後藤田の影
「なんだ」
「昨日、歌舞伎町のビルでヤマト
美容専門学生がレイプされました」
「うん」
「それが、誰かが故意にやったようです」
「わかった、私が調べよう何処のビルだ?」
「区役所の前のセントラルビルの3階の空き室です」
「わかった」
「調べられるんですか?」
「やくざはビルごとに縄張りが決まっていて
他の組の人間が入ってきたら大変な事になる。
まして空き室なんて他の組の人間はわからん話だ」
「お願いします」
「そうだ、株の方はどうする?」
「ストレートHDの株を売って
DUN製薬株を買ってください。ストレートHD株は
うちで買います」
「そうか、そうか今売れば1億円の利益がでる」
「ではお願いします、儲かったらお小遣いください」
「わかった」
飯田は亮の冗談を本気にしていた。
9時に亮の部屋に美咲が体液のサンプルを届けた
「三人分のサンプル、まだDNAは調べていないわ」
「わかりました、DNAは大丈夫です」
「ところでこれをどうするの?」
「媚薬で犯人を誘いだします」
「媚薬?」
「はい、犯した男の大脳辺縁系に刺激を与え
他の女性に見向きもせず、
この媚薬が香る女性を追いかけます」
「そんな事が出来るの?」
「蛾のオスは雌のフェロモンを1キロ
先から分かるのと同じ理屈です」
「もし遭遇しなかったら?」
「大丈夫です、絶対現れます。一回目は偶然、
二回目は必然ですから」
亮は自信を持っていった
「はい、赤味噌饅頭と手羽先です。
食べて待っていてください」
亮が突然美咲に渡した。
「あっ、ありがとう」
美咲はお土産を渡されて驚いて
口を開けた。
亮はフェロモンを作っている
間にジュディに連絡をして
事の次第を話し注意を促した
「それで、これからどうすればいいの?」
「下校の時に囮を使って犯人をおびき寄せます、
犯人は学校の近くで
獲物を物色しているはずです」
「でもうちの学生は囮に出来ないわ」
「もちろんそんな危険な事はさせません」
「お願い亮レイプ犯人を捕まえて」
「はい、絶対許しません」
亮は手を握り締めた
亮は試験管を持って美咲に渡した。
「美咲さんできました」
「本当?」
亮は椅子に座って赤味噌饅頭を食べていた
美咲に話しかけた
「これ美味しい!それで、どうするの?」
「めぐみさんと理恵さんに囮を
やってもらうことになっています」
「大丈夫なの?」
「はい、大丈夫です。僕が絶対守ります」
「頼もしいわ」
「それと」
亮は100ccの液体が入っている
茶色の瓶を渡した。
「なに?」
「告白剤です」
「告白剤?」
「はい、この中に相手が好きになってしまう
成分オキシトシンが入っているので
質問をされると嘘がつけなくなってしまうんです、
だから自白剤ではなく告白剤なんです」
「うふふ、それはいいわ、それでこれをどうするの?」
「飲み物に一滴入れて飲ませてください、
10分ほどで効果が現れます」
「効果はどれくらいの時間持つの」
「わかりません、臨床をしていませんから」
「そうね。でも犯罪者の更生にいいわね」
「はい」
「ありがとう、とにかく犯人を見つけるわ」
「どっちの?」
「どっちもよ、爆弾犯はテロ対策斑を動かすから」
「すごい!」
亮は警察の協力を得られる安心感があった
そこに飯田から電話が来た
「各組の組長に聞いたぞ」
「分かりましたか?」
「ああ、あのビルは松川会の都村組のシマだ」
「じゃ都村組ですか?」
「夕方に組長を呼んでいる、
あいつにも金を貸してあるからな」
「分かりました」
「お前もこい」
「はい」
亮は電話を切ると美咲に伝えた。
「美咲さん、松川会都村組を調べてください」
「分かったわ。すぐに調べるわ」
美咲は亮にキスをして部屋を出ると
マンションの下に待っていた
車に乗って警察庁に向った。
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亮は会社に出勤すると社長の真田に呼ばれた
「厚生労働省から今までの事は
