銀行
「それは企業から預かったお金を運用して
その利益をお返しするんですよ」
「はい」
「日本の場合資金運用といっても
国内株の売買益の小さいものでは無くて
短期間で利益の大きいプロジェクトに投資を
するの、リスクが大きいけど」
「では、未上場の会社に投資して
キャピタルゲインを狙うとか」
「もちろんしているわ」
「そうですか?」
「どうしたの?お金がいるの?」
恭子は心配そうに亮の顔を覗き込んだ
「いいえ、うちの会社の株を
買っている企業があって
それを食い止めたいんです」
「團さんの会社、DUN製薬ですよね」
「はい、何か知っているんですか?」
「もし、今日私を抱いてくれたら教えてあげる」
いかにもキャリアの風貌の美しい恭子が
突然甘えてきた
「教えて欲しいけれど・・・」
「じゃあOKね」
「はい、でもあなたのお付き合いをしている
男性に悪いような気がします」
「1年前に別れたわ」
亮の心配なのは恭子が亮の回りにいる女性に
対して嫉妬してかき混わされる事だった
「でも・・・もう少し付き合ってからにしましょう」
亮が返事に困っていると
「大丈夫嫉妬はしないわ、
あなたと親しくなりたいだけ」
「はい」
亮はまじめそうな恭子を信用はしていなかった
「うふふ。私、香港でイギリス人と
一緒に住んでいたの、だからSEXには鷹揚よ」
「そうなんですか」
亮は少しだけホッとした
「團さんその件は誰にも
内緒にしておいてくださいね」
「はい。もちろんです」
孟林の通路で後ろから二人を見ている男が
笑いながら帰っていった
二人は食事を終えると恭子は元気な声で亮を誘った
「わかったわ、今日は飲むだけにしましょう」
「はい」
恭子が支払いをしようとすると亮が財布を出した。
「僕が払います」
「でも、私のほうが収入が多いわよ」
恭子はまだ亮の事をまだ知っていなかった
「大丈夫です、お先にどうぞ」
亮は恭子を先に出すと店長の郭は頭を下げた
「亮さんお久しぶりです」
「郭さん、ご無沙汰しています。おいしかったですよ」
「ありがとうございます」
亮は差し出された伝票にサインをした
「そういえば、さっき亮さんの
知り合いと言う男性が来ていました」
「えっ誰だろう」
「名前を聞いたら近いうちに連絡するそうです」
「は、はい」
亮は孟林と自分の関係を知っている
人を思い出そうとしたが
心当たりは無かった
亮と恭子の二人は銀座のカフェバーに入った
「実はDUN製薬の株購入に200億円の
資金を頼まれているの」
「えっ誰にですか?」
亮の手が止まって恭子に顔を近づけた
「ストレートグループの一文字社長です」
「やっぱり」
「DUN製薬はインスリン浸透式ベルトの
特許も持っていて業績も良いし、
かなり利益が出そうなんです」
「調べていたんですね。DUN製薬を」
「はい、でも気が乗らないのよ。
紹介者が総会屋の山口だから、
DUN製薬に松平さんがいるし」
「はい、山口は我々の敵です」
「團さん」
恭子は松平から團呼び名を変えていた。
「亮でいいです。こういう関係になったのですから」
「うふふ、亮あなたが私にここまで話すと言うことは
私に味方につけと言う事?」
「お任せします、あなたの仕事なんですから」
「そうね、会社に対して背任行為はできないわ」
「はい」
「社員は会社の利益を考えるのが一番なの」
「はい」
「だから、あなたの味方につくわ」
「お願いします」
「任せて」
恭子は服を着ると顔つきが
キャリアウーマンに代わっていた。
「帰って仕事をするわ」
「仕事?」
「はい、200億円の融資を止める書類を」
「いいえ、その件はまだ」
亮はすまなそうに言うと
「うふふ、じゃあいつ止めるの?」
「分かりますか?水曜日です」
「OK」
亮と恭子は強く握手をした。
「今度会った時は太い鍼を刺してもらうわよ」
亮はバリバリのキャリア
ウーマンの言葉には思えなかった
「は、はい」
~~~~~~
丸の内の治療院を終えて直子は蝶に出勤し
