屋島の脱出
そこに後ろの戸が開くと
ライダースーツを持った仲居が立っていた
「さあ、屋島さん行きますよ」
「はい」
屋島はみんなに丁寧に挨拶をすると
隣の部屋に入った
「今すぐにこれに着替えて」
「はい」
屋島が着替えている間に亮が屋島に説明をした。
「今バイクが来ますからその後ろに乗って
走ってもらいます」
「はい」
「そして甘楽パーキングエリアで車に乗り換えてください」
「誰の車ですか?」
「團会長の車です。そしてそのまま團会長の家に
泊まってください、僕は明日行きますから」
「は、はい」
屋島は今まで自分の会社のスパイをしていた女を
家に入れる團会長の心の広さに感動した。
「松平さんと團会長はずいぶん親しいんですね」
「あれ?森さん話をしていなかったの?」
「はい」
「会長は僕の父です」
「えっ」
屋島はそれしか声が出なかった。
「それと、バイクで高速道路を走ります
からしっかり抱きついてください」
「はい、大丈夫だとおもいます」
「OK、似合いますよ」
屋島が黒いヘルメットをかぶるとホテルの
板場の入り口の前にバイクが来た
屋島は恐怖を持っていたが心を決めてバイクに乗り
「お願いします」
といってライダーのウエストに手を回すと
驚きの声を上げた。
「あっ女の人?」
「じゃあ、気をつけて」
亮が言うとバイクは勢い良く飛び出し
ホテルの玄関の前に止まっていた
バイクと一緒に走って行った
亮はすぐに裕子に電話をした
「今出ました」
「はい」
「宜しくお願いします」
「はい、必ず彼女を送り届けます。命を懸けて」
「ありがとう」
亮は裕子に心から感謝をした
みんなのいる部屋に戻った亮に
美咲が立ち上がった
「私達は今から東京に帰るわ」
「はい、僕は明日の朝東京に戻りますので
午後に打ち合わせしましょう」
「はい、美味しかったわここの料理。お会計は?」
「ああ、ここは僕のおごりです」
「でも、私たち公務員の立場じゃあ」
「それは利害関係者場合です、
友達同士なら関係ないですよ」
亮はさわやかに笑うと今井が亮に握手を求めた
「じゃあまた、ゴルフやりましょう」
「今度は山口の逮捕の時に」
田中は亮の目を見て強く握手をした
「はい」
三人がホテルを出て
黒い高級車外車の運転席に乗ると
後ろに乗った美咲が電話を持った
「あっ、お父さん。パトカー出してくれる」
「どこだ?」
「甘楽パーキングエリアに」
「何かあったのか?」
「赤色灯を回していてくればいいわ」
「分かった」
「それと今女性だけの暴走バイクが
走っているから捕まえないで」
「ん?」
「亮のためなの、お願い」
「あはは、了解だ」
美咲の父の原巌は笑って答えた
一時間後
秀樹から亮に電話があった
「今、屋島君を乗せたぞ」
「ありがとうございます」
「凄い数のバイクが来たから驚いたよ」
「あはは、すみません」
「じゃあ目白の家で預かっておくぞ」
「はい。あっ、お父さん」
「なんだ」
「総会屋の山口と戦って良いですか?」
「そうか山口か、大丈夫か?」
「はい、正義のために」
「そうか、がんばれよ。
あいつが消えればみんな喜ぶ」
「はい」
「金が掛るようだったたら、
中村か千沙子に言ってくれ
お前もそろそろ金の使い方ができるだろう」
「はい、ありがとうございます」
亮は父親が自分を認めてくれた事が
とてもうれしかった
「さて、俺たちも帰るか智子さん、
玲奈さん、加奈ちゃん」
森が立ち上がった
「大丈夫ですか?森さん」
「ああ、玲奈さんは明日ドイツだからな、亮はどうする」
「僕は今夜泊って明日、内村社長に挨拶をしてから」
