ステータス
持論だが、異世界に来たなら言わなければならない言葉がある。
これを言わずに異世界生活をするなど言語道断だ。
さぁ、恥ずかしがることはない。
声を大にして、胸を張って、その言葉を口にしよう。
[ステータスオープン!]
………
……
…
あれ?何も出てこないぞ?
実際に声に出てるのがドラゴンの鳴き声だからダメなのだろうか、いや、流石にそれはないだろう。
そんなの理不尽すぎる。
では、声の大きさが足りなかったのだろうか。
ならば、さぁもう一度。
[ステータスオープン!!!!!]
今度も何も出てこない。
うーん?
どういう事だ?
さっきまでのハイなテンションから頭を切り替える。
他のモーションが必要なのか、何かアイテムが必要なのか。さっぱり分からない。
まさか、ステータスは表示出来ないのかも…
この何もわからない状況で自分のことすらわからない、というのはとてもマズい。
他に何かそれっぽい動作がないかを考える。
今度は試しに手の指を縦に降ってみた。すると、
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[名前] ___{ }
[種族] ___タイニードラゴン
[レベル] ___ 1
HP___260
MP___120
SP___120
[物攻] ___ 16
[魔攻] ___ 13
[物防] ___ 26
[魔防] ___ 20
[素早さ] ___ 10
[精神力] ___ 23
[種族特性] ___ 竜の目 Lv1
精神力向上 Lv1
防御力向上 Lv1
HP向上 Lv1
[種族スキル] ___ ドラゴンブレス Lv1
威嚇 Lv1
飛行 Lv1
[スキル] ___ { }
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意外とあっさりと出てきてくれた。
名前はまだ無いようで、空欄。
種族はタイニードラゴン。名前から考えるに進化したりするのかもしれない。
スキルはまだ何も持っていないらしく、名前と同様に空欄だ。
その他はよくあるソシャゲのようなもので、
特に気になる点といえば種族特性と種族スキルだろうか。
目を凝らして書いてある文字を見ると詳細が頭に流れてくる。
ステータスの精神力と防御力、HPが他と比べて大きいのはこの種族スキルの効果らしい。
[竜の目 Lv1] は自分のレベルより、10レベル上の相手のステータスまでを見ることができるようだ。
[ドラゴンブレス]は火炎放射そのもので、[威嚇]はワン○ースの覇王色の覇気のようなものだった。
[飛行]は、筋肉を使うのではなく、MPを使用して飛ぶらしい。
おお、流石ドラゴン。
原理はよくわからないが異世界なのだから何でもアリなのだろう。空気中に魔素やら何やらが漂ったりしているのかもしれない。
あまり深くは考えないようにしよう。
ステータスが見えるようになってやる気が上がってくる。
これからの行動指針が立てやすくなるのはとてもありがたい。
さて、なにをしようか……
ステータスを見て色々と考えていたらだいぶ時間が過ぎてしまった。
多分外は夜になっているだろう。
まだ眠くはないが、自分はまだ生まれたばかり。
寝ておいた方がいいはずだ。
とりあえず明日はレベル上げでもしよう。
そんな事を思いながら異世界生活の記念すべき第1日目は無事に終わりを迎えた。