屋島救出
「とにかく屋島さんを助けてあげましょう」
「はい。お願いします」
「はい」
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亮は森と美喜を誘いホテルを出た。
「森さん、幸田美喜さんです」
「あっ、初めまして森です」
「亮、どうしてこんな美人を?」
森は小声で言った。
「彼女、強いんです」
「何?セッ〇スか?」
「違いますよ。格闘技と手裏剣です」
美喜が持ったバックからカチャカチャ
と金属音がしていた。
軽井沢駅に駅に着くと
三人のやくざ風の男が改札にいた
「森さんやばい人みたいですね」
「うん」
「このままじゃ、屋島さん
改札から出られませんね」
「そうだな」
「警察に来て貰いますか?」
「だめだ、今の段階では善良な市民だから
うまくタイミングを計らないと、
いざとなれば彼女は交番に駆け込むさ」
森は駅前の交番を指さした。
「はい・・・・」
22時14分過ぎに改札に現れたのは
二人の男と一緒の屋島だった
「おい、様子がおかしいぞ」
「はい、彼女二人の男に挟まれているわ」
美喜は屋島の腕を掴まれて顔をしかめている
姿を見た。
「車内で捕まったんですね。おそらく追手が
大宮で乗り込んできたのでしょう」
「つまり相手はかなり大きな組織か
コネクションを持っていると言う訳ね」
亮と美喜は車を降りて歩き出そうと
すると森が耳元で囁いた
「待て、お前が今彼女に声をかけたら、
大変な事になるぞ」
森が想像したのは屋島が刺されるか、
人質事件になるか最悪の状況だった。
「はあ、はい」
そして、亮と美喜が改札口から歩いて
駅前ロータリーの方へ歩くと
屋島は亮に気付き目を下に向け、
止まっていた車の前に着くと
二人の男が屋島を取り囲み
強引に屋島を車に乗せた。
亮は森の車に乗った。
「後を付けましょう」
「了解」
屋島乗った黒いワゴン車と
屋島を連れてきた二人は止めてあった
黒塗りのベンツに乗って走り出した
亮はすぐにワゴン車のナンバーを控えると
美咲に電話をした
「どうしたの?」
「車のナンバーを調べて欲しい」
「いいわよ」
「長野か33 〇〇〇〇」「長野も33 ○○○○の2台です」
「わかったすぐに調べるわ、何があったの?」
「DUN製薬社長秘書の屋島さんが
軽井沢駅で拉致されました」
「えっ、彼女向こうのスパイでしょう」
「それが、なぜか突然僕のところへ
連絡してきたんです」
「わかったわ、すぐに連絡する。
まさか罠じゃないでしょうね」
「違うと思います」
亮は電話を切った。
「森さん、車に拉致した連中は東京からの
追っ手ではないですね」
「うん、地元のヤクザだろう」
「じゃあ、このまま東京に届けるか、
インター付近で引き渡す段取りですかね」
「ああ、この時間だから明日迎えを待つつもりだろう」
「そうですね、じゃあどこかに入りますね」
「この辺りは別荘があるから人目に付かず監禁ができる」
屋島が乗せられた車は高速インター近くの別荘地に入ると
そこに美咲から電話があった
「亮、その車2台とも長野の天竜会の物よ」
「やはりヤクザですね」
「はい、どうやって救出するの?県警行かせようか」
「いや、大げさになるだけです」
「大丈夫?」
「はい、三人でできると思います」
「任せたわ」
美咲は亮が逮捕術訓練を受けた時の成績
の優秀さを知っていたので安心をしていた
「では、美咲さん救出後の屋島さんの
保護をお願いします」
「わかったわ、気をつけて」
「はい」
亮は電話を切ると森に指示をした。
「森さん、やつらが車を止めたら徐行してください」
「OK」
亮と美喜は白い錠剤を1錠飲み亮は袋から
インスリン用の注射器を取り出していた。
「何をするんだ?」
「ちょっと懲らしめます」
「大丈夫か真っ暗だぞ」
「はい、猫になります。美喜さん」
にっこり笑って目薬を目に点し
美喜に渡した。
屋島の乗った車が左側の別荘に入って
止まると亮と美喜は車から飛び降り
腰を低くして男達の方へ走ると
先にベンツから降りた二人のうち
一人の男の首元にペンシル型の注射器を
