1.くっ殺三昧に嫌気がさした
気ままに更新。
俺はもう、うんざりだった。
「ウゴウゴ、(もういい加減にしてくれ、)」
目前に広がるその光景に。
そう毎日毎日、くっ殺。くっ殺。くっ殺…。
「ウゴッ、ウゴウゴ。(何を言っている、お前ももう成人した、キングの息子として立派にくっ殺してみろ。)」
「ウゴウゴ。ウゴッ。(そうだぞ、俺たちのように立派にな。くははははっ。)」腹違いの兄弟達は、毎日飽きもせずくっ殺三昧の日々を送っている。
「ウゴウゴ。(俺はもうこの家を出て行ってやる。)」
「ウゴウゴ、ウゴッ。ウゴッ!(聖女が産んだので、目をかけて育ててやったのに、ろくにくっ殺も出来ない無能だったとはお笑いだな。勘当だ!お前なぞ、とっとと出てゆけ!)」
こうして俺は1人。群れを離れ、野良オークとして生きていくことになった。
俺は異世界転生者だ。そう、何を隠そう。前世では、誰もが俺の名前を知っている。超有名、人気AV男優だったのだ。
前世、色々やり尽くした俺は思った。セッ●スは、早死にする。毎日の過酷な仕事がたたって、俺はぽっくり逝ってしまったのだ。
せっかく異世界に転生したのだし、この世界を観光してみるのも良いかもしれない。今世では、プラトニックな恋愛にも憧れるな。
俺は何も持たずに家を出た。
とりあえず、服を何とかしたいな。前世では服を着て生活をしていたので、フルチンの腰蓑スタイルはどうも落ち着かない。
家の前で、従兄弟が冒険者を倒していた。女戦士を家に連れて帰る様だ。男の方は、既に事切れていた。なかなか良い服を着ている。
「ウゴウゴ?(なあ、こいつ貰っても良いか?)」
「ウゴッ?ウゴウゴ。(えっ、何。お前、そっち系だったの?そうか、だからくっ殺しなかったんだな。)」
何か変な勘違いをされてしまったが、もうここを出ていくので訂正するのも面倒だな…。俺は死んだ冒険者から、服と靴、武器やお金を剥ぎ取って身に付けた。マントが異世界ぽくてなかなか良い感じだった。
普通のオークなら、この服は入らなかっただろう。オークはみんなゴリマッチョだからだ。だが俺は、食生活のおかげか、細マッチョだった。兄弟達にはバカにされていたが、服をぴったり着られるので結果的に良かった。
オークの食生活は実にシンプルだ。捕まえた獣を頭から生でバリバリ食べるだけ。俺は寄生虫などが怖くて食べられなかったが、薬草や海藻を摘んでサラダを作ったり、魚を捕まえて焼いて食べていた。
そのおかげで全身緑色だが、スリムで引き締まった体をしている。フードをかぶって仮面でもつければ、人に見えなくもないかな。
ここは魔物の住む森、通称エデン。ここから東に3日歩くと、ダンジョン都市メトロがあるそうだ。ダンジョンでレベル上げ。男なら憧れる響きだな。
こうしてオークキングの息子、マグナム鷹男は旅に出掛けた。
「続きが読みたい。」と一言、メッセージをくれたら。俺、頑張れる気がする。