第百六十四話 SONGS OF TRAVEL
SONGS OF TRAVEL
一ヶ月程経ち、リハビリの甲斐もあって、僕は体もちゃんと動くようになったのでお姉ちゃんを助けるための旅に出ることにしました。走ることはあまりできないが、まあ、普通の歩行ならば問題ない。というわけで、
「ハンナさん、お姉ちゃんをよろしくお願いしますね。」
「ええ、任せてちょうだい。」
「はい、お願いします。・・・よし、じゃあ行くよアウラ。」
「ギャウッ!!」
アウラは僕が意識の奥底に引きこもっていた間にかなり成長していたようで、首の先から尻尾の先までで2m50cmくらいはあるんじゃないかな?
「よし、じゃあ、アウラよろしくね。」
街と外を隔てる門の外に出た僕はそう言ってアウラに飛び乗・・・れるほどには筋力が回復していないので黒縄地獄で自分の体を吊り上げてアウラの上に乗り、そして、黒縄で落ちないように固定しました。しがみついていられるほど筋肉ついてないしね。仕方ない。
僕が乗り込んだことを確認したアウラは飛び立ちました。方向的にはまず、首都に向かえばいいか。目指せリブリシア!
ちなみにあの爆発事件の犯人は未だに見つかっていない。そのことに思うところがないわけでもないが、しかし、大切なのはお姉ちゃんを助けること。やりたいこととやるべきことを間違えない。僕はそのときそう決心して、リハビリに精を出していた。そのおかげかは知らないけど、一ヶ月で、出発できてよかった。




