第九十二話 白銀夜叉
白銀夜叉
「さて、どうしようかな?」
僕は、繰り出される黒剣による突きや、斬りおろしを鍵で必死に反らしながら、そう言いました。なんとか、しのげてはいるけど、ギリギリなんだよね。しかも、かなりの集中力を要するから、そう長くはもたないし。お姉ちゃんも隙を見て風魔法をうち込んでいますが、それほど大きなダメージになっているようではありませんし、傷はすぐに修復してしまうため、戦いが、不利な状況のまま停滞しました。
上段から振り下ろされる剣を力を受け流すことにより反らし、黒縄を使いますがなんの抵抗にもならず、そのまま引きちぎられました。そして、今度は、そのまま、剣を斬りあげてきました。僕は、なんとか、鍵で防御しましたが、当然のごとく力負けをして僕の体は宙に浮きました。相手は、剣を振り下ろそうとしましたが、そこにお姉ちゃんの風魔法が、飛んできて、行動を阻害しました。その間に着地した僕は体制を整えて備えました。
「ああっ、鬼並みの力さえあれば。・・・まてよ?・・・いや、だけど、できるかどうかは微妙・・だな。ただ、これしかなさそうだし、うん。」
僕は、黒い鬼に体を乗っ取られていたときのことを思い出しながら、魔力を体中に補充してゆきます。僕の頭の角が伸び、僕は鬼化しました。しかし、今までとは異なり、そこにいたのは白銀の鬼でした。
「・・・うん、うまくいった。」
「カナデ?」
「大丈夫、もう、乗っ取られたりはしないよ、多分あの鬼は結奈の力でもう消えているはずだから。」
この姿になった僕は、相手の動きにきちんとついていけています。
「おお。これならいける!」
そういって僕は、時折攻撃も織り交ぜながら、斬り合いを続けました。そういえば、さっきから触手を使ってこないな。もしかして、使えないのか?一応心の隅には置いておくか。




