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第八十三話 加持祈祷
加持祈祷
僕がこぼした謝罪の言葉に対し、結奈は
「うん、わたしはもう大丈夫だから、そんなに泣かないで?」
「えっ?あ、あれ?なんで?」
僕はいつの間にか目から雫をこぼしていました。
「ほら、そろそろ起きる時間だよ。はやく起きてあの人を安心させてあげて。」
「うん、・・・結奈は?」
「大丈夫、一本、鍵を頂戴?」
「いいけど、なんで?」
結奈は、僕のその言葉に答えずに、その鍵を両手で握りました。そして、僕にその鍵を返してきました。
「どうしたの?」
「その鍵をわたしの依り代にしたわ。その鍵をあの人、リヴィアさんに渡してね。」
「お姉ちゃんは、依り代をどうこうするような魔法は持ってなかったと思うけど。まあ、わかった。」
「じゃあ、少しの間だけどさよならだね。」
「うん、またね。」
そう言うと、黒い空間に光が溢れて、塗りつぶしてゆきました。
リヴィア視点
「死なないでっ!死なないでよっ!」
しかし、カナデの心臓は相変わらず止まったままで動き出すことはない。
「お願い・・誰か、カナデを助ける・・力を・・」
そう言った瞬間突如あたりは眩しい光に包まれた。




