25/381
第二十五話 一条之光
一条之光
僕は再び、黒い空間にいた。だが、ひとつだけ異なる点があり、それは、僕の周囲1mほどが、光に照らされているのだ。その光は僕を守るように温かく、僕に近づいてきていたものたちも近づいては来れないようです。
その光は徐々に広がってゆき、怨嗟の声は、徐々に薄れてゆきました。そんななか、僕は、結奈と、視線が合いました。結奈は、にっこり笑うと薄れてゆきました。
「待って、結奈!」
僕は結奈に向けて手を伸ばしました。しかしながら、その手はなにも触れることはなく、結奈は消えてしまいました。僕は彼女が消え去る寸前に一筋の涙が、見えました。なんで、君は、そんなに悲しそうな顔をしているの?僕がそう思った時、黒い世界が崩壊しはじめました。不思議と恐怖感はなく、僕は崩壊に巻き込まれました。
どうやら、黒い世界の崩壊は、夢の終わりを意味するようです。いや、あれは、本当に夢だったのでしょうか?夢で無いといいな。また、結奈に会いたいな。目覚めた僕はそんなことを考えていました。