打った。
その間に美喜が後ろから抱き付き男の口を押え
亮はその男の首筋に注射を打ち二人はあっという間に
倒れると亮はすぐに振り返りワゴン車の方へ向った。
ワゴン車の運転席の男がベンツの異常に気付き
ドアを開くと後ろから
亮は男の首元に注射針を指しボタンを押した
その男は一瞬で崩れた
残りは二人
亮は二本の指を立て美喜に無言で合図を送った。
ワゴン車の後ろから降りた
屋島と二人の男の一人に亮が後ろから飛びかかり
スリーパーホールドで首の血流を止めて男を落した。
屋島はその隙に美喜のところに逃げ
美喜は男の前に立ちはだかった
亮は屋島を追いかけた男の前でしゃがみこんで
わき腹に右のパンチを放つと
男は痛みと苦しさで腹を抑えて転がった、
そこに美喜がジャンプして胃の上に膝を
突き立てた。
男は体をくの字に曲げて気を失った。
「まるで忍者だな」
森は亮と美喜の動きの早さに鳥肌がたった
「さあ、逃げましょう」
亮は屋島の手を引き森が運転席に乗っている
車に飛び乗ると全速で走り出した。
「屋島さん大丈夫ですか?」
「はい、松平さんありがとうございます」
「もう大丈夫ですよ。どうしました?」
「高崎駅で乗り込んできた二人に見つかって
ナイフを突きつけられて連れて来られたんです」
「そういう訳でしたか。やはりスマートフォンのGPSで
居場所がわかってしまったんですね」
「はい、すぐに切ったんですけど・・・」
「手遅れだったか」
「ところで亮、あの四人どうやって倒したんだ」
森は亮に聞いた。
「三人は首筋にインスリンを注射して
四人目は美喜さんが胃を・・・」
亮は思わず顔をしかめた。
「おお、美喜さん凄いなあ」
「はい」
「森さん、美喜さんは止め(とどめ)に
股間を蹴るんです」
亮は小声で囁いた。
「わあ、痛そうだ!」
「インスリンは毒なんですか?」
屋島が不思議な顔をして聞いた。
「正常な人は低血糖を起こして
まるで貧血の状態になります」
「すごい」
屋島は亮がまるでスパイのように思えた
「やつらどうして、屋島さんの行き先が
わかったんだろう?」
森が不思議そうに聞いた。
「屋島さんひょっとしたらクレジットカードで
切符を買いましたか?」
「はい、手持ちがなかったので」
「なるほど、森さんひょっとして情報が」
「ああ、盗まれているな」
「はい」
「そ、そんな」
屋島の口元が恐怖でカタカタと震えた
亮は屋島の肩を優しく叩いてすぐに美咲に電話をした
「美咲さん屋島さんの救出成功です」
「お疲れ様、亮」
「それで、何処へ行けばいいですか?」
「軽井沢署へ向って」
「いや、それじゃ長野県警から警視庁へと
面倒な事になってしまいますよ」
「そうね、じゃあどうする?ホテル?」
「とりあえず、うちのお祖父の研究室へ行きます」
「どこ?」
「雲場池の近くです」
「わかったわ、私も向います」
「今の時間ならやつらは軽井沢の近辺の
ホテルをしらみつぶしに探すはずです」
「そうね、捜査の参考に田中さんと
今村さんを連れて行きます」
「はい、お願いします」
森の運転した車は二階建ての
洋風の家の前に着いた。
「ここが祖父の研究室です」
「誰が住んでいるんだ?」
「緑川さんと言う夫婦です」
亮は玄関のチャイムを鳴らした
「はい、どちら様」
「亮です」
年配の女性が玄関を開けた。
「ああ、亮さん」
「多恵さんの久しぶりです。夜分すみませんけど
今からミーティングをしたいんですがいいですか?」
「はい、もちろんです。どうぞどうぞ」
「すみません、彼女をお風呂に入れてあげたいんですが」
亮は屋島の破れたパンストを見て言った
「はい」
多恵はにっこりと笑って屋島をお風呂に案内した
亮と美喜と森二人は玄関を入ってすぐ右側の洋室に入り
椅子に座った
この研究室は、元々團家の別荘で亮の祖父の
團拓馬が作った漢方農園で1万坪の面積があり、
亮が幼い頃から拓馬と一緒に古文書の
研究をしていた場所だった
「ここでは何の研究をしているだ?」
「今はここで漢方の薬草を栽培して
乾燥させたりして漢方薬を作っています」




