第二話 天涯孤独
天涯孤独
8歳の頃、僕の家族と、結奈の家族で、一緒に旅行に行った時に、僕の父さんと結奈の両親が事故で亡くなった。僕と結奈、母さんは、大怪我は負ったものの、助かった。結奈は、僕たちと一緒に暮らすことになった。この頃から僕はふさぎこみ、母さんと結奈以外と話をすることは減り、学校以外で外に出ることはなくなった。
そして10歳のとき、学校からの帰りに母さんと出会ったため、結奈も合わせて3人で歩いて帰っているとき、突如現れた通り魔に刺されて、母さんは死んだ。通り魔がナイフを母さんから抜き、僕のほうへ、向かってきたときに、警察官が駆けつけて、通り魔の男を取り押さえた。昨日付近で空き巣被害があったため、見回りをしていたらしい。僕は警察官に、どうしてもっと早くきてくれなかったのかと責め立てた。彼が悪くないのはわかっていたが、責めずにはいられなかった。いつのまにか、意識を失っていたようで、目が覚めると、見知らぬ天井が見えた。
「ここは・・」
「目を覚ましたかい?ここは、警察署の一室だよ。何があったか覚えているかい?」
「何って・・・はい、覚えています。母さんが・・」
「おっと、言わなくて良いよ。お母さんのことは、お悔やみ申し上げるよ。救ってあげられなくてごめんな。」
「いえ、あたってしまってすみませんでした。」
「いや、気にしなくて良いよ。気持ちはわかるからね。」
「ところで今日は何日の何時ですか?」
「6月10日の、午前11時頃だよ。」
「そうですか、ありがとうございます。えっと、お世話になりました。」
「お、おい、大丈夫なのかい?」
「ええ、大丈夫です。」
そう言って僕は家に帰って行った。警察官は悲しげな姿で彼を見守っていた。