俺は世界を呪う、世界は俺を呪っている3
俺はいつからしんしょうでいつまでしんしょうなんだろう。
わからない。
いつかは答がでるのだろうか?
ある先生は言った。
出口のないトンネルはない。
確かにそうかもしれない。でも俺のトンネルはもしかしたら、俺の人生よりも長いのかもしれない。
出口につく前に俺はいづれ、燃料切れになるだろう。もしくは蜃気楼のようなものなのかもしれない。そこにありそうで、ない。手に届きそうで届かない。所詮は夢物語。かなわぬ、夢。
青年は殺意を抱いた。
『死ねっ』
『しんしょう』
『臭い』
『調子こぎ!!』
『キモい』
これらの言葉を三年間も行く先々で聞かされると、人は自殺するか、仕返しをするか、どちらかだろう。
青年は後者だった。
『殺してやる。あいつら全員殺してやる!!』
青年は以前、しんしょうとして生きようと決めた。何があっても、気にしないと。だが、それは、所詮、無理だった。三年間も蓄積されてきたそれは青年の許容範囲の限界を遥かに超えていた。理性というリミッターが、今、外れた。
電車の中で声が聞こえると、うざい、死ねっ、と言い返してやった。それだけで電車の中は静かになった。言い返しながらもこいつらどうやって殺してやろうか、と考えていた。
ある日、思いついた。
『毒がいい。』
毒なら手軽で簡単にたくさん殺せる。そう思ったからだ。
そして、あくる日、
帰りの事だった。
駅で電車を待ってると、突然、隣の人から声をかけられた。
『あの〜、すみません。』
青年は驚いた。今まで、赤の他人で青年を「人」として見てくれる人はいなかったからだ。
一応、周りを確認し、呼ばれたのが自分だとわかると、返事をした。
『なんですか?』
内容はこういうことだった。ここの駅には券売機がない、どうすればいいか?
青年にもわからなかった。青年はいつも、往復券を買うからだ。
一分くらい、その子と悩んだあげく、青年はお金払えば大丈夫じゃない?と言ったが、その子はう〜ん、と困った顔をしていた。
そこで青年は閃いた。往復券の帰りのものを売ってあげると、提案した。
その子は驚き、いいんですか?と言っていたが、ここで嫌と言うほど俺は性悪ではない。
そして、その子は嬉しそうな笑顔を見せた。今まで見たことないような、本当にとびっきりの、かわいい笑顔だった。
その笑顔で青年も幸せになれた。そして考え直した。
あの子も電車で通学してるのかぁ〜。なら、毒買うの、やめようかな。
照れながらも、そう思った。
憎しみに
とられた心は
温かい、
一人の子にて
溶かされた。
それは、久々に、
本当に久々に、
生きててよかった。
と思えるような
心地のいい一時だった。
青年は自分が怖くなった。戦うのは幻聴、奴ら、そしてなにより、自分。もともとにやけさえしなければ、こんなことにはならなかったかも知れない。だが、何故にやけるのかは自分でもわからないのだ。コントロールできない。なぜ?自分なのに。俺は俺のはず。幻聴よりも、奴らよりもなにより、自分が怖い。いつか又、我を忘れて凶行に走らんとする自分がなによりも。
俺の為に戦ってくれた又は信じてくれた親友達、そしてあのかわいい女の子の笑顔を、俺は忘れたくない。




