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望まれぬ結果です!!

 ダンジョンクリアに無邪気な笑顔で、はしゃぐメリーを私はただ見ていた。

 ただメリーを見つめていた。

 私がメリーの両親を能力で消したことを、私以外の誰も認知されていない。実質、メリーの両親を殺したようなものだ。

 しかし、当のメリーもその事実を知らない。

 そんなメリーの笑顔が私には苦痛に感じ、頭がぐちゃぐちゃになりそうだった。


 そんな思いなど関係なく、ダンジョン攻略は今終わった。

 例え、それが望まれないものだとしても、ダンジョンはクリアされた。

 それを裏付けるように、金色の魔方陣が急に足元で展開され、私達は別の部屋へと強制的に転移させられた。


 転移した部屋で見たものは人の身長ほどもある宝箱だった。

 しかも、その宝箱はライトアップされていて、キラキラと装飾が光を反射しさらにその存在感を目立たせていた。


 「ねぇ、マナちゃん宝箱!!」


 メリーに手を引かれ、なすがままに付いていく。

 宝箱を目の前で見るとより何とも言えない感情が渦巻いた。


 「マナちゃん、一緒に開けよ?」

 「......うん」


 二人で一緒に手をかけ、大きな宝箱の蓋をゆっくりと開いていく。宝箱の中のにも何かが入っているようで、隙間から光が溢れだしていた。

 その光は、段々と大きくなっていき、眩しさに目を細めながらその蓋を開けきる。

 すると―――


 「パンパカパーン♥ミーニャちゃんだよ☆」


 両手を広げ派手に宝箱の中から登場したミーニャ。それを見た瞬間に私達は能力を発動させようと手を伸ばすが、その手がミーニャに触れることはなく、そのままミーニャの身体を通り過ぎた。


 「ハハハハ~☆今ミーニャちゃんに触ろうとしたでしょ♥ムリ☆ムリ☆これはミーニャちゃんの★パーフェクトボディ★を映しただけの~え・い・ぞ・う♥君達の攻撃は効かないよ♪」

 「ミーニャ!!」

 「そんなに睨まれると♪ミーニャちゃん♥こ~わ~い~」


 くねくねと身体をうねらせながら、ミーニャは面白そうにニヤニヤとしている。

 そして、私とミーニャの目がバッチリと合った。その時ミーニャは更に口を歪ませた。

 そして......


 「どうだった♥人殺しの感想は♪♪」

 「......」

 

 ミーニャが私の能力で消したメリーの両親について知っているのは、予想していた。仮にも神を名乗るぐらいの力を持っているのだろう。

 そして、ミーニャがフッと笑い、言葉を続ける。


 「ダンジョンクリアおめでとう♥パチパチパチ~♪」

 「ミーニャ。何の為に私達の前に現れたの?」

 「ん~ダンジョン攻略の報酬♥それと~★ちょっとした助言の為♪」


 ミーニャがパチンと指を鳴らすと、私の目の前に小さなコインと人形が出てきた。小さなコインには細かく文字のような何かが刻まれているが何の言語か分からない。


 「それは♪ダンジョン攻略者の証♥それに~☆ミーニャちゃん人形♥可愛がってあげてね♪」


 私の手に人形が触れた瞬間。

 私は能力を発動させた。


 「......よし」

 「えー★いらないの~◆じゃあもっとあげるね♥」

 「えっ!」


 ミーニャの足元の宝箱からわらわらとミーニャ人形が溢れだしてくる。無限とも思われるほどにずっと湧き出ている。

 そして、すぐに足元が埋め尽くされ、動きづらくなる。


 「まだまだあるからね♥」


 その言葉で一気にミーニャ人形の数が増えていき、部屋をギューギューに埋め尽くす。身動きが取れないほどミーニャ人形で部屋が埋め尽くされた。

 その時。ミーニャの声が耳元で聞こえた。


 「カナちゃんは◆後2日で死ぬよ★」


 その瞬間。一斉に灰色に変わったミーニャ人形がガラガラと崩れ、砂に変わっていった。メリーの『石化』の能力だ。

 そして、私が能力で砂を消した時には、ミーニャの姿はもうどこにもなかった。


 「マナちゃん、大丈夫!?」

 「うん、メリーは?」

 「大丈夫だよ」


 無事を確かめ、安心する。

 そして、宝箱が合った場所に魔方陣が出現する。ダンジョンクリアしたから、あの魔方陣は帰るためのものだろう。

 

 「メリー、行こう」


 今度は、私がメリーの手を引き魔方陣へと歩く。

 このダンジョンで、失ったものは多すぎるぐらいにある。しかし、このダンジョンで手にいれたものもある。


 手から伝わる、この温もりを失わない為。

 ミーニャの言っていたことが本当なら......時間が無い。今すぐにでも行動すべきだ。


 全てを終わらせる為に、最後にみんなが笑って終われるように、私は力を振り絞ると決めた。

 そして......その後に、自身の罪を償うと決めた。


 私はこの悲しい世界を終わらせる。


◆◇◆◇◆


 「ニャハ~♥楽しかったな♪」


 どこかの場所のどこかの部屋でミーニャは満足そうに頷く。

 それをどこからともなく現れた青年(・・)が、羨ましそうに尋ねる。


 「どうしたんだい? ご機嫌じゃないか、ミーニャ」

 「お♪帰ってきたんだねファースト(・・・・・)☆お帰り~♥」

 「あぁ、ちょうど今、終わった所でね......それより、その子は?」


 青年が見つめる視線の先には、空中に(はりつけ)にされた少女、カナがいた。

 

 「ミーニャちゃんとファーストの敵★だったものかな♪」

 「へぇー......なるほどね」


 青年が興味深そうにカナの元へと近付き、言葉を投げる。その時の青年の表情は花が咲いたように朗らかなものだった。


 「ねぇ、君は今、何回目(・・・)?」


 探るような視線をのせて、カナに問いかける青年。

 しかし、カナは苦しいながらも無理矢理笑顔を作って皮肉を答える。


 「さぁ、何回目だろうね」

 「ふぅん......状況が変わったってことは君はそれなりに足掻いたんだね。そして最善の今にたどり着いたと―――少なくても100ぐらいか」

 「ファースト♥カナちゃんは今、12879回目だよ☆」

 「おぉ、予想以上だ」

 

 驚きの声をあげ、またカナを興味深そうに見つめる青年。


 「さぁ、これからが始まりだよ♥」


 ミーニャは、マナが映っている水晶を見つめて愉しそうに身体を揺らす。


 全ては望まれない結果の上に成り立った、虚像に過ぎない。その虚像に写し出されるのは、ただの残酷な真実だけだ。

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