騒ぎ起こしちゃダメよ。
ここは香港だよ。日本人のおじさん」
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一恵は飛行場行の電車の飛び乗ると
一文字に経緯を話した。
「バカ、何やっているんだ!後藤田と寝て
機嫌も取れないのか、バカ女」
「でもお金を・・・」
「少しくらい金を貯めていたんだろう。
戻らない金だと思ってくれて
やりゃよかったんだ」
「嫌です。あんな男に渡す
お金なんて一円もありません」
一恵は将来の為にコツコツと貯め込んだ
お金をヤクザになんか渡したくなかった。
「いいか、後藤田が機嫌を直すまで
帰って来るな
気取ってんじゃねえよ。
ヤリマン女!」
「ヤリマン・・・」
一恵は悔しくて涙を流した。
香港空港に着いた一恵はチケットを買って
出発便の掲示板を見上げた。
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亮は白尾丈太郎に呼ばれ急ぎ神戸に
向い上原に電話を掛けた。
「上原さん、三宮にビルを建てたいんですけど
お願いできますか?」
「ぜひ、やらせてください」
上原は亮に恩返しをしたかった。
「お願いします」
亮は三宮に着いて尚子と丈太郎と静子と
三人でステーキレストランで会った。