無くなったと連絡があった」
「そうですか、どうしたんでしょうね」
「阿藤の気が変わったかもしれないな」
「はい」
赤坂のパーティで亮の存在を知った
阿藤はDUN製薬に圧力をかける事が
不適切だと思ったに違いなかった。
「社長、上原建設襲われたそうです」
亮が真田に伝えた。
「今朝のニュースでやっていたよ。付き合いあるのか?」
「はい、ヤマト美容専門学校の理事会の揉め事で、
その裏に一文字がいたんです」
「まさかあの男が犯人か?」
「無関係とはいえませんね、うちも気をつけないと」
「そうか、夜間警備を強化しよう」
「社長のご自宅もです」
「おいおい、じゃあ君も」
「大丈夫ですよ、僕は」
「油断するなよ、君もターゲットだろう」
「はい、たぶん」
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「やった」
一文字はテレビニュースを観て
手を鳴らした。
「社長、後藤田さんからお電話です」
新村一恵が電話を持ってきた
「社長、どうですか?」
「よくやった。これでやつらに脅しがかかったろう」
「はい、報道はされていませんがヤマトの学生を
レイプしておきました」
「そうかありがとう」
「では残りの金をお願いします」
「うん、もう一つ頼みたいんだが」
「何処ですか?」
「DUN製薬だ」
「分かりました、でもあそこは高いですよ」
「ん?」
「門から玄関までが遠いんですよ、
いっそのこと社長を脅したほうが楽なんですが」
「殺すのにはいくらかかる」
「相手によりますが、1千万は欲しいですね」
「分かった、じゃあ手付に500万円持っていく」
「殺るんですね」
「その代わりどんな事があってもこっちの事は」
「もちろんですよ、だから秘書さんに
電話をしたんです」
「わかった、じゃあ相手の名前と
写真も持って行かせる」
「わかりました、それと・・・・」
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亮は飯田の事務所へ行くと
松川組の都村が入って来た。
「失礼します」
亮は飯田の脇に座らせていた。
「金は持ってきたか?」
「今月分の200万円です」
「うん、領収書を書こう」
亮は飯田に指示され200万円の領収書を切った。
「ところで昨日セントラルビルの3階の空き室
で事件があったのを知っているか?」
「いいえ」
「あそこはお前の組のシマだろうが」
「それが事情があって後藤田組に取られてしまって」
「そうか。まあ、色々あるな」
飯田は気の毒そうに慰めた。
「ところでこの男私の息子で
これから色々仕切ってもらう事になる」
「はい、よろしくお願いします」
都村は立ち上がって頭を下げた。
「こちらこそよろしくお願いします、
くれぐれも無理にお金作らないでください」
亮も立ち上がって頭を下げた。
都村は何度も頭を下げて出て行った。
「なんで無理してと言ったんだ」
「無理してお金を作ると犯罪を犯します」
亮は金欲しさに犯罪を犯すものを多く見てきた。
亮はめぐみと理恵に連絡を取って
夕方、代々木の駅前の喫茶店で会い
レイプ事件の話をした
「めぐみさん、理恵さん絶対守ります」
「亮大丈夫です、がんばります」
理恵が言うとめぐみがうなずいた。
「じゃあ、許可を取ってあるから学校の
中から一緒に出てください」
亮は白い錠剤と小さなスプレーの瓶を渡した
「今飲むの?」
「はい」
二人は錠剤を飲むとスプレーを
襟足と手首にかけた
「何これ凄いいい香り」
二人が声を上げた
「僕が調香した香水です」
「さすが亮ね」
「これは強力だから、気をつけて」
「はい」
そこに加奈から電話があった。
「亮さん、今晩時間がありますか?」
「どうしたんですか?」
「ラケットを買おうと思って」
「ごめんなさい、今日は時間が」
「すみません、今度付き合ってください」
「了解です」
加奈は亮に会いたくてしょうが無かったが
断られてとても落ち込んでいた。




