真実はいつも...です!!
「ねぇ♥マナちゃん♪もうそろそろ時間だよ★」
ミーニャが向いたその方向を見ると、一人そこに立っていた。
「さぁ♥始めよう♪勝つことの決まったデスゲームを★」
見た目が全く同じの、私......いや、カナさんがそこには居た。
唯一、その肌は黒く染まっていた。そして、何かに操られてるように、ふらふらと千鳥足を踏んでいる。
そしてその姿が一瞬、ぶれた。
気が付いたときには、私のお腹に衝撃が走った。背中を思いっきり壁にぶつけてから、殴られたのだと始めて理解した。
喉から登ってくる熱いものを吐き出すと、それは血だった。口の中に血の味が広がっていく。
「マナちゃん★本気で殺らないと♪殺られるよ♥」
わけわからない!!
頭が働かない。
あまりにも可笑しい、あり得ないと思える真実が多すぎる。
理解したくない!!
私が見てきた世界は全てが偽物で、そこに居る人間さえも偽物なんて。
何が真実で何な偽物なのか?
だけど......今は、考えていたら死ぬ。
背筋に寒気を感じ、すぐにその場から離れる。すると、さっきまで居た場所が爆発した。
そして、巻き上がる煙の中にカナさんを見る。
不意に、後ろから声が聞こえた。
「雷魔法『バインド』」
痛みは無い攻撃だった、だけど私の動きを止める魔法だった。
死んだように動かなくなった身体で、後ろからの殺気に備えようとする。
硬直時間は一瞬だった。すぐに振り返り、体制を―――
「マナ、ごめんね」
カナさんの目から涙が落ちた時には、遅かった。
両腕が肩から無くなり、噴水のように血を噴き出す。血を撒き散らしながら空に舞う自分の両腕を見た。
そして、カナさんの拳が私の身体に埋まった。
「はッ.....ッあ......」
何故か痛みは無かった。だけど上手く息が吸えないし、気持ち悪い感覚が広がる。
カナさんの腕が赤く染まっていくのを見て、これが死ぬって事なのか......と思う。
もう、意識も持たない。
そして、そんな時に微かに聞こえた。
「真実を探せ―――」
それを最後に私は眠った。
◇◆◇◆◇
「ねぇ~♪カナちゃん★自分の手で自分を殺した感想♥聞きたいな~♪」
ミーニャの視線の先には、両腕が無く、胸にポッカリと穴の空いた少女を宝物のように大切そうに抱き寄せ、涙を流す全く同じ見た目の少女がいる。
「マナ.......どうか。折れないでくれ」
「まぁいいか♥12880回と2回目が始まるだけ♪そうでしょ★ファースト♥」
溜め息をつきながらも現れたファースト。その目は、ミーニャを睨んでいる。
「全く、お前ら親子に付き合わされる僕も辛いんだよね」
「でも♪ファーストには記憶が無いでしょ♥」
「そうだけど」
ファーストはまた溜め息をつき、そして何かを始める。
「能力発動『セーブ&ロード』。『セーブポイント2』指定。『ロード』開始」
その言葉で、世界は無理矢理終結し、また動き出す。
「ゲームオーバーだよ♪♪またがんばってね❤」
◆◇◆◇◆
覚めるはずの無い目が覚めた時に、最初に目に飛び込んできたものは、この世のものとは思えない人間達だった。
まず、大きな黒い羽根が生えている。おっとりしたような印象の女性。足には鳥のような鈎爪が付いている。
「......シーナ」
「え~何で名前を~?」
次に、銀色に輝く鱗を持ったドラゴン。まるで、鏡のように光を反射して、眩しく輝いている。その体格とは違って小さな翼がピコピコと動いている。
「......デリドラ」
「お? 新しい主も我を知っているのだな」
燃えるような真っ赤な髪の女性。腰まで伸びる長い髪は、女性が動く度に波打つ。そして、綺麗な青い髪の女性。赤髪の女性と同じく腰まで伸びる長い髪。先程の女性と、まるで双子のような見た目。
「リッカ、セツナ」
そして、最後に執事服を着た白髪の男性。少し歳老いたように見えるが、着込んでいる執事服はとてもよく馴染んでいるように見え、落ち着いた雰囲気を出していた。
「ローエン」
「はい。以後お見知り置きを、新たなご主人様」
私は知っている。この五人を知っている。
だけど......
「新たなご主人様。我々は何とお呼びすればよろしいでしょうか?」
私の事をこの五人は知らない。
「私は......マナ。マナと気軽に呼んでくれ」
ゲームがリセットされるように、この世界もリセットされたのだと気が付いた。最初と全く同じ場所。同じ風景。それが私には最初と重なって見える。
「では、マナ様。何故カナ様のように私達の名前を知っていたのですか?」
ローエンがそう言った。
そして、私の次の言葉を五人が注目する。
「そういうことか」
今、気付いた。
なぜカナさんが、何でも知ってるような人なのか。なぜ未来を知ってるかのような事をするのか。
私と同じ......いや、私よりもっと、このリセットを体験したから......
何千、何万回繰り返したら、そんな事が出来るのだろうか?
今、何回この世界はリセットされたのだろうか?
真実は、一番信じられないような事が真実になる。そして、それは残酷なものだ。




