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救世主

作者: 噺 角蔵

たまに思うこと。

自分を否定されると、自分の全人格を否定されたように感じる。

そして思うこと。

もしかしたら、私は皆に嫌われているのかも。

皆、とは、大体どうでもいいクラスメートとか。あんまり仲良くない、周りの人。これが舞台とかなら、通行人Aとかの位置に値する人。


心底どうでもいい。

然程仲良くない人に全人格を否定されようが、大嫌いだと気持ちをぶつけられようが、心底どうでもいい。だって、私だって、自分の人格を全て把握していないのだもの。


そのはずなのに、何がそんなに怖いのか、たまに挙動不審になる。


嫌わないで。攻撃しないで。


そんなことを思う。

何故そんなどうでもいい人に気をつかい、好かれようとするのか。全くもってわからない。自分のことなのに、わからない。


先程の体育の授業で事件は起きた。バスケをやっている最中、クラスのリーダー格の女、通行人Aの顔面に、思い切りパスをしてしまった。

謝ったが、通行人Aは怒り心頭。シカトされてしまった。


私は今、クラスメート全員から嫌われているかもしれない。


そう考えて震えている。


「さゆり、どうかした?」

聞き慣れた声に、半ベソかいた顔を上げる。そうだ。この子がいる。私が主役なら、この子は舞台のキーパーソンになるであろう、親友のミキ。中学以来の親友。私の人格を知っている彼女に嫌われていないのなら、他の通行人に嫌われていても構わない。

彼女が私を好いていてくれるのなら、私の人格は否定されていないということだ。


「大丈夫だよ、寝てただけ」


通行人達が色褪せていく。そのうち、砂のように私の脳内から消え去るだろう。


その時まで、キーパーソンといればいい。この子は、私の中では、どうやっても消えないから。

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