第二十一話 無罪放免
無罪放免
兵士さんに連れられて、詰所にやってきた。僕たちは、大きい机のある部屋に通された。事情を聴く際に使う部屋だそうだ。
「では、これに手で触れながら、わたしの質問に答えるように。」
そう言って兵士さんは、水晶玉を机の上に置いた。僕とお姉ちゃんは、言われた通り、水晶玉を触った。
「まずは、わたしの質問に嘘を答えてみてください。あなたは男性ですか?」
言われた通りに僕はいいえと答え、お姉ちゃんは、はいと答えた。すると水晶玉は赤く光った。
「はい、問題ないようですね。では、質問に移っていきます。あなた方の名前を教えてください。」
「カナデ・トキタです。」
「リヴィア・サミーレです。」
「あそこで何があったか教えてください。」
「お姉ちゃんを襲おうとして、止めようとしたら、剣を向けてきたので、殺しました。」
「はい、嘘ではないみたいですね。では、正当防衛ということですね。帰っていただいて結構ですよ。」
そう言われたので、僕は拍子抜けしたような気持ちになった。
帰り際、
「ねえ、お姉ちゃん?人を殺しているんだけど、罪とかには問われないの?」
そう聞きました。
「えっ?ああ、違う世界からきたんだったわね。こっちの世界では犯罪者を法で守ることはしないのよ。」
「犯罪者に人権はないってこと?」
「まあ、そのような感じかしら。」
襲いかかってきたものを殺してもいいのか。お姉ちゃんに危害を加えようとするなら・・・
 




