この世界で悪をです!!
「マナさん。ここに来た理由はダンジョン攻略したから......でしょうか?」
部屋に入った瞬間、アイラさんはそう言葉に出したので、少し驚く。
「......何で、分かったんですか?」
「あなたたちは《・・・・・・》似ているので、そう思っただけです」
「似てる?......誰とですか?」
私のその質問に、昔を懐かしむように微笑むアイラさん。そして、アイラさんが口を開こうとしたとき
「ふっ......それはもちろん僕とだよ」
いつの間にか入ってきていたギルドマスター。そしてなぜが決めポーズだ。
「......誰とですか?」
「いや、ちょっとマナちゃん!!」
「えっと......それはですね」
私がギルドマスターを無視してアイラさんを見ると、スッと目を横に反らした。
まさか!!
「そ、それでマナさん。今日はどういうご用件で?」
アイラさんが無理矢理、話を反らした。
私とギルドマスターが似ている?......考えたくもないけど、同じようなところはあるのだろう。
例えば、私達が異世界出身だと言うこと。そして、時間軸は違うものの異世界の中でも同じ世界に居たと言うこと。
少し無茶をするところ......
「まぁ、いいです。今日はSランクの手続きと、王都の大図書館の場所を教えてもらいに来ました」
私がそう言うと、ギルドマスターとアイラさんが二人で見つめあって、なぜが申し訳なさそうにこちらに向き変える。
「えっと、Sランク冒険者になるには、まず英雄と呼ばれるだけの功績をあげるか、誰もが驚くような事を成し遂げたもの......なのですが、功績を上げた噂が広がり、国王に認められ、認可を貰い。それを持って王都へ行きギルドの本部で登録する必要があります」
つまり......2日間などでは間に合わない。
「ごめんなさい。先に言っておくべきでした」
「僕も悪かった......君は何か重大な事を抱えているんだろ? 僕らで良ければ協力するよ」
「じゃあ、王都の場所を教えて?」
「わかった」
ギルドマスターは、部屋の奥から地図を取りだし、王都だろう場所に指を指す。
「方角は北西。ここから一週間以上かかる距離だよ」
「ありがと」
私は、私として最悪な手段を取るしかないことに、自分の力の無さを恨む。
「ギルドマスター」
「なんだい?」
「もし私が―――悪者になったとき、あなたが私を殺して」
「え......マナちゃん」
「メリー、行くよ」
驚いて固まるギルドマスターとアイラさんを置き去りにして、私は部屋を出る。
これでいい、これでいいと自分に言い聞かせ、『最悪の手段』に踏み出す。
ラスボスとしては普通なのかもしれない。だが、私にとっては最悪だ。
「......王都の図書館を乗っ取るなんて」
「マナちゃん。わたしはどんなことがあってもマナちゃんの味方だから」
「メリー。しばらくここにいて」
メリーの顔を見ないで、北西へ足を向け踏み出す。今振り返ってしまったら、私の決心が揺らいでしまうから。
人の為に『悪』になると決めたから。
「マナちゃん!!」
力強く足を踏み出した。後ろからかかる声を置き去りにし、駆ける。
『始まり街』から少し過ぎた場所で、いきなり私の足に鋭い痛みが走った。
地面に派手に転ぶと同時に、私にダメージを与えた人物を確認する。
「やっぱり固いな~ラスボスって。こっちの足が折れちゃうよ」
見たこともない青年だった。ゲームの中でも存在しなかった人物、そう確信した瞬間、私は警戒を最大限まで上げる。
「初めまして。僕は『ファースト』。君の―――いや、君達の敵さ」




