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小学生の煩悩  作者: tom
2/3

うさぎ小屋

祝 第2話目です!

生き物係初です。


 生き物係はというと学校の正門から入って左脇にあるうさぎ小屋の世話をしなければいけない仕事だ。

私のクラスは木曜日に掃除と餌やりを任されている。

岸本香織‥‥彼女ともう一人も含め朝早く登校し、まずは職員室で飼育小屋の鍵を拝借する。

彼女と共に行動するのは嫌だったけれど、真面目にやらないと先生に言いつけられたりされるかもしれないと恐怖だった。もう一人は比較的大人しくてあまり目立たない黒縁眼鏡の背の低い男子で黙々と掃除道具を取りに行き、まるで私達がいないかのような振る舞いで慣れた手つきで掃除し始めた。


その間小屋の中にてうさぎは隅の方で丸くなり鼻をひくひくさせていた。


『ちょっと田中、なんでも独りでやらないでくれる?』岸本香織は高圧的な態度で彼に言った。

田中君はチラッとこちらに顔を向け一旦手を止めた。


『今日からは神崎さんも加わるんだから、いろいろ教えてあげないといけないでしょ?』

言ってることは正論だけれど私はその刺のある言い方に過剰に反応してしまっていた。


『神崎さんもよろしくお願いしますとか挨拶できないの?全く、もし私が居なかったら二人共他人行儀で神崎さんがサボりっぱなしになるところじゃないのっ』


鋭い目をさらに鋭くし、彼女は水を汲んでくると言い水道へ向かった。


私は言われた一言一言が胸に刺さりいつもの癖で俯いてしまった。

田中君‥‥彼のことはよく知らない。ただ、背の順に並んだら前の方で、眼鏡をかけているからとても賢く見える‥‥ただそれだけの情報しか私はとらえていなかった。


うさぎ小屋に二人残されて変な沈黙が続いていたがそれを遮ったのは田中君の方だった。

『‥‥はいコレ』


そう言って差し出されたのは、汚れたちりとりだった。


私は一瞬ぽかんとしたが、すぐに察してそれを受け取りしゃがみ込んだ。


手に持つちりとりに向かって容赦なく彼は、ほうきでうさぎのフンやホコリ、落ち葉等を押し付けた。


ーゲホッゲホッ

砂煙が酷く咳き込む。

もう片方の空いた腕で顔を覆いながらも、ちりとりにゴミを集めることができた。


『あとは餌と水で終わりだから‥‥』

素っ気なく田中君が私に告げるとちょうど岸本香織が帰って来た。

彼女が抱えていた給水ボトル満杯に入った水をうさぎ小屋に設置した。これでうさぎは水分を確保できるのだ。


『餌も持って来た。キャベツとニンジン‥‥神崎さん何かした?』

キッと睨まれて私は思わず『え‥‥』と声を漏らした。


『やっぱり神崎さんってサボり屋だったんだ〜なんか期待してたのにな〜残念〜。だったら餌やりくらいやってよね。うさぎがちゃんと食べ終わるまで小屋出ちゃダメだから、あとよろしくね、田中行こ』


ほぼ強引に田中君を岸本香織は連れ出し、私一人残された。


田中君はチラチラこちらを振り向いていたけれど、結局行ってしまった。


うさぎに餌を差し出しても最初は食べてくれなかった。学校内に元気な声がこだましてきてちょうど、児童の登校時刻であることが分かった。あと少し‥‥うさぎはキャベツをちぎりモゴモゴ一生懸命に口を動かしていたけれど最後の最後の芯の部分までは及ばなかった。


 あと五分でギリギリ8時半というところで教室に着くと、朝は誰もいなかった教室が嘘のように皆勢揃いになっていた。もちろんその中に田中君と岸本香織は居た。


岸本香織は何食わぬ顔で読書をしていたが私が教室に入って来たのに気づいてはいるだろう。

というのも彼女の席は真ん中の席の後ろ寄りだからだ。

田中君は廊下側の一番後ろの席だから必然的に私が出入り口から後ろを通る事になる。


ーさっきはありがとう‥‥いや、ごめんなさい‥‥?

心の奥でそう思ったけれど口には出せなかった。


朝早くに登校していた甲斐があり、教科書、ノート、筆箱共に机に収まっていたけれど机の上にはまた落書きがされていた。


内容はサボりわらしそしてうさぎの絵と、その後ろにうんちが描かれていた。


ークスッ


短い笑い声が聞こえた。岸本香織が手で口を隠していた。目線は私の方に向けて。


なんて幼いんだろう‥‥私は嫌悪した。


毎週木曜日がこんな日だなんて思いたくなかった。



つづく


















岸本香織がどういう人物像なのかお分かりいただけましたでしょうか?

また、新キャラの田中君。女子に免疫なさそうな大人しくて賢い目立たない存在という設定です。通称チビ眼鏡君

神崎ほとりの煩悩はいつまで続くのやら‥‥。読んで下さった方、サンキューです!!

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