化粧を濃くして白いドレスに着替えた。
「さすが直子さんね、綺麗だわ」
美也子がドレスのすそを延ばした
「ありがとうございます」
「ママが山口に電話をしたので今日か
明日現れるはずよ」
「はい」
直子は緊張で汗ばんだ手を握りしめた
~~~~~
5時過ぎに
葛西の山口邸の応接室では
七瀬はるかと逸見真理
椅子に座って山口を待っていた
「真理、今度の仕事がうまく行けばAAAになれるわ」
七瀬が逸見に話しかけた
「そう、そうしたらスポーツクラブの
会員権とエステ行き放題、
しかもアメリカ留学だもんね」
「うん私は審美歯科で歯を白くしたい」
「私も」
そこへ山口が入ってきた
「やあ、お待たせ」
山口はショートパンツの二人の長い足を見て
唾を飲み込んだ
丸顔の可愛い感じで豊満な胸を突き出している
七瀬と細面の美人系の逸見を見て山口は悩んでいるうちに
山口のスマートフォンがなった
「先生、お久しぶりです」
「おお、絵里子ママか。どうした?」
「今日新人が入ったの、先生の好みの女の子よ」
「そうか、わかった。近いうちに行くぞ」
「では、お待ちしています」
「うん」
山口はしばらく考えて二人に声を掛けた
「食事に行くか」
「わあ、素敵」
二人が声をあげ
黒いロールスロイスで銀座へ向った
「何が食べたい?」
「焼き肉が食べたいです、ね。はるか」
「焼き肉か、じゃあ銀遊亭だな、おい」
山口は運転手の広島に指示をした
「はい」
広島は銀遊亭のVIPルームの予約をした
「山口様3名様ですね、かしこまりました。
お待ちしています」
電話を受けたマネージャーの柴田はすぐに
メールを打った
~~~~~~
そこに亮のスマフォがブルブルと
震えるとメールを確認していた
「銀遊亭に行ったのか、あはは」
「どうしたの?」
恭子が聞いた。
「山口が銀遊亭に行ったそうです」
「まあ、高い焼肉屋へ行くのね」
「すみません、高くて」
「なぜ、亮が謝るの?」
「うちの父がオーナーなので」
「うふふ、今度は太い鍼の
前に焼肉屋食べましょう」
「はい、そうですね」
亮はそのままスマートフォンで
森へ電話をした
「森さん、山口が銀遊亭に行きました」
「なんで、お前さんのところへ」
「銀遊亭が有名なだけですよ」
「そうかなるほどな、わかった」
「お願いします」
山口と七瀬と逸見はVIPルームに案内され
焼き肉を何点か注文すると
七瀬が聞くと山口は不機嫌に答えた。
「あら、さっきの運転をなさった方は?」
「ああ、外で待っている」
「そうなんですか?一緒に食べればいいのに」
山口は七瀬のしぐさしゃべり方を
見ると良く気が利く
女だと思っていた
「二人とも総会屋を知っているか?」
「良く分かりません」
逸見が答えると山口は自慢げに答えた。
「上場している株式会社は色々あって必ずと
言っていいほど不祥事を抱えている」
「はい」
「その不祥事を少なからずもみ消しているのだが、
それを表に出そうと言う連中もいる訳だ」
「はい、表に出ると社長が困りますよね」
「うん、だから会社の執行部が一番怖いのは
株式総会で一般株主に不祥事を明かされることだ」
「株主に隠しちゃうんですね」
七瀬が言うと山口は鋭い目ではるかを見た
「私はその株主総会で不祥事が明かされないように
動く仕事をしている」
「かっこいい」
逸見が体を跳ねさせた
「色々と株の話を教えてやるぞ」
「興味あります、勉強させてください」
七瀬が真剣な顔をして言った
「分かった」
山口は二人の女子大生を前にして
雄弁になり色々な会社の人間を知っているので
物が安く買える話になった
「先生、今度ヒアルロン酸風呂の
家庭用が出るそうなんです。欲しいなあ」
逸見が言った言葉を聞いて山口の顔がピックと反応した
「あはは、そこは近いうちに我々の
グループになるから買ってやるぞ」
「先生本当ですか?」
「ああ」
山口は嬉そうに言った
「先生、M&Aですか?」
七瀬が聞くと山口は事実を漏らした。
「うん、今あそこの株を大量に買っている」