「私は社長のホテルに泊まって朝から秘書をやるから
乗せて行って」
葉子も準備をした。
「團さん、今回はありがとうございました。
楽しかったです。私、いつか皆さんのように
團さんの役に立てる女になりたい」
加奈は感動して頭を下げながら目を潤ませていた。
「加奈さんそんな事考えないでください、
それより就職を決めて
お母さんを安心させてあげてください」
「はい、気を付けて」
~~~~~~
「玲奈さんは何時の飛行機?」
智子が聞いた。
「13時です」
「じゃあ私支度を手伝うわ」
「ありがとうございます」
「では、私達も帰ります」
絵里子と美也子も立ち上がった
「亮楽しかったわ」
絵里子が白く細い手を差し出し握手をした
「はい」
「また、遊びましょう」
「はい」
「気をつけて」
亮達はロビーで六人を見送り
二台の車の赤いレールランプを見ると
寂しさがこみ上げてきた
美喜、直子と亮の三人は
和室の亮の部屋で山口捕まえる
作戦の打ち合わせを終えて
亮が布団に入るとすぐに
美喜と直子が布団の中にもぐりこんできた
「ど、どうしたんですか?」
「今日は亮をサンドイッチ、うふふ」
直子が亮にキスをした
「亮、ぎゅーと抱きしめて、怖いから」
「はい」
亮が思いっきり直子を抱きしめると
「あーん」
直子は体をのけぞって喜んでいて
その目から涙がこぼれていた
「亮ありがとう」
翌朝、亮がジョギングにホテルを出て
別荘地の方へ向うと
車が亮の前に止まり
男が車から降りた
「朝からお元気ですね、松平亮さん」
昨日ドスを亮の顔に突きつけた
小太りの男が言った
「なんですか?屋島さんの居所は知りませんよ」
「今日は別な用事だ」
「はい?」
「あんたを痛めつけろと言われましてね」
「えっ、僕は人に恨まれるような事は
していませんよ田所良太さん」
「ん?」
田所は自分の名前を言われて驚いていた。
「それは知らんが、向こうの人は恨んでいるようだ」
もう一人の背の高い男は懐に手を入れた
まま近づいてきた
「鴨志田敬三さん、これ以上罪を重ねると
執行猶予が取り消されますよ」
亮は身構え後ずさりをして
ホテルへ向って走り出した。
背の高い男の胸の物がピストルでは
さすがの亮も太刀打ちできないのが
分かっていたからだだった
「亮は何処へ行ったのかしら、
朝食は部屋でするのよね」
美喜が直子に聞いた
「朝のジョギングよ、毎朝走っているわ」
「そうか、あの腰のパワーは
そこから来るのね。うふふ」
「あはは、そうね」
「私、着替えを車に取りに行ってくるわ」
「ああ、あたしも行く」
二人は車のキーを持って
駐車場へ向い
直子が後ろのドア開けて
バックを探していた
そこへ逃げてきた亮が通り過ぎた
「美喜さん逃げて!」
亮が振り向くと
車で追ってきた男達が
美喜の腕をつかみドスを首に当てた
「まて!この綺麗な顔に傷をつけるぞ」
亮は立ち止まった。
「待ってください、分かりました
殺すな!」
亮はゆっくり歩いて近づき
車の中の直子が亮に目で合図を送ると
亮が車の後ろに消えた。
すると、亮はラケットとボールを持って
飛び出し美喜を抑えている
男に向けてボールを打ちつけた
それが顔に当たった隙に美喜は亮の所へ
逃げ込んだ
「美喜さんボール出して」
美喜はボールバックから
ボールを次々に取り出し
二人めがけてボールを当てた
「直子さん雨宮さんの所へ逃げてください」
「はい」
直子の姿が消えると美喜はバッグから
手裏剣を取り出し両手に持った。
亮は強烈な勢いで飛んでくる
テニスボールを受けてひるんでいる
田所の方へ走り
ラケットのフレームで手を叩いた




