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第二十二話 隔靴掻痒
隔靴掻痒
今度こそ大事なものを失わないように決意をしました。
「どうしたの?カナデ。」
「ううん、なんでもないよ。」
僕はそう誤魔化した。お姉ちゃんはそれ以上言及しなかったので、そのまま帰路についた。
家に着くと、
「さて、夕食にしましょうか。」
「うん、手伝うよ。」
「それでしたら、お願い。」
「はーい」
僕は、先ほどの考えを心の奥底に押し込めると、お姉ちゃんの手伝いをはじめました。まあ、包丁も、火も触らせてはもらえなかったけど。・・・いや、一応大丈夫なんだよ?僕の見た目のこともあるし、心配なのはわかるけどさ。なんとなく納得がいかないというか、出来ることが出来ないことに対するもどかしさというかを感じた。あまり手伝いにはならなかったけれども、夕食が完成し、一緒にご飯を食べた。そのあとは、お風呂に入り・・・もちろん一人で、そして眠りにつきました。その夜僕は、嫌な夢を見ました。




