小学生 神崎ほとり
またまた新連載です。内向的な内容になってるかもしれません。いじめとかドロドロ。
人間ドラマ的なのに挑戦します。(現実では苦手)よろしくです。第1話スタートです!
私はいつも独りだった。親の転勤のせいで引っ越しが多くて、友達という友達ができないで。
時にはいじめられていた。
髪型がおかっぱなせいなのかな‥‥それとも口下手な私が悪いのかな‥‥。
鏡を見る度、胸が張り裂けそうになる。
今日も私は一人でぽつんと黒いランドセルを背負って歩く。
複数の足音が聞こえて来て、突然後ろから衝撃が走った。
ードン
そして次に男の子たちの笑い声が響いた。『よお、座敷童っ相変わらずトロイな』三人の男子たちの顔は忘れたくても、忘れられない。俯いて早足に学校へ向かおうとしても行く手を阻まれる。
『前から思ってたけど女子のくせになんで黒いランドセルなんだよ?男になりたいのか?』
リーダー格の男子が馬鹿にしたように聞いて来た。
それでも私は無視を貫こうとその男子を避けて通ろうとした。『おい、挨拶もできないなんて、お前女子からもハブられるぞ?』するともう一人の男子が『ていうかもうハブにされてんじゃんコイツ』とくすっと笑った。心ない言葉に私は一瞬カッとなったけれど抑えた。
とにかく無我夢中で学校へと向かった。男子たちは後ろの方で私の悪口を言っていたけれど、どうでも良かった。
教室では仲の良いグループがそれぞれに集い皆、楽しそうに話していた。
まるで私は空気のように窓側一番後ろの席に到着した。
机に目を落とすと、昨日とはまた違う落書きがされていた。
誰がやったのかはだいたい見当がつくけれど私は何も言わず、ランドセルから筆箱を出した。
消しゴムの使い道がこんなことだなんて‥‥。
その姿をさも待っていたかのように、視線をこちらに向けてくる気配がした。
先生が来る頃になると皆、席に落ち着いて読書を始め、そして朝の会が始まった。
三人の男子たちは席が近くてふざけ合ったりしていた。でも幸い、それは廊下側で私の近くではない。
ホッとして窓から外を眺めていると急に名前を呼ばれた。
『神崎さんってなんの係にも委員会にもまだ入ってませんよね〜?先生決めなくていいんですか〜?神崎さんだけずるいと思うんですけど』
女子の一人が発言した。
目つきの悪い背の高い子だ。落書きの犯人の子。
教室がざわついた。
確かに引っ越して来て二週間経って学校に通い始めたのが一週間前だったから何も決めていない。
『ああ、そうだったわね‥‥神崎さんは転校して来て間もないから、そうですね‥‥神崎さん何係が良いとか希望ある?』
先生は女性で割と生徒(児童)とは友達感覚のような接し方をする人だった。
皆の注目を一斉に浴びるのは初日以来、久しぶりの光景だった。
最初は皆よって集って私のことについて聞いて来たり、親切にしてくれていた。だけど、それを気に食わない気の強い女子に目をつけられてからは、そうではなくなった。
その気の強い女子こそたった今、発言した岸本香織だ。
私は何も知らないからなんと答えれば良いのか分からなかった。
変な沈黙が続き、見兼ねた先生が『どこでもいいのよ?ほら、あそこに掲示してあるでしょ?あの中から選んで』と促した。
『先生、神崎さん私と仲良いんで、生き物係にしてくれませんか〜?』
私は今日一番の驚愕をした。
ハッとして彼女の方を見ると視線がぶつかった。
目が明らかに笑っていてとても不気味な表情だった。
冷や汗が出て来た。他の子たちは素知らぬ顔で私とできるだけ関わらないようにしたい。そういう暗黙の空気が流れていた。
『あら、そう?ならいいんじゃない?それでいきましょうか、ね、神崎さん?』
先生に悪意は全くないのは分かっていたけど、私はこのどうしようもない感情をどこへ持って行けばいいのか分からなくて。俯くことしかできなかった。
休み時間になると岸本香織が私に近づいてきた。
『神崎さんさっきは強引にごめんね。でもああでも言わないと朝の会が終わらなかったでしょ?』
嫌味じみた台詞に頭が痛くなる。
『委員会は栽培委員の子がずっと病欠で学校来てないから、栽培委員に入ってもらうことになると思うよ?』
『そ‥‥そうですか』私は苦し紛れに声を絞り出した。
そういえば教室内に誰も使っていない机が一つだけあった。それがその子のものなのだろうか‥‥。
『ああ、言い忘れてたけど、栽培委員‥‥私もそうだからこれからも仲良くしようね』
ードクン
席に着いていた私を見下ろす、岸本香織の微笑みはまるで見た事もないのに悪魔のようだと勝手に連想した‥‥。
読んで下さった方、ありがとうございます!呑気に連載していけたらと思います